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覚醒

本日二話目です。


「ジョー兄さん、超大きな白い魔結晶、持ってきたよ」

「重いので遅くなりましゅた。ジングージ様」

「二人とも、ありがとう。ロックさんの隣のベッドの上に乗せて」

「判ったよ」

「はいでしゅ」


 二人で抱えていた巨大な白い魔結晶の宝珠を、ベッドの上に乗せると、そのあまりの巨大さに、マーガレット司教やアリスさん、エリスさんも驚嘆の声を発する。


「ジ、ジングージ様、この巨大な光の宝珠を、いったい何処で?」

「これほど巨大な光の結晶……ドラゴンの宝珠でしょうか?」

「流石、女神様に愛されるジングージ様ですわ」


 三人の教会関係者だけでなく、此処まで先導してきてくれた警備隊のアマンダ隊長も、同じく驚きの言葉を呟いた。


「こ、こ、これは、宝珠と呼ぶには余りにも大きすぎます。しかも、白の魔結晶ですよ、ジングージ様!」

「あははは……やはり珍しいのですね。巨大な白いスライムを討伐したら、これが落とされたのです。その時、分裂した小型の白いスライムもアンさんが狩ったのですが、そちらの小さい魔結晶は、その時に落とされました。そして少し大きいのが、ロックさんを襲った白スライムのものです」

「えへへ……小さい白スライムはアタイが狩ったんだよ」

(にわか)には信じられないでしょうね。これを見て下さい」


 俺は、ポケットからスマートフォンを取り出し、撮影していた巨大スライムとの戦いの動画を、マーガレット司教や二人のシスター、そしてアマンダさんに再生して見せた。


「これは魔道具でしょうか……古代遺物(アーティファクト)に、似たような道具がありますが、それは絵が動きません」


 アマンダさんが言うには、古代遺物にはスチール撮影が可能なカメラは有るらしいが、動画の録画や再生のアーティファクトの魔道具は無い様だ。

 4人は、食い入る様にスマートフォンで再生される俺たちの戦いの様子を見て、「こんなに巨大なスライムが……しかも白とは」と驚いている。


「凄いですねジングージ様。鉄の蟹は……それに、ナークさんの防御結界も素晴らしい。ゴライアス殿の持つ鉄壁の盾以上の防御力とは」

「……あたしには、防御結界しか無いから……」

「アンジェリカも良くがんばりましたね」

「うわー、アタイ院長先生に褒められたよ」

「私はあまり役に立ちませんでしゅた……」

「そんな事はありませんよ、イザベル。貴方も居たから全員が助かったのですから」

「はい、院長先生。ありがとうございましゅ」


 その時だった。

 マーガレット司教がロックさんのベッドで、兄を看護するミラさんを見据える。

 恐らくは、マーガレットさんの持つ神眼に何かが見えたのだろう。

 マーガレット司教は、ミラさんに向けていた視線を俺に移してから言う。


「ジングージ様、その巨大な白い宝珠へ手を触れても宜しいでしょうか?」

「ええ、構いません。どのみち、教会へ寄贈というか奉納しようと決めてますので、マーガレットさんの自由にされて結構です」

「なんと、この白い宝珠を教会へ……いや、そのお話は後ほど。ミランダ、ジングージ様のお許しが出たので、その巨大な宝珠へ手を触れさせて頂きなさい」

「はい、司教様。宝珠へ手を触れれば宜しいのですね?」

「そうです。静かに両手で触れなさい」

「はい、司教様」


 ミラさんは、マーガレットさんの指示に従いロックさんの隣のベッドの脇へと行き、静かに両手をベッドの上に置かれた白い宝珠に触れた。

 すると、白い宝珠が強烈な光を発し、目映いばかりの白い光が治癒部屋を明るく照らす。

 同時に、ミラさんの身体も身体全体が白く輝き、「あっ!、えっ?」と、ミラさん自身が驚いている。


「ジングージ様、ミラが……ミランダが覚醒しました。女神様の祝福が、たった今、開花いたしました」

「覚醒?、ミラさんが持つ女神様の祝福の能力が、マーガレットさんの神眼に見えたのですか?」

「はい。ミランダは本山の聖女様だけが持つ回復治癒(ヒール・キュア)能力を、ジングージ様の宝珠によって覚醒したのです!」


 なんと、ミラさんが持つ女神様の祝福が覚醒し、その能力は本山に居る聖女と同じ上位の回復治癒魔法だったとは。

 俺は、直ぐにマーガレット司教へ尋ねた。


「では、ミラさんの覚醒した回復治癒能力を使えば、本山へ行かずとも、ロックさんの目を治療できるのでしょうか?」

「はい、ジングージ様。恐らく出来ると存じます。やってみましょう。エリス、貴方のお借りしている光の結晶をミランダへ」

「はい、司教様。ミランダ、これを」

「エリス姉様(シスター)……私に出来るのでしょうか?」

「出来ますよ。今まで修行してきたとおりになさい」

「大丈夫よ、ミラ。貴方ならできるわ」

「アリス姉様(シスター)……。はい、私やってみます」


 エリスさんから大きなビー玉位の白い魔結晶を握ったミラさんは、ロックさんの横たわるベッドの側まで行き、ロックさんの顔を撫でながら言う。


「お兄ちゃん、私に治せるかどうか分かんないけど……やってみるね」

「ミラ……無理はしなぃで……」

「大丈夫だよ。ジングージ様の宝珠が力を貸してくれるって聞こえたから……」

「ぅん……」


 兄妹の会話が終わると、ミラさんは、ロックさんの顔を撫でていた手も、白い魔結晶を握った手に重ねてから、目を瞑って女神様への祈りの言葉を力強く呟いた。


「我らが主神、フノス様へお願い申し上げます。女神様の下僕の私めに、回復治癒のお力をお貸し下さいませ」


 祈りの言葉を終え、ミラさんがロックさんの両目の上へ握った白い魔結晶と共に、自らの手を置いて魔法を発動する。


回復治癒(ヒール・キュア)!」


 ミラさんが両手で握りしめた白い魔結晶が、ミラさんの言葉に反応して目映く光輝く。

 そして、それに同期したかの様に、巨大な白い宝珠も輝き始める。

 続いてミラさんの身体が、これまでのアリスさんやエリスさんが魔法を発動した際よりも、更に高輝度で輝き始め、それと同時にロックさんの顔全体も目映い発光に包まれた。


 ミラさんの身体から光が消え、ロックさんの顔を包み込んでいた光も消える。

 そして、ロックさんが、ゆっくりと両眼の瞼を開くと、そこには元の綺麗に澄んだ青い瞳が現れた。

 ロックさんの傍らで、顔を覗き込むミラさんを確認するかの様に、瞼を何度か閉じたり開いたりした後、ロックさんとしては比較的大きな声で言う。







『目指せ!一騎当千(ワンマンアーミー) ~ぼっち自衛官の異世界奮戦記~』を書き始めてから、今日で2ヶ月間となります。

毎日更新、毎日原稿用紙6枚以上を目標にしてまいりましたが、それも達成することが出来たのは、ひとえに読者の皆様が毎日お読み下さっているからです。この場にて改めてお礼と共に感謝いたします。


正直なところ、自分に課したノルマは想像以上に厳しいことを改めて実感しております。仕事をしながらなので、執筆時間が中々取れないのが厳しいのです。そのため、誤字脱字が増え乱筆気味ではありますが、毎日投稿を優先しております。これに関しては、読者の皆様にお詫び申し上げます。


現状では、週間ユニーク・ユーザは6,295人で、評価ポイントは1,171点、ブックマークは447件です。なろう会員の方によるブックマーク数と評価ポイントは、筆者のモチベーション向上の原動力となります。毎日更新のご褒美に、評価ポイントをやろうという方がいらっしゃいましたら、是非よろしくお願いします。


加えて、なろう非会員、或いはログインされていない方は、是非とも「小説家になろう 勝手にランキング」のリンクをクリックしていただければ幸いです。2月1日に順位がリセットされて、瞬間でしたが拙著が20位になっており小躍りして喜んだ筆者ですが、その後は順調に順位を落としております。(苦笑)


それでは、連載三ヶ月目に突入する『目指せ!一騎当千(ワンマンアーミー) ~ぼっち自衛官の異世界奮戦記~』を、今後ともご愛読を宜しくお願い申し上げます。


舳江爽快


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連載中:『異世界屋台 ~精霊軒繁盛記~』

作者X(旧ツイッター):Twitter_logo_blue.png?nrkioy) @heesokai

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