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対オーガ戦闘

 俺は、叫んでしまってから、ここが異世界である事を思い出してしまう。


(しまった、日本語じゃ通じねえか?)


 しかし、俺の意に反して、戦闘中の大柄な男性から返事があった。

 しかも、その返事は流暢な日本語として、俺の耳に届く。

 俺の喋った日本語が相手に通じ、逆に相手の喋った言葉が、俺には日本語に聞こえた。

 どうやら言語に関しては、この異世界では心配する必要が無いみたいだ。


「すまん、助力は有り難いぜ。ガレル、急いで馬車まで下がれ!」

「はいっ、リーダー!」


 大柄な男性の指示に従って、ガレルと呼ばれた小柄な方の男性は、馬車を目掛けて駆けだした。

 俺は、赤い大鬼(オーガ)から戦闘を止めて待避をした小柄なガレルと呼ばれた若い男性が、十分な距離を持った事を確認してから、おもむろに手にしていた89式小銃をスリー・ショット・バースト・モードで、赤い大鬼の身体に狙いを定め発射する。


 89式小銃はダダダッ!と銃声を発しながら銃口から火を吐き出すと、5.56mm NATO弾が赤い大鬼の身体に全て命中した。

 大鬼は、「ウガァー!」と大きな叫び声を発しながら、そのまま地面へ倒れ込んだ。

 が、まだ赤い大鬼は絶命はしておらず、倒れた状態のまま激しく、その場で呻き声を発しながら地面を転げ回っている。


 と同時に、馬車の上から弓で攻撃していた女性が、「キャアッ!」と悲鳴を叫びながら、馬車の上でペタンと座り込んでしまった。

 どうやら、突然の89式小銃の発射音に、驚いてしまった様だ。

 同様に緑色の大鬼と戦闘中だった、リーダーと呼ばれた大柄の男性も一瞬、こちらを驚いた表情で向いたが、直ぐに戦闘へ復帰する。

 戦闘相手の緑色の大鬼も、動きを一瞬止めて、俺の方を睨むと「ガォー!」と怒った様な叫びを発した。


 加えて、馬車を引く馬が二頭、こちらも89式小銃の発射音に驚き、「ヒヒーン!」と鳴き声をあげて暴れだしてしまった。

 俺は、馬車まで走って戻ってきたガレルと呼ばれた、小柄で若い男性へ向かって叫んだ。


「貴方! 馬を宥めてください!」

「判った!」


 ガレルと呼ばれた若い男性は、直ぐに馬の手綱を握るため御者席に飛び乗り、「落ち着け!」と叫び手綱を操り出す。

 流石に緑色の小鬼(ゴブリン)ならば一撃で仕留められたNATO弾だが、残念ながら大鬼に対しては、殺傷力が足りなかった様だ。

 大鬼の弱点はと考えると、人型のモンスターであれば人間と弱点は同じだろうと考え、俺は地面を転げ回る赤い大鬼の頭部を狙い、再び89式小銃をスリー・ショット・バースト・モードで発射した。


 ダダダッ!、今度は一発外れたが、転げ回っていた赤い大鬼の頭部から真っ赤な血飛沫が噴出して、赤い大鬼は転げ回るのを止め動かなくなった。

 大鬼の頭部を狙えば、NATO弾でも仕留められるのが判ったので、少し離れた場所で木々に繋がれていた馬達を襲おうとしている青い大鬼の頭部を狙い、更に89式小銃をスリー・ショット・バースト・モードで二度、89式小銃のトリガーを引く。


 ダダダッ!、ダダダッ!、何発の弾丸が青い大鬼の頭に命中したかは判らなかったが、青い大鬼は叫び声を上げながら倒れ込んで、再び動き出す様子は無かった。

 これで二匹の大鬼が片付いて、残るはリーダーと呼ばれる大柄の男性が戦闘中の、緑色の大鬼一匹を残すのみだ。

 俺は、大柄の男性に向かって再び叫ぶ。


「貴方も、大鬼(オーガ)から離脱してください!」

「おうっ! 後は頼んだぜ!」


 そう言うと同時に、リーダーと呼ばれた大柄の男性は凄い速度で走り出し、緑色の大鬼から素早く距離をとった。

 俺は、怒り狂う緑色の大鬼の頭に狙いを定め、再び89式小銃をスリー・ショット・バースト・モードで発射する。

 ダダダッ!と、89式小銃の銃口が火を噴いたのだが、怒り狂った緑色の大鬼が、恐ろしい速度で俺に向かって突進してきたため、頭部には残念ながら命中せずに、全弾が身体に当たってしまった。


 緑色の大鬼は、「ウギャ!、ギャ!、ギャ!」と叫びながら、その場に倒れ込んで地面を転げ回っている。

 すかさず俺は、89式小銃を緑色のオーガの頭部へと狙いを定め、今度は安全装置のレバーをフルオート・モードへ切り替えてからトリガーを引き続けた。


「89式、舐めんなよ!」


 俺は思わず、昨年見た劇場版の某アニメ映画の様な台詞を叫んでしまった。

 ダダダダダッ!と連続した89式小銃の発射音が続いた後、カシーン!と89式小銃から、かん高い音が聞こえてくる。

 マガジンの残存銃弾が無くなり、89式小銃がホールド・オープンした音だ。


(やばい!)


 そう思ったが幸いなことに、緑色のオーガは頭部から真っ赤な鮮血を流して既に絶命していた。

 89式小銃のマガジンが空になる全弾30発の発射で、ぎりぎり何とか緑色の大鬼を仕留めて助かったのだ。

 と、安堵して放心している俺に向かって近づいてきた、リーダーと呼ばれていた大柄の男性が声をかけてくる。


「有り難うよ、助かったぜ。それにしても、凄い魔法だな。俺は初めて見たぜ」






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連載中:『異世界屋台 ~精霊軒繁盛記~』

作者X(旧ツイッター):Twitter_logo_blue.png?nrkioy) @heesokai

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当はこう言う魔獣相手はスタングレネイドで 耳と目を潰した方が楽なんだが?後、弾切れ対策で 投擲武器のボーラーを作ってベルトに下げておけば 良いんだが?ボーラーとは200g位の石3個を皮で包…
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