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目指せ!一騎当千 ~ぼっち自衛官の異世界奮戦記~  作者: 舳江爽快
第五.五章 帝国(序) 編
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湯煙の里

「いやぁ~、良い湯ですね……。生き返ります」

「このオンセンと言う湧き湯は、勇者コジロー様が発見したと記録に残っています」

「そうですか、やっぱり日本人……いや、自分や西住小次郎大尉殿の祖国なんですが、温泉が沢山湧き出ているのです。ですから、温泉へ入る習慣もあって、恐らくこの温泉を発見したのも女神様のお導きでしょう」

「な、成る程。女神様のお導きとは、流石に勇者様です」


 俺達は今、聖都の北に位置する保養地へ来ている。

 目的は待機状態にしてあった偵察者(スカウト)ゴーレム四体の回収だ。

 既に、偵察者ゴーレムは回収し終わり俺の無限収納(インベントリー)へ入れてある。

 目的地が天然温泉の湧出す保養地だった事もあり、スタリオン教皇や聖女セレステら聖都の皆さんも誘って来たのだ。

 馬車での移動だと聖都からここまで二日程度は要してしまうが、CH-47JA チヌークでならば、あっという間だ。


 しかし、本当に良い湯だ。

 源泉掛け流しなのだが湯加減が微妙に心地よい。

 温度としては四十度以上だと思うが、硫黄などの匂いもせず飲料にも使えるお湯のようだ。

 保養地には聖都へ治療に訪れた旅人が、湯治のためにも訪れるため宿泊施設も充実している。

 今回は、教会本山の治癒院が直轄している宿泊施設を提供していただいた。

 スタリオン教皇も多忙なため、この"勇者の湯"へは本当に久しぶりに来たそうだ。


 以前は男女混浴だったのだが、今は男女別々の湯になっているそうだ。

 もちろん、露天風呂なのだが大きさは男女とも同じ大きさ。

 従って男風呂の方が人口密度が1/3なのでゆったりしている。

 今、この露天男風呂に入浴中なのは俺とスタリオン教皇。

 そしてロック、ギルさん、ガレル君、そしてテンダーのおっさんだけだ。

 湯に入っておらず鎧を纏ったままのギャラン隊長と部下達が、露天風呂の周りを警戒中だけど。


 それに対して男湯に対して女湯の方は、人口密度が高いからかなり窮屈かもしれない。

 パーティー"自衛隊(ジエータイ)"、パーティー"九ノ一(くのいち)"だけでも十六人だ。

 それに加えて、パーティ"雛鳥(ひなどり)の巣"のハンナさん、狼人族の少女コロニ、更にはマーガレット司教と聖女セレステもいる。

 護衛の女性聖騎士が護衛に居るが、男湯と同じく湯には入っては居ないだろう。

 ちなみに、妖精のケサラとパサラも当然ながら女湯だし、驚いた事に神獣フェンリルも雌だった。

 なので、小さな子犬状態になって、ちゃっかりと女湯に入っている。


 特にコロニがお気に入りのようで、ずっとべったりくっついたままだ。

 そう言えば、俺がこの世界へ転生するきっかけになった時も、小さな女の子がフェンリルに駆け寄って来たっけ。

 コロニは最初、大きな状態のフェンリルを怖がっていたが、子犬状態になってからは抱きしめて離さず、ぬいぐるみを抱いたようにモフモフしっぱなしだ。

 フェンリルも嫌がる様子もなく、コロニの顔をペロペロと舐めたりしている。

 白狼のフェンリルと、黒狼人族のコロニ。

 その白と黒の狼によるコントラストが微笑ましい。


 フェンリルの話によると、女神様の眷族の神獣は全て雌なのだそうだ。

 第一眷族だった竜は現在、行方不明なのだが白い雌竜だとの事。

 そして白い巨大狼のフェンリルが、第二眷族で他に第三眷族以下多数いるようだ。

 まあ、女神様に仕える眷族なのだから雌の方が何かと都合は良いのだろう。

 巨大亀の魔獣クールマも、後千年もすると神獣になると言う話だし、クールマも子持ちの雌だった。


「そう言えば、樹海の名前を"クールマの森"と名付けたとか」

「はい。何れ神獣様になるクールマ様、これから長きに渡って森を守らねば成りませんから」

「そうですね。基本、大人しい魔獣なので攻撃さえしなければ危険も無いみたいですし」

「そうじゃぞ、小僧……ジョー。クールマから剥がれた鱗は、竜の鱗と並ぶ程の防御力じゃからな。大事にせんと駄目じゃ。グビっ……酒が無くなった」

「テンダーさん、入浴しながらの飲酒が美味いのは判りますが身体に良くないですよ」

「ふん。柔な人族と一緒にするでない。おい、ギルバートの所の若造、酒を持ってこい」

「は、はい。リーダー、どうしましょう?」

「はははは、まあ良いぜ。ガレル、持ってきてやりな」

「はい、行ってきます!」


 酔っぱらいのテンダーのおっさんが、ガレル君を使い走りに指名すると、ギルさんの許可もおりてガレル君が湯から上がり建物の内部へ走って行く。

 おいおいガレル君、裸のままじゃ不味いだろう。

 ちゃんとタオルくらいは腰に巻いて行けよ。

 それを見ていたスタリオン教皇も思わず苦笑いだ。

 それにしても相変わらずテンダーのおっさん、底なしの酒豪だ。

 周りを警護してくれているギャラン隊長以下の聖騎士達も開いた口が塞がらない。


「しかし、使徒様……ジングージ様、あの空飛ぶ鉄の箱は素晴らしいですな」

「はい。指揮者(コマンダー)ゴーレムの飛行装置ほどは早く飛べませんが、沢山の乗員を運べるので便利ですね」

「遠く離れた国では、ワイバーンを使って飛ぶ竜騎兵がいると聞いた事がありますが、こんなに大勢の乗せて飛ぶ事はワイバーンでも出来ませんから」

「ワイバーンを飼い慣らすという事が出来るのですか?」

「ジョー、それは俺も聞いた事があるぜ。なんでも卵の頃にワイバーンの巣から盗み出し、それを温めて孵すと懐くんだそうだ」

「ああ成る程。刷り込みって奴かな……。鳥とかも、孵った時から最初に見た動くものを親だと認識するとか」

「そうなのか? 俺は良く知らねぇけどよ。ワイバーンの巣から卵を盗むなんて危険な事、絶対に引き受けねぇがな」

「そうですよね。そんな危険を冒したくは無いですよ」

「それはジングージ様が、空飛ぶ鉄の箱をお持ちだからでございましょう」

「確かに教皇様の言われる通りだけどな。まあ獣人でも鳥人族なら飛べるから、仲間にはしたいところだぜ」

「鳥人族……ああ、城塞都市で会った事がありますね。珍しい種族だそうですけど、彼女はあれからどうしたんでしょうか……」

「ああ、ジョーは古代遺跡都市へ行ってたから知らねぇのか。あの鳥人族の女、城塞都市タースの大公様に雇われてよ。今は城塞都市と港湾都市イサドイベ、それとスベニを回る空飛ぶ配達屋をやっているぜ」

「ええっ! そうだったんですか。そうかあ、空飛ぶ宅配便の配達人になったんですね」

「おお、彼女ならば、私も知っております。城塞都市タースからの手紙などを運んで来てくれます」

「聖都にも飛来しているんですね」

「王都トメマイまでも飛んで行くらしいぜ」

「へぇ~。凄いですね、鳥人族」

「まあ、お前の空飛ぶ鉄の箱みたいに早くは飛べねぇらしいがな……」


 そうか、あの時救出した鳥人族の女性、フェアウェイ大公に召し抱えられて活躍しているんだ。

 大きく白鳥のような綺麗な翼を持っていたのを思い出す。

 なんでも収納鞄をフェアウェイ大公から与えられたので、それなりの量の手紙や小物を大量に運搬できるらしい。

 教会も頻繁に利用しているし冒険者ギルドはもちろんの事、商業ギルドや生産ギルドも運送の依頼をしているとか。

 もっとも伝書鳩も今までと同じく使っているらしい。

 なにせ、鳥人族はこの辺りでは彼女一人しか居ないので、伝書鳩を無くす訳には行かないのだ。


「ところでジョー、お前のランクはどんだけ上がったんだ?」

「ランクですか? 古代遺跡都市では調べなかったので判りませんけど」

「スベニに戻ったら、兄貴にランクアップを申請しろよ」

「それならば、自由交易都市スベニの冒険者ギルドへ私からも、今回の活躍の内容を報告しておきます」

「そりゃ、凄えな。俺達の事も頼むよ、教皇様」

「もちろんですとも。ギルバートさん達"雛鳥の巣"の活躍も忘れはしませんぞ」

「ありがてぇ……」


 とその時、突然男湯と女湯を仕切っている木製の壁が、男湯側へと倒れてきた。

 バリバリ! バッシャーン! 倒れた木壁が大量の湯飛沫を上げる。

 俺は咄嗟に、木壁の下敷きになりそうだったテンダーのおっさんの手を取り引っ張る。

 幸い木壁側にはテンダーのおっさんしか居なかったので、スタリオン教皇やギルさんは無事だ。

 テンダーのおっさんも、その強靱な腕力で倒れてきた木壁を支えた。

 何とか全員が無事だ。


 警護していたギャラン隊長以下聖騎士隊員が素早く剣を抜き女湯の方へ駆け寄る。

 もうもうと立ち込める湯煙の中、女性陣達が俺達の方を驚いた表情で見つめていた。


「何が有ったのですか?!」

「フェ、フェンリル様が……」

「フェンリルが? どうした……」


 サクラの発した言葉でフェンリルの姿を湯煙の中に探す。

 すると、湯に入る前は子犬程のサイズだったのが今は巨大な元のサイズに戻っているではないか。

 この大きさでは、仕切りの木壁などは簡単に押し倒してしまう。

 そして、フェンリルの背中の上には、ちょこんと跨っているコロニの姿がある。

 その顔は真っ赤だ。


「コロニちゃんが、逆上せてしまったのでしゅ」

「そうなんだよ、アタイが湯から上げようとしたんだけど……」

『私が咄嗟にコロニを背中に乗せ大きくなりました』

「そ、そうか……ミラ、いやセレステさんでも良いけど、早くコロニへ回復魔法を……」

「「回復治癒!」」


 真っ裸のミラとセレステは、二人同時に回復治癒魔法をコロニへ掛ける。

 目映い光がコロニを包むと、真っ赤な顔が元へ戻り、ぐったりとしてフェンリルの背中に乗っていたコロニがキョロキョロと周りを見回す。

 どうやら、無事に復活したようだ。

 それにしても、もうもうと立ち込める湯煙の中とは言え美女達のスッポンポンの姿は目に毒だ。

 そう言えば、俺も同じスッポンポンだった。

 俺は直ぐに湯船を身を沈める。


「み、みんな……立ってないで湯へ身を沈めてくれ!」

「「「「「あっ! キャー!」」」」」

「「「「「主様、お目汚しをお許し下さい!」」」」」

「ジョー様、二度もお目汚しして申し訳ありましぇん!」

「ア、アタイは、ベ、別に良いんだよ……」

「……見ないで」

「おやおや、ジングージ様も、やはり男の子でしたね……」


 マーガレット司教、それは俺も男ですよ。

 こんなに大勢の貴方を除いて若い娘の全裸を見て、興奮しない方が変でしょう。

 俺は自分の顔がコロニの逆上せた顔のように真っ赤になって行くのを感じ、ただただ俯くのだった……。







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連載中:『異世界屋台 ~精霊軒繁盛記~』

作者X(旧ツイッター):Twitter_logo_blue.png?nrkioy) @heesokai

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― 新着の感想 ―
[一言] やばい、神宮寺は第二のロックになって鼻血を吹くかな? ロックは大丈夫か?
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