『自分攻略サイト』 ~一郎の章~ 終
「まあ、その後の記憶はありません。」
「気が付いたら、ベットの上で・・・手術も終わって今日のお昼にはICUから、一般病室ですよ。」
全治1ヶ月・・・だそうだ。
幸い、骨折等で済んだ。やはりトラックが最後の最後で逸れたのが良かったらしい。
俺は、移ったばかりの一般病室で、『華音様』と話をしている。
「そうか、運命は変わったのだな。二郎。」
「しかし、私は何も手を出すなと言った筈だったのだがな。」
「華音様、私は一郎ですよ。」
「ああ、分かっているよ。」
「二郎はな・・・」
「お前の守護霊だよ。」・・・『華音様』はそう言うと「話を聞かせてくれてありがとう。」と、帰っていった。
守護霊・・・その意味は俺でも分かる。
あの時に見えた気がしたのは、やはり二郎だったのだ。
俺は少し疲れたので、眠る事にした。
夢で、二郎にあった。
「ありがとう。二郎。」
(なに、お安い御用だよ。兄貴。)
(兄貴が、昔と同じ・・・優しい兄貴で良かったよ。)
(あの・・・俺が死んだ事故の時も最後まで俺を助けようとしてくれたもんな。)
「それは・・・当たり前の事だ。」
(なら、今回の事も当たり前の事だよ。兄貴。)
俺達は夢の中でいろいろな事を話した。
俺は大人の姿、二郎は子供の姿のまま。
しかし、二郎は俺と共に・・・俺の守護霊としてだが成長してきたのだ。
目が覚めると・・・懐かしい・・・とても気分が良い朝だった。
それは・・・
・・・この世には不思議な事が結構ある。
その事に気が付いた、そんな不思議な話。




