『終章~花子~』
私はまた、”あの”暗闇に一人ぼっちだ。
私の意識は闇と同化し、何処にいるのか?まったく分からない。
ただ・・・ただ、私というモノ存在は、はっきりとしている。
私は花子。
華音様の属神の『厠神』。
今は・・・華音様が『現世』に存在しない為、私自身も”呼ばれない限り”『現世』には存在できない。
でも、きっと・・・香奈ちゃん達は華音様を見つけてくれる。
私を迎えに来てくれる。
「花子さん居ますか?」
ほら、香奈ちゃんの声だ。
「はーい。」
私は声に答え、光に飛び込む。
かつて、とどかないと思っていた光の中へ。
「花子さんっ迎えに来ました。」
香奈ちゃんは手を差し出す。
やさしい笑顔に華音様よりちょっとだけ大きい手。
私は手を取る。
「ただいまっ」
・・・
・・・
・・・
「すみません。少し時間が掛かってしまいました。」
私が『現世』に存在しなくなったのが、12月頃。今は・・・3月らしい。
それに・・・華音様の姿が無い。
いや、チカラは感じる・・・凄く小さくなってしまってはいるけど・・・
ああ、そうか、華音様は・・・
(うむ、すまんな花子。)
黒猫の『かのん』これが今の華音様だ。
華音様は、香奈ちゃんに『霧島華音』を託し自分はサポートにまわる為、黒猫に込められる魂の殆どを”記憶”に回したらしい。
香奈ちゃんが私を『現世』に呼べるだけのチカラを付ける為の期間が・・・この数か月だったと。
それにしても・・・香奈ちゃんは凄い人だったみたい。
私・・・一応・・・神ですよ?
それを『現世』に具現させるなんて・・・
・・・後で聞いたんですけど、華音様の生まれ変わりだとか。納得。
あれ?っていう事は・・・私は香奈ちゃんの属神って事になるのかなぁ?
(花子。これからは香奈を助けて欲しい。)
「華音様。言われなくてもですぅ」
私は香奈ちゃん・・・いえ、香奈様に向き直ると膝をつき傅く。
「厠神の花子、香奈様にお仕え致します。」
「え、ええ!?ちょ、ちょっと花子さんっそんな、お仕えしますとか・・・」
慌てる香奈様。
この事態を予想していなかったのだろう。
(香奈。花子はお前のチカラで『現世』に居る。お前の属神となったのだ。)
「いやいやいや・・・いきなりそんな事を言われても・・・」
「香奈様、華音様の言う通りです。私は香奈様の御チカラの一部を借りて存在している身です。」
「確かに、華音様の時より姿も子供のまま、大きなチカラは使えませんが、このチカラ我物と思い振るって下さい。」
「え、ええ〜〜〜」
・・・
・・・
・・・
暫くして、香奈様は落ち着いたよう。
「じゃあ、花子さんは私に仕えて貰います。」
「はい、何なりとお言いつけ下さい。」
「じゃあ・・・最初の命令・・・いや、お願いかな??」
お願い?
「えっと・・・今まで通りに接して下さい。」
(・・・香奈らしいな。)
ほんとに・・・ほんとに・・・香奈・・・ちゃんらしいね。
「うん、わかったよ。香奈ちゃんっ」
・・・
・・・
・・・
『霧島華音』と言う店がある。
『不思議』な事を何でも解決してくれる『不思議』の『何でも屋』
今は、店主が変わって、私のお仕えする人も変わった。
新しい店主の香奈様・・・香奈ちゃんは、まだまだチカラがそれ程強くは無い。
だから、私や黒猫になった華音様は勿論、ここちゃんに香織ちゃんや双子達も助けてくれている。
「えっと・・・『不思議』な事を何でも解決してくれるって聞いて来たんだけど・・・」
今日もまた、お客様が来たみたい。
高校生・・・くらいかな?なんだか香奈ちゃんが最初に来た時みたいだね。
その香奈ちゃんが、『霧島華音』の店主になるなんてね。
「その『不思議』の依頼。お受けいたします。」
第一部 終わり
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『霧島華音・転』これで完結になります。
何とか、完結までこぎつけましたが・・・『転』だけを読んでも意味が分からないって事になってしまって・・・
・・・正直反省しています。
これを読んで、他の『無印』と『結』も読んで下されば・・・ありがたいです。
さて、完結とは言え、第一部の完結なんですよね〜実は。
とりあえず、『霧島華音・結』が4月中に完結して、引き続き第2部『続・霧島華音』〜不思議の依頼お受けします〜(仮称)が5月からスタートします。
今回は3つに分かれたりはしません(笑)
もし宜しかったら、そちらも読んでいただけると幸いです。
ココまで読んでくださって、ありがつございました。




