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『霧島華音・転』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第3章 『黒歴史ノート』 ~花子の章~
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『黒歴史ノート』 ~花子の章~ 其の一

「あ、華音様。」

「確か今日は、学校の方に顔を出さないと駄目ですよ?」


何時もの様に、お昼過ぎの穏やかな日常を過ごそうとしていた華音様に、本日の予定を告げる。


「む、面倒くさいな。」

「まあ、仕方がない・・・昼食の後に行く事にしよう。」


華音様は、『霧島華音』以外に学校の運営もしている。

その学校とは、『私立霧華高等学校』といって、香奈ちゃん達も通っている学校だったりする。

基本的に資金だけ出して、運営は投げっぱなしの華音様は、学校に行く事も少ない。

・・・様は、面倒くさいという理由だけなのだが。


昼食を軽く済ませ、私と華音様は、学校に向かう事にする。

私はトイレの扉を開けると、その先を学校の理事長室へと繋げた。

扉があれば”どこにでも移動できる”私の最も得意な能力・・・チカラだ。


「今日は、こちらの書類の山に目を通して頂いて、判子をお願いします。」


普段来ないので、毎回書類の山である。

結局、夕方まで書類と格闘する事になった。


その夜、何時もの様に「オンラインゲーム」を始める私達。


「ふむ・・・今日も居ないか。」


居ないかと言ったのは、漆黒と紅蓮・・・良きライバルであり、グランドクエスト攻略時では、良き仲間でもある。

その廃人とも呼べる二人が、ここ数日はログインすらした形跡がない。


「一体、どうしたんでしょうね。」


「どちらにせよ、あの二人抜きでは、グランドクエストには挑戦できない。」

「・・・今日は、軽く流そう。」


「書類整理で疲れたしな。」と、華音様。

その日は、25時にはゲームを切り上げた。


翌日。

今日は世間的には土曜日・・・になる筈である。

毎日が日曜日。の私達にはあまり関係ないのだが。

まあ、学生・・・香奈ちゃん達は授業が半日な事もあり、『霧島華音』へとやって来た。

しかし、今日は状況がちょっと・・・違う感じ。

いち早くその事に気づいた華音様は、詳しく話を聞いた。

その結果・・・


「つまり、この『ノートの異世界』に行ったまま、兄が帰ってこないという訳だな?」


と、まあ・・・ちょっと訳が分からない状態なのである。


香織ちゃんの話はこうだった。


1週間前の週末の夜、何時ものように寝た。

気が付いたら、『異世界』だった。

しかも其処は、10年前に熱中したゲームの世界だった。

魔王を倒し、光に包まれると・・・目が覚めた。


「夢オチ?」


と思ったが、その内容が『黒歴史ノート』・・・

・・・昔、自分達・・・兄妹が考えた設定だったので、『黒歴史ノート』を確認に実家に行った。

その時は何でもなかったのだが、夜、寝ると『異世界』に行くようになった。

しかし『異世界』で、兄と再会できない。

すると実家の両親より、『直哉=兄』が目を覚まさない。

と連絡があった。

きっと兄は、『異世界』から帰れなくなったんだと思う。


との事。


「かおりんは帰ってこれるんだねぇ♪」


そういえばそうである。

香織ちゃんは何故帰って来れるのだろう?


「あ、うん、ログアウトってメニューがあるの」


「???」


「まるで、オンラインゲームですね。」


「うん、実際オンラインゲームなの。」


「????」


華音様以外の全員は首をかしげている。

夢の世界でオンラインゲームとは?

なにそれ、理想郷!?などと考えるのは、廃人思考なんだろうね。


「なら、実際に行ってみるとしよう。」


華音様は2冊のノートを見ながら言った。


「実際にって華音様?」

「原因は?そもそも、ノートの世界って・・・」


ノートの世界=夢の世界??

そんな世界、私のチカラを使ったって行ける所ではない。

それに、原因が分からなければ・・・


「原因は『付喪神つくもがみ』だ。」


と思ったら、即答。

流石は華音様♪


「『付喪神つくもがみ』って、長い間大事にされた物につく神様ですよね?」

「神様なのに、悪さをするんですか?」


「よく知ってるじゃないか、香奈。」

「確かに神様だ。」

「荒ぶれば禍をもたらし、和ぎれば幸をもたらす。」

「それが、『付喪神つくもがみ』だ。」

「しかし・・・」

「今回の場合は、悪さをしている訳じゃない。」

「だろう?香織。」


「はい、これは私と兄が望んだ世界です。」

「私達は、このノートに理想の世界を描いたんです。」

「終わることの無い、もう一つの世界オンラインゲームを・・・」


大事にされた物には、神様が宿る。

そう、日本には八百万の神様が居るのだ。

何にでも神様は宿る。それが『付喪神つくもがみ』だ。

そうして宿った『付喪神つくもがみ』は、二人の望み・・・ノートの世界を作り上げた・・・夢の中に。

でも、原因が『付喪神つくもがみ』って分かってるんだから・・・

と、ふと思った事を口にする。


「えっと、この場でノートの『付喪神つくもがみ』を祓ったら?」


「馬鹿かお前は」


はうっ

頭ごなしに馬鹿と言われた。


「そんな事をしたら、直哉が帰れなくなるだろう。」

「だから実際に行くと言ったのだ。」

「花子・・・『姫薙ひめなぎ』」


「はい、華音様!」


「『夢』の『精霊』のチカラを借りて、夢の中の『異世界』に直哉を迎えに行く!」


夢の中のゲームの世界・・・ちょっとわくわくした。

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