『花の城の音姫』 ~海魔の章~ 其の一
うちは『楔』に向けて2枚の『符』を飛ばすと、水中にもかかわらず抵抗など無い様に一直線に『楔』に張り付く。
2つの『符』、すなわち『ばりやー祈願』と『大爆発祈願』。
『ばりやー祈願』で『楔』の周りに特殊な結界を張り、『大爆発祈願』で文字通りの大爆発を結界内で起こす。
うちがチカラをこめると・・・
ずしんっ
っと周囲が震える。
結界内で逃げ場のない熱量は、相当なモノ。
(しっかし、メチャクチャやね・・・華音様のチカラは。)
(これで、本来のチカラを出せていないとか、どんなチートなん?)
結界がぱりんっと割れると、そこに『楔』は確認できない。
(みっしょんこんぷりーとやね。)
(亀。次の場所いくで?)
(は、次の場所は・・・です。)
うちは亀の海魔を引き連れ、高速で水中を移動する。
多分途中で、亀を振り切っちゃうかもやけど・・・まあ、問題は無い。
残る『楔』は後一本。
華音様のご命令を受けてからもう、10日程過ぎている。
少し・・・時間がかかりすぎたやろか?まあ、幸い・・・最後の一本は、以前『楔』があった場所とそう変わらない。
何時の間にかまた、『楔』があった・・・という事や。
私がさらに速度を上げると、亀の姿は次第に見えなくなった。
・・・また、振り切っちゃったわ〜
・・・
・・・
・・・
うちと亀が最後の『楔』に到着したのは次の日の事だった。
(さて、さくさく壊して、華音様の元に戻りましょうかねぇ♪)
うちは、『符』用意する。
(ちょっと待たんか!)
海流が渦巻き、うちを襲う。
うちはソレを片手で薙ぎ払う。
(なん?じゃなせんとき!)
(そうはいかね! これ壊されたら・・・また作るの面倒くさいだろ!)
(それに、あのお方に怒られるわ!)
(そんなん知るかいな。)
うちと『楔』の間に割って入ったのは、『河童』の夜魅のよう。
作るとか何とか言ってる辺り・・・コイツを倒せば、新しい『楔』が出来なくなるのだろう。
ま、当面の間・・・って事やろうけど。
(兎に角だ。壊して回る輩がいるから何とかして来いって言われてる以上、好き勝手にはさせん!)
(はぁ・・・好き勝手にやってるのはあんさんの方・・・なんやけどね。)
(まあええわ。かかってき! 水陸両用の淡水生物!!)
(はっ利根の大河童と言われた俺をなめんな!)
大河童・・・ねぇ・・・??
今のうち(人間バージョン身長160cm)と対して大きさ変わらんのやけど・・・
(小河童の間違いやないの?)
(うっさいわ!俺は3代目なんだよ!!そのうちデカくなるわ!!)
(だが・・・)
河童が再び海流を放つ。先程とは比べ物にならない程の大きさ。
うちは、その海流と逆巻きの海流を放つと、その海流を相殺した。
(そう、訂正はしないけど、そこそこは・・・やるようやね。)
(イカの姉さんもな!)
うちは、亀に離れる様に指示をする。
(遊んであげるわ? 河童。)
(抜かせ!!)
うちと河童の放った海流が再び激突した。




