『黒歴史ノート』 ~花子の章~ 其の七
(ステージ4・・・クリア。)
(10分のインターバル後、ファイナルステージを開始します。)
「やっとファイナルステージね。」
「ああ、思ったより苦戦はしなかったが、連戦で前線にある程度の被害は出たようだ。」
「私も、ポーションが心許無いです。」
「其れならば、私のをやろう。」
「後衛はポーションを殆ど使わんからな。」
私達は、ステージ2、3、4とクリア順調にクリアしていった。
登場するボスが、そこまで強くは無かったから・・・なんですよね。
難攻不落と言われた『ガーディアンベータ』も出現したけど、『サテライト』無しのverだったしねぇ♪
何にしても・・・
・・・最後の戦いが始まる。
(ファイナルステージ・・・スタート)
(エマージェンシー・・・エマージェンシー・・・)
「む、いきなりボスか?」
「そうみたいね・・・」
今回は雑魚戦が無く、ボスが登場した。
巨大な要塞・・・とも思える『ベータ』
中央に巨大な砲塔、無数の砲台を持ち、金色に輝いている。
バーチャ○ンのボス・・・みたいな感じ。
『コマンダーベータ『キャノン』』
「・・・いやな感じの名前だな。」
「どうしたんですかぁ〜直哉さん」
「あの名前の感じだと、絶対に変形もしくは、第2形態がある。」
「「「「あ〜確かに。」」」」
まあ、ラスボスなんですから、「私はまだ2回変身を残しているッ」位の事はやって欲しいですよね?
・・・そうじゃなきゃ、面白くありませんから。
「他の皆さんの所はどうなんでしょう?」
香奈ちゃんがそう言うと、タイミングよく『神羅』から『ウインドチャット』が届いた。
「此方の状況を説明する。」
「ベータが無限に沸くステージのようじゃ。」
「故に、他の所には救援には行けん。」
「クリア条件はただ一つ・・・指揮官を倒し撤退させる事じゃ。」
「つまり・・・私達次第・・・って訳ね?」
他の3箇所も同じ状況らしい。つまりは、他のから救援は来ない。
と、言う事ね。
「ならば、さっさと終わらせた方がよさそうだ。」
「直哉、花子は砲台の破壊、香奈は後ろに弾を通さぬようガード、私と香織は巨大砲塔を叩く。」
「「「「了解!」」」」
華音様の指示に、私達は攻撃を開始する。
「行くぜぇ!『ライトニング・スライダー』」
雷撃を纏った大剣にのり、サーフィンのような形で砲台に特攻する。
ロックした相手にある程度ホーミングし、間合いを詰めるのにも使えるスキルである。
つまり、テム○ン。
高所にある砲台に狙いを定めた直哉さんは、それを破壊すると、そのまま隣の砲台にもスキルを放つ。
「やりますねぇ〜『漆黒』」
「こちらも、負けてられませんっ!!『セイクリッド・スキュア』」
私は、光を纏った槍を投擲する。
これも、射程内ならある程度のホーミング性能を持っている。
直哉さんと反対側の砲台を串刺しにし、予め付けてあった自動巻取り式のワイヤーで、砲台までジャンプする。
大型の敵と戦う時のパターンのひとつだ。
そのまま、隣の砲台にもスキルを放ち破壊する。
どうやらこの形態の『コマンダーベータ』は、張り付かれると攻撃のバリエーションが少ないようだ。
張り付いている限り、小型のバルカンでの攻撃しかきていない。
私はそれを、槍を回して防御するスキル『円舞陣』で弾いた。
一方その頃、下では、倒し切れていない砲台とライフルの攻撃が続いていた。
「香奈っライフル多数・・・くるわ!!」
「お任せくださいっ『ゾーンシールド』」
「そして・・・『シールドソーサー』!!」
うぁー香奈ちゃん凄いわ・・・
ライフル弾を『ゾーンシールド』で全て弾いたのち、『シールドソーサー』(通称キャップ)で砲台を破壊とか・・・
「お兄ちゃんっ、花子さん、離れて!!」
「・・・華音さんっ!」
香織ちゃんの声に、私と直哉さんは近接距離から離れ間合いを取る。
「うむ。」
「『クリムゾン・ノヴァ』!!」
「『エクリプス』」
2つの極大魔法が砲塔に炸裂した。
深い闇と紅蓮の炎は混ざり合い、漆黒の炎となり収縮・・・そして漆黒の炎の柱が立ち上った。
・・・うわー、えげつないですねぇ〜
これ、ちょっと巻き込まれたら死ねますよ?
「やったの?」
「いや・・・まだだ。」
「しかし、ダメージはある筈。」
「あの砲塔が、攻撃する前に破壊しよう。」
「おっけ。」
再び、華音様と香織ちゃんは魔法の詠唱に入る。
しかし・・・
「砲塔が・・・動くぞ!!」
(エネルギー充填完了・・・『サテライト』起動・・・)
「あ・・・まずいっ」
「皆さん、私の後ろに!!」
(『サテライト』・・・発射。)
ちょ、『サテライト』って洒落になってないって!!
「『ゾーンシールド』!!」
香奈ちゃんは、襲い来る光の螺旋を拡散させ防いでいる。
ただし、『ガーディアンベータ』の時とは違い、『コマンダーベータ『キャノン』』の場合は、自身の砲塔より放っている為、上からではなく横からの攻撃になっている。
って事は、『ガーディアンベータ』の時の『サテライト』もコイツが打っていてのね。
それよりも・・・
「香奈っ 防ぎきらないと・・・城下町が危ないわ!」
後ろには、拠点としていた城下町がある。いくら城壁があるとはいえ、多大なる被害を出すだろう。
「防ぎきって・・・見せますっ!!『アルティメットシールド』!!」
香奈は『シールド』の多重展開で対応する。
盾スキルと花屋のスキル『フラワーアレンジメント』の複合スキル。
当時、こんな裏ワザは発見されていなかった筈。
・・・まあ、花屋なんて誰も取ってませんでしたからねぇ♪
(『サテライト』エネルギー残量残り10%・・・)
光の螺旋とも思えるレーザーが既に、1分程照射されている。
「あと・・・少し・・・『ハードシールド』」
「あ、あれ??・・・クールタイムは終わってるのに??」
香奈ちゃんは盾スキル『ハードシールド』を多重展開使用と試みたが、発動はしなかった。
「まさか・・香奈っ!」
「『フラワーアレンジメント』のクールタイムの確認!」
「・・・『フラワーアレンジメント』クールタイム中」
「終了まで後15分・・・」
『フラワーアレンジメント』にもクールタイムがあったとは・・・
しかも、残り15分って・・・どんな上級スキルでもそんなには長くない。
(『サテライト』エネルギー残量残り5%・・・)
「香奈っ今張ってるシールドは持つの?」
「残り、10秒程で破られると思う・・・」
「正直・・・ギリギリ・・・」
その時、直哉さんが何かを取り出した。
・・・ポーションの瓶の様な物に見える。
「直哉さん?香奈ちゃんのHPなら全快してますよ?ポーションの効果は無いと思いますが??」
「な〜に、これはある所で手に入れた秘薬さ。」
「ちょっとした、保険の様な物だよ。」
直哉さんは香奈ちゃんにその秘薬を振りかけた。
その行動に気が付いたのは、恐らく私だけだっただろう。
勿論、防御する事に集中していた香奈ちゃん自身に出さえ・・・
(『サテライト』エネルギー残量残り4・・・3・・・2・・・1・・・0)
パリーーーン
「・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁ」
光の螺旋の照射が終わるのと同時に、香奈ちゃんのシールドが破られた。
しかし、螺旋の余波が私達を襲う。
香奈ちゃんは、両手を広げると私達の盾となり、余波をまともに浴びてしまった。
「香奈ーーーーっ」
華音様の・・・今まで聞いたことの無い様な大きな声。
香奈ちゃんはそのまま倒れこむ。
・・・香奈ちゃんのHPゲージはみるみるうちに減っていった。




