ワルキューレの花
「優也さん…ご機嫌よう…」「ああ…ナギさん…こんにちは。今日はお二人ですか?」
僕はナギさんの後ろの男性に会釈したが、
男性は目をそらしてその場所を後にしてしまった…
「…ムラサメ!…すみません。弟は誰にも無愛想なんです。」「いえ…お気になさらないでくださいね。花を摘みに来られてたんですか?」「ええ…あの白い花です。あの花の名前は〝ワルキューレ〟と言って何万本かに一本だけ真っ赤な花が咲くのです。
それを見つける事が出来た時に自分の進むべき道が決まると言われています。後、花言葉もあるんですよ…」「へえ…お詳しいんですね…」その時、ミスが僕の足下に近づいてきた。「どうしたの?」「ママがね、ランチにしましょうって…」「そうだね。分かったよ…じゃあ王宮に戻りますね…失礼します…」僕は踵を返して王宮へと向かった。
ナギはいつものようにその場所から優也の背中をただ見送るだけだった…
その時、偶然優也の足下に真っ赤なワルキューレを見つけた…優也がその場から立ち去った後、
ナギはその真っ赤なワルキューレを摘むのだった。そしてギュッと口唇を噛み締めた…その姿をムラサメは木陰からじっと眺めていた…
ナギとムラサメはソーディア王宮に戻った…
「姉ちゃん…あの男やろ…姉ちゃんが気にしてるのは…」「えっ?な、何の事?」「惚けんでもええで。あの男が好きなんやろ?見てたらわかるわ!でも子供連れてたなぁ…」「そ、そんな筈無いでしょう。だってあの人はティナの…」「えっ?ティナちゃんの旦那さんか…そうか…ほんならこっちが少々分が悪いっちゅうことやな。しかし…まぁええわ…」「ムラサメ…あなた…何の話をしているの?」
「ワイはソーディア王国の王子やで。元々、ソーディアの男は欲しい物は自分の力で奪い取ってきた…金も、地位も、名誉も…そして大事な人も…」




