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『霧島華音・転』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第6章 『千重の桜』 ~妖狐の章~
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『千重の桜』 ~妖狐の章~ 其の五

「おはようなのじゃ」


翌日。儂は、姫の学校へと登校する。

先日、「また明日なのじゃ」と、桃井香奈に言って別れたからだ。とは、言っても明後日になってしまった訳だが。

先ずはそのことを謝る。その後、放課後に時間が取れるか尋ねると、「あ、うん・・・大丈夫。」と言った。


放課後。

桃井香奈を連れて、『霧島華音』へと向かう。ここは里にある姫の家なのだそうだ。

歩きがてら、桃井香奈は儂に色々と聞いてきた。

主には、姫の事。儂が昨日居なかった事についても気になっていたようだ。

それにしても・・・


「華音さんって・・・音姫なんですか?」


と聞いて来たときは驚いた。

本人に聞いた訳では無く、文献を読み解いて調べたと言う。

そこまで調べたのならば、


「お主達が『霧島華音』と呼ぶ少女こそ、音姫の事だ。」


と教えた。儂に関しては・・・どうやら千重さんと混同している様で・・・

それに関しては、はぐらかしておいた。


そうこうしている内に、『霧島華音』に到着する。


「入るぞ?」


きぃぃぃぃぃぃと軋む扉を開け中に入る。


「あら・・・ここちゃんに・・・香奈ちゃんっ久しぶりですねぇ♪」


「あはは、こんにちは。花子さん。」


「姫はおるか?」


「華音様は、まだ『桜』の所ですよ。」


ふむ、やはり『桜』の所から動かんか。なんぞ、昔の様じゃの


「それなら学校から直接『桜』に行った方が良かったの。」


「いえいえ、『桜』は今、何人たりとも近づけません。」

「私なら、『桜』の近くまで行けますから、一緒に迎えに行きますか?」


花子のチカラにより、厠と思われる扉と『祠』とが繋げられる。


扉をくぐる。

その先に見えるのは、満開の『桜』


「お、皆来たのか。」


其処には当然が如く姫が居る。


「華音さんっ」


「香奈。久しぶりだな。」


「うんっお店に行っても全然いないんだもんっ」


「すまなかったな。」

「ちと・・・野暮用でな。」


「野暮用とはな。これだけの事をしておいて・・・」


まったく姫は、言葉遣いこそ変えたが、こういう所は変わらんな。


「なんだ、狐も来ていたのか。」


「なんだはないだろう、なんだは。」


わざとらしく言う姫。

桃井香奈は、不思議そうな顔をする。


「華音様。そろそろ香奈ちゃんに説明してあげた方が・・・」花子が言うと、姫は経緯を話始める。


事の始まりは『楔』。そして夜魅やみ・・・夜魅やみの王。

其れにより訪れるであろう危機。『常世とこよ』の浮上による『現世うつしよ』の崩壊。

さらには、夜魅やみの性質や行動理由なども。

しかし、こと、結界と姫自身に関しては、真実を告げていない。

『桜』の下・・・『祠』の地下深く眠るのは姫自身。結界の役割も守る為では無く、敵を誘い出す為。

儂も「それを手伝っていたと言う訳じゃ」と話を合わせておく。

やはり、姫自身の事は、まだ・・・桃井香奈には伝えたくなのだろう。


桃井香奈は、「あれ?あれ?音姫が華音さんで・・・桜が桜井さんで・・・」と、その辺りは分かっていなかったようだ。

儂は簡単に、「唯の妖狐じゃ」とだけ言っておいた。

姫自身の事や千重さんの事について、姫が言いあぐねていると、見知らぬ声が聞こえた。


「そこから先・・・話してもいいのか?」

「お前の為にならんと思うぞ?」


儂は直ぐに臨戦態勢を取る。

こやつ、音も立てえずに結界内に入りおった。

般若を模した面を被った姫のような夜魅やみ


「ほう、これは大物が釣れたようだな。」

「・・・夜叉姫。」


「流石に、わらわを知っておったか。」

「ならば、何をしに来たのかも分かるじゃろうて?」


「花子。」

「今すぐ、香奈を連れてこの場を離れるんだ。」

「狐っ!手伝え!!」


儂と姫は、桃井香奈と花子が扉の奥に消えるのを確認すると、夜叉姫と対峙する。


「まったく・・・狐使いが荒い・・・のじゃ。」

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