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『学校の七不思議』 ~華音の章~ 序
世の中に『不思議』な事は結構ある。
例えば『私』。そして『花子』。
そんな私達が『不思議』を扱う『何でも屋』をしているのは『不思議』じゃないのかもしれない。
この世とは、『現世』。あの世とは『常世』。人の世。夜魅の世。
そのどちらにも、私の居場所は無いのだろう。
人に寄り添ってはいるが、私は・・・人では無いのだから。
「華音様?」
花子の声に、私ははっとして、意識を戻す。
「お茶が入りましたよ。」
「何か、ぼーっとなされてましたが?」
ずずず・・・
私は花子の入れたお茶を飲む。
『現世』に存在はしているが、していない。
それは、花子も同じ。
「花子。」
「もうそろそろ、香奈達にも話す時なのかもしれんな。」
花子は驚いたように動きを止める。
「・・・そう・・・ですね。」
「でも、きっと・・・香奈ちゃん達なら・・・きっと大丈夫ですよ。」
「・・・そうだな。」
私はさのやをほお張ると、お茶で一気に流し込む。
「さて、レベリングを再開しようか・・・『裂光』。」
「はいっ『深淵』♪」
私達は、何時もの様にオンラインゲームに興じる。
その時が来るのが怖い。
そんな感情を押し殺す様に・・・




