『黒歴史ノート』 ~花子の章~ 終
「華音様、終わりましたね。」
「うむ。」
そのゲームの”本当の終わり”を望んでいたのは、直哉さん達だけでは無い。
私や華音様、そして一緒に戦ってきた戦友達。
皆が平和になった『アース』が見たかったんだ。
その望みが漸く叶った。
「まさか、こんな形で・・・なんてねぇ♪」
夢の終わり。
華音様が、『黒歴史ノート』に付く『付喪神』を祓えばそれで終わり。
「さて、他の者が起きる前に事をすまそうか。」
「はい、お祓いの準備をしますね。」
「花子。お祓いの準備じゃない。」
「神を移す準備だ。」
「え?『御神移し』です・・・か?」
『御神移し』とは、御神体を他の神社とかに移す神聖な儀式の事。
いや、まあ・・・付喪神も一応神・・・みたいな者ですけど・・・
「私達の夢を叶えてくれたんだ。祓って終わりと言うのは、ちょっとな。」
「それなりの御神体に移って貰い、祀るのが良いと思う。」
「え?むしろ御神体を作るんですか??」
「それって、『神創り』じゃ・・・」
「なに、ふさわしい御神体がうちにもあるじゃないか。」
そんなの有ったかなぁ??
華音様は、倉庫の方をごそごそとやっている。
「ほら、これだ。」
取り出したのは、SECAのゲームハード。
黒いボディに金色の文字が輝く、傑作ハードにして『ファンタジースターオンライン』の家庭機用がプレイ出来たハードでもある。
(とは言っても、私も華音様もPC版をプレイしていたのだが。)
「本当は白木を使うのだが、この付喪神にはこちらの方がふさわしいだろう。」
「・・・そうですね。」
こうして、華音様の手によって、『黒歴史ノート』は唯のノートになった。
そしてこの御神体は、『霧島華音』の一角に祀られる事となった。




