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商業ギルド

 女性警備兵のアマンダさんは、槍を持った男性警備兵と共に、我々を見送ってくれた。

 それにしても、この異世界の女性達は、美人率が高いと思う。

 アマンダさんは、恐らく20歳以上で、俺よりも年上に見えるが、調った顔立ちは凛々しい。

 それと、革製甲冑の下に隠された胸の膨らみも、ボリューム満点でプロポーションも抜群ときている。

 隣に立つ男性警備兵の甲冑と比べると、革鎧は特注品なんだろうな。


 そんな俺の煩悩を更に刺激するかの様な光景が、スベニの街中に入ると目に飛び込んできた。

 街中の道路は、迷いの森の中にあった女神様の神殿から伸びていた石畳の道の様に、綺麗な石畳で舗装されていた。

 道幅も広く、道路の中央を馬車が行き交い、道路脇を沢山の街人達が歩行してるのだが、女性比率が圧倒的に多いのだ。

 しかも、その女性達は皆、若く美しいときている。

 俺は、アントニオさんへ率直に尋ねてみた。


「アントニオさん、綺麗な街並みですね……それにしても、やたら若い女性が多いのですが、何か理由でも?」

「はははは、お年頃のジングージ様、既にお気づきになりましたか。それはですな……」


 アントニオさんは、女性が多い理由を淡々と教えてくれた。

 今から約70年~80年ほど前の事、この異世界で魔王と魔族の軍団が、魔族以外の種族の人々を滅ぼす戦争を開始し、壮絶な争があったのだそうだ。

 結果として、戦いに参戦した男性の多くが死亡してしまったのだが、突如現れた一人の勇者によって、魔王軍は壊滅してしまった。


 戦いの終了した後、それまでは男女比が50%ずつの半々だったのが、圧倒的に女性比率が上がってしまい、何故か以後も生まれてくる子供の殆どは、女の子が多くなってしまったのだそうだ。

 比率としては、女性が70%以上で、男性は30%弱程度との事。

 そして、多くの若い女性は伴侶を求めるため家に閉じこもらずに、男性との出会い求めるために出来るだけ外出をするのが、お年頃の女性の基本行動なのだそうだ。


 なんという異世界なんだろうか……。やっぱり魔王とか、魔族って居るのか。

 しかも、勇者まで居るという事は、もはや王道ファンタジー世界だ。

 既に獣人族は、兎耳少女ベルさんと、馬耳少年ラック君を間近に見たし、これからドワーフ族とかエルフ族なんてのも、会うことが出来るのかもしれない。

 それにしても、男女比が3対7の異世界って、デフォルト・ハーレム世界か。


 一夫多妻の世界なのかどうかなんて、嬉しく……いや、怖くて聞けない女性に関してはチキンな俺だ。

 それよりも興味深かったのは、魔族の事で彼らは絶滅してしまった訳ではなく、今でも細々だが生息しているのだという。

 圧倒的な魔力を保持しており、強力な個体によっては一人でも、他種族の軍隊1000人以上を、簡単に壊滅させるだけの魔法を放ったそうだ。

 正に魔族は、文字通り一騎当千(ワンマンアーミー)の強さを持っていたわけだ。


 そんな生き残った魔族も、今は敵対しておらず他種族と和解しているのだが、過去の因縁から今でも他種族からは、忌み嫌われているのだそうだ。

 正直、俺が89式小銃をオーガへぶっ放して、三匹のオーガを瞬殺した時は、俺が魔族で爆裂魔法を放ったのだとアントニオさんは思ったとか。

 その後、俺が人族と判った時は、本当にアントニオさんは安堵したのだと言う。


「さて、そろそろ商業ギルドの建物に到着しますぞ。本来なら、そのまま私めの自宅へ直行したかったのですが、オーガの素材を三体も保管し解体せねばならぬので、商業ギルドの倉庫を拝借することに致しました。はい」


 アントニオさんがそう言うと、馬車が石畳の道路を進んで行き、前方に大型の円形ロータリーになった広場が見えた。

 円形ロータリの周りには、5階建て前後の高い石造りの建物が囲んでおり、広場には出店や屋台なども多く出ており、多くの人々の喧噪も聞こえてくる。

 日本の渋谷や原宿、横浜の中華街の人混みも凄いが、ここの人混みも凄かった。

 しかも、殆どが年頃の若い女性とは、思わず女神様に感謝していた俺が居た。


 俺達を乗せた馬車は、ロータリーを左回りに半分ほど回り、別の道路へと入って行く。

 どうやら、この道路に商業ギルドが有るらしい。

 少し進むと、馬車は脇道へと進入してから、大きな駐車場の様な広場へ入り停車した。

 広場の脇には、大きな倉庫の様な平屋造りの建物が見えた。

 恐らく、あの建物が商業ギルドの倉庫なのだろう。


「ささ、ジングージ様、商業ギルドへ到着しましたので、馬車を降りましょう」

「はい……アントニオさん、武器は携帯したままで宜しいのでしょうか?」

「はい、構いませんとも。でも、魔法の使用や戦闘行為を行うと、場合に寄りますが罰せられますので、ご注意をください」

「はい、判りました」


 アントニオさんが馬車を降りたのに続いて、俺も馬車を降りた。

 ベルさんも、俺が降りた後に続いてくるが、ちらちらと俺の方を俯き加減で見てくる。

 うん、可愛いな、やっぱり……。俺は、ロリコンじゃ無いと自分に言い聞かせる。

 馬車を降りると、アントニオさんがギルバートさん達の荷馬車へ、倉庫の方へ馬車を停車する様に指示をした。


「ここは、商業ギルドの裏口になります。恐れ入りますが、私めに着いてこられてください。ジングージ様」

「はい、判りました」


 俺は、アントニオさんの後を追い、商業ギルドの裏口から中へと入って行った。

 俺の後ろからは、黒いメイド服を身につけた兎耳少女の可愛いベルさんが、ちょこちょこと付いてくる。

 うん、ぴょんぴょんでは無いのだね。

 あのメイド服のスカート、長いので判らないけど、お尻には兎のまん丸い尻尾もあるのだろうか。


 ちなみに、馬耳少年ラック君のお尻には、ズボンに穴が開けられており、長いポニーテールが飛び出していた。

 少年のお尻から生えたポニーテールって、それはそれで可愛い感じがしたけど……。

 その姿は、シュールと言えば、そう言えなくもなかった。


 商業ギルドの中を進むと、大きな受付ブースや商談コーナーが多数設置されたロビーに到着する。

 やはり、受付ブース内で客対応をしているのは、全て女性だったのは言うまでもなく、美人率も当然ながら100%だ。

 そして客対応をしていない受付嬢達は、アントニオさんの姿を見つけると一斉に声を揃えて言った。


「お帰りなさいませ! アントニオ会長」





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連載中:『異世界屋台 ~精霊軒繁盛記~』

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