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『霧島華音・転』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第7章 『花の城の音姫』 ~海魔の章~
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『花の城の音姫』 ~海魔の章~ 終

(まっさか、食べ物屋に居付いているとわねぇ・・・)


「華音さん、食いしん坊ですね。」


『社』の裏の階段を上り・・・『桜』。そして『祠』の中へと降りる。

ここから先は、うちと香奈、狐に黒猫の『かのん』の3人と1匹や。

・・・ん?うちと狐も匹で数えるんやろか??

其れは兎も角。


うっすらと光る壁の明かりを頼りに、階段を降り、やがて広間へと出る。


「ただいま。華音さん。」


「おかえり。」

「『かのん』は見つかったようだな。」


「はいっ。」


『かのん』は香奈の手をすり抜け、華音様の元、隣にちょこんと座る。


「早速儀式の準備をする。」

「その後此処の広間は封印され入る事は出来なくなる。」


早速に儀式に取り掛かろうとする華音様。

恐らく・・・時間は余り残っていないんやろね。

そして、


「狐。ありがとう、私を守ってくれて。」


「何を言う。儂は姫の為だったら、命だって惜しくないのじゃ。」


「クラーケンも色々と面倒を掛けたな。」


(いえいえ。この程度、華音様から受けたご恩に比べたら・・・)


「香奈。」


「はい。」


「これより儀式は1週間程はかかるだろう。」

「・・・店で、私達が出会った場所でまた会おう。」


「はいっ華音さん。」


「最も・・・この次に会う時は私は猫の姿だがな。」


「どんな姿だろうと、華音さんです。私の大切な友達の・・・」


華音様は、うちら一人一人に感謝の言葉をくれた。

うちらは『祠』を後にする。

これから『桜』の少女が華音様と共に儀式を行うのやろうね。

香奈の表情に不安の色は無い。

当然、うちらも華音様が無事に戻ると信じている。

香奈達と別れを済ませ、うちと狐だけが残る。


「クラーケン。お主は此れからどうするのじゃ?」


(そうやね・・・一度、海に戻るわ。)

(この位で、華音様から受けた恩に報いたとは思わん。また何かあったら駆けつけるわ。)


「そうか、儂は修行に戻ろうと思うのじゃ。」


(そか、なら暫くのお別れやね。)


「うむ、お互い姫の役に立てるように・・・な。」


(そやね。)


「では、達者でな。」


うちらは、それぞれの場所に戻る。せやけど、華音様から受けた恩。いや・・・多分、うちが勝手に思うとるだけかも知れんけど・・・

・・・友達である華音様の為に、困っていたら直ぐに駆けつける。

たとえ・・・どんな所でも、何年、何十年たっていようとも。



・・・

・・・

・・・



其処は深い闇の中。

海よりも、地よりも深く暗い。

富士の地下深く封印されしものは呟く。


「ふん、猫一匹殺せんとは・・・」



夜魅やみの王』



手勢は失われ、なおも低級な夜魅やみを使役し、黒猫・・・『かのん』を殺そうとした。

『かのん』が、『黒狼叉音』の元に届けられた今、打つ手は無い。


「お互いに、手札を使い切ったようだな。」


その目は遠く、てうしの地を見据えている様にも見える。

黒狼叉音は、現世に分身を置いて、有利になったつもりかも知れないが、所詮は猫一匹。

手勢さえ、整えば何とでもなる。

富士の封印を解き、『常世とこよ』を『現世うつしよ』に具現させるには、『黒狼叉音』の喰らう他には無い。


「何にせよ・・・暫くは、様子を見る事になりそうだな・・・お互いにな。」


深い闇の中、一つの影が揺らめいた。

其処にはもう、影は居なかった。

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