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白昼の攻防戦

本日二話目です。


 アンさんの発した言葉に、俺は直ぐに反応して大河を眺める。

 スベニの港湾までは、まだ大分距離のある大河の下流から、3体の守護者ゴーレムが上陸し東門へと進行を開始していた。

 1体だけは、港湾の方角へと向かっていたが、他の2体は、避難する馬車が走り去った方角へと向かっている。


 守護者ゴーレムの大きさは、予想したとおりの高さがあり約8m前後だろうか。

 胴体に比べて足が短く、逆に腕は長い。

 頭部は首が無く、胴体にお椀を被せた様な姿だ。

 各間接は、球形の岩石で繋がれており、所謂(いわゆる)ボール・ジョイント機構で接続されていた。

 それは、まるで元の世界で売られている、ゴリラのアクション・フィギュアを大型化した様な姿だ。


(これはガーディアン・ゴーレムじゃなくて、ガーディアン・コングだな……)


 俺が守護者ゴーレムの細部を確認していると、港湾へ向かっていた1体の守護者ゴーレムから、キーン……と甲高い発信音が聞こえ始め、真っ赤な両眼の光が、より輝度を増して発光し始める。

 直後、ゴゥ!という発射音がして、両眼から巨大な火炎弾が、停泊していた交易船に向かって発射された。

 こいつ、魔法を……しかも特大火炎弾を二発連射とは……。


 守護者ゴーレムから発射された二つの特大火炎弾は、交易船を直撃すると、船はそのまま業火に包まれて炎上する。

 俺は、直ぐに重機関銃M2へ一発目の弾丸を装填し、安全装置を外すと火炎弾を発射した守護者ゴーレム目掛けて弾丸を発射した。

 バババババババッ!……と、豪快な発射音と共に、50口径のブローニング・マシン・ガン弾丸が守護者ゴーレムへと命中していく。


 しかし、守護者ゴーレムに命中した50BMG弾丸でも身体を破壊するまでには至らず、細かな岩石の破片が飛び散るだけだった。

 俺の攻撃に反応し、守護者ゴーレムが俺の方へと向きを変える。

 50BMG弾丸では、身体の破壊が出来ないのであれば、弱点らしき頭部に加えて肩間接のボール・ジョイント部分に狙いを定め、再び重機関銃M2を発射した。


 ババババババババババッ!……。

 重機関銃M2から発射された50BMG弾丸は、守護者ゴーレムの両眼へと命中し続けて右肩のボール・ジョイントへも命中する。

 真っ赤に光っていた両眼は破壊され、そこには、ぽっかりと黒い穴が残った。

 そして、右肩の球形ジョイント部分の岩が砕け、右手が地面へと落下し守護者ゴーレムは、その場に(うずくま)る。


(やったか……)


 俺は、重機関銃M2の発射を止め、標的だった守護者ゴーレムを確認した。

 すると、蹲っていた守護者ゴーレムが、残った左腕で切断された自らの右手を掴むと同時に、俺目掛けて投げつけてきた。

 それは、まるでロボット・アニメに登場するような、ロケット付きの腕の様に俺目掛けて飛んでくる。


 投げつけられた守護者ゴーレムの右腕は、俺の頭上をすれすれに後方へと飛んで行き、閉じられている東門の扉へと激突した。

 扉の表面は、厚手の鉄板で覆われているにも関わらず、その厚い鉄板を貫通して扉の木製本体へ刺さる。

 何という攻撃力だろうか。これは、早々に切り札を使った方が良さそうだ。

 これは、出し惜しみしている場合では無いかもしれない。


 しかし、重機関銃M2による攻撃も、全く効かない訳では無かったので、立ち上がった守護者ゴーレムの両足関節に狙いを定め、再び重機関銃M2を発射する。

 50BMG弾丸は、距離も近い事もあり、殆どが守護者ゴーレムの下半身の両足股関節に命中した。

 両足の球形間接の岩が砕け散り、守護者ゴーレムは左腕を残したまま、その場に倒れた。


 だが、未だ左手は、ばたばたと地面を叩いており、未だ活動が出来る様だ。

 これは、完全に達磨(だるま)状態にまでしないと危険だ。

 再度、重機関銃M2で左肩を狙い引き金を引き、残存弾を掃射した。

 重機関銃M2の弾丸一帯/110発は、既に2帯目を使っており、その全てを打ち尽くした時、やっと守護者ゴーレムは左手の肩関節が破壊されて沈黙する。


 すると、馬車を追うようにして、南側へ移動していた2体の守護者ゴーレムは、仲間が倒されたのを危機と感じたのか、進行を止めて俺の方へ身体の向きを変えた。

 俺は、魔法攻撃による火炎弾を封じるため、重機関銃M2の弾丸帯が収納された鉄の箱、3個目を重機関銃M2にセットし、こちらへ向いた2体の頭部目掛けて発射する。


 後方の守護者ゴーレム1体へは、片目に命中して赤い光を失い黒い穴へと変わる。

 手前の1体には、両眼に命中し、黒い骸骨の様な目の穴へと変わり果てた。

 俺は、重機関銃M2による3個めの弾帯を打ち尽くし、傍らに準備してある110mm個人携帯対戦車弾――パンツァーファウスト3ことLAM(ラム)――の弾頭のプローブを引き出してから、右肩に構え、安全装置を外し後方確認の後、手前の守護者ゴーレムの胴体へ照準を定め引き金を引く。


 バシュッ!という轟音と共にLAMの弾頭が炎を、はき出しながら守護者ゴーレムへと着弾し、ドドッカァーン!と強烈な爆発音を残して、爆煙が吹き上がった。

 爆発と共に、守護者ゴーレムの岩の胴体は木っ端微塵に砕け散り、その瓦礫が地面へと崩れ落ちていく。


「やった!」


 俺が思わず声を上げると、城壁の上からも歓声が聞こえる。

 アンさんが「やったよ!ジョー兄さん!」と喜ぶ声も聞こえるし、何時しか集結していた冒険者達も歓声を上げていた。

 と、残っている後方に居た守護者ゴーレムが、またしても、崩れ去った1体の足を掴むと、俺に目掛けて投げつけてくる。

 くっ、今度は、空飛ぶ跳び蹴りか。


 投げられた足は、俺が居る警備兵待機用の建物へ見事に激突し、建物が崩れ落ちていく。

 俺は、建物の瓦礫と共に地面へと落下したが、高さが2m程度と低かったので怪我などは無い。

 しかし、これでもう重機関銃M2を、守護者ゴーレムに対して狙いをつける事ができなくなった。

 俺は、瓦礫の上に散らばっている二発目のパンツァーファウスト3を構え、残る1体の守護者ゴーレムに狙いを定める。


 光学照準器のレンズを覗くと、頭部の一つ残った赤い目の光が輝度を増している。

 キーン……という、高周波音も聞こえていた。

 やばい、また火炎弾による攻撃だ。

 俺は、直ぐに弾頭プローブを伸ばしてからLAMを構え、守護者ゴーレムの胴体目掛けて引き金を引く。

 そして、LAMが守護者ゴーレムに命中して爆発すると同時に、守護者ゴーレムの頭部からも特大の火炎弾が発射される。


 発射された特大の火炎弾は、胴体が破壊された事により、目標が俺ではなく少し上に軌道が逸れ、一直線に、アンさんや冒険者達の居る城壁の回廊部分目指して飛んできた。

 アンさんや冒険者達も、皆が破壊された守護者ゴーレムの方を見ている。

 俺は、咄嗟(とっさ)に大声で叫ぶ。


「アン!、皆も伏せろ!」






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連載中:『異世界屋台 ~精霊軒繁盛記~』

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