『黒歴史ノート』 ~花子の章~ 其の五
私達は昔、私と華音様が拠点として使っていた城下町に到着した。
ここは比較的大きく、また、『ベータの最終拠点』への便も良い。
きっと華音様達なら、この城下町を拠点にしている筈。
そして、多分何時も泊まっていた宿屋にいるだろう。
と、その前に・・・
「あ、私、ちょっとこの先の武器屋に、アイテムを預けていますので、取りに寄りますね?」
「うむ、其れは構わない。」
「しかし、『烈光』の装備はどれも一線級以上の装備だと思うが?」
「それに、その槍は・・・伝説級・・・『グングニル』だろう?」
「はいっその通りっ『グングニル』です。」
「でも、実はとっておきがあるのですよ。」
「ほう、其れは・・・」
「それは、内緒で〜す♪」
等と、『神羅』、『幻影』と話していると、目的の武器屋に到着する。
早速中に入ると、店の奥に居る店主に話しかける。
「おっちゃんっ預けてあったアレを出してください。」
「〆烈光の騎士〆フロイライン〆花子〆様!?」
「お預かりしていた、『アイギス』ですが・・・」
「『アイギス』だって!?」
『幻影』が話に乱入する。
「『アイギス』と言えば、『最強の盾』と名高い伝説級の盾じゃないか!?」
「サーバーに1個存在するかしないかと噂になった・・・」
「ええ、そうです。」
「その所有者が、花子さんですね・・・あ、正確には華音さんがドロップしたんでしたっけ?」
「そうで〜す、流石『深海』。事情に詳しいねぇ♪」
「華音様がドロップしたんですけど、装備できないので私が使ってたんですよ〜♪」
華音は、その時語ったと言う・・・
「私が装備できるものは出やしねぇ・・・その癖、伝説級が出やがる・・・」
「此れが『物欲センサー』か・・・」
と。
「まあ、そんなこんなで〜♪」
「おっちゃん〜宜しく〜〜〜♪♪」
「いえ、それがなぁ・・・」
「「「「それが??」」」」
「《真なる深淵》《華音》様が、引き取りに来て・・・持っていったんだ。」
「なんでも、仲間の盾特化の嬢ちゃんが使うとか・・・」
「それ、誰!?」
思わず私は、おっちゃんに詰め寄る。
「いや・・・香奈?とか言ったかなぁ?」
あ、そういう事ですか・・・盾特化にした香奈ちゃんが、『アイギス』で『ガーディアンベータ』の『サテライト』を防いで勝った・・・って事??
つまり、香奈ちゃんはそれ程の使い手って事か・・・
・・・はあ、私の伝説級・・・
・・・
・・・ま、いいか。
元々ドロップしたのは、華音様だし・・・グスン。
そんなこんなで、宿屋に到着。
「私が行ってきます。皆さんはここで待っていてください。」
私はまるで我が家の様に、酒場を抜け2階の部屋に向かう。
目的の部屋に着くと、自分の部屋に入る感覚で、扉を開けた。
がちゃ
「華音様、来ましたよ〜」
「あっと・・・〆烈光の騎士〆フロイライン〆花子〆・・・参上!」
びしっとポーズを決める。
「うお、『裂光』か!?」
「花子さんっ!」
ふっふっふ・・・決まった・・・私、めちゃくちゃかっこいい登場したわ・・・
「5人揃ったわね。」
「これで、5ヶ所全てに向かうことが出来るようになったけど・・・」
「いや、先程も言ったが、其れは得策ではない。」
「この5人で敵の本体を叩くべきだ。」
「しかし、それじゃ他の4か所の町や城が・・・」
って、ポーズに関してはスルーですか!!
「其れに関しては・・・花子。」
「間に合ったんだな?」
「はい、華音様。」
「皆さん、窓の外を見て下さいな♪」
私は宿屋の窓を開ける。
外には、私と共にこの世界に来た『戦友』達がいる。
「『幻影』に『白狼』!?」
「『神羅』に『深海』もいるわ!?」
「フッ こんな楽しそうな祭り・・・俺達を混ぜないつもりか?」
「そうじゃ、我もこのゲームの結末が見たかったのじゃぞ?」
「みんな・・・」
「でも、何故皆がこの世界に?」
「うむ、それはだな・・・」
華音様が、私に『戦友』達を集めさせた経緯を説明する。
なんか、オイシイ所持ってっていません?華音様??
「・・・そっか、そういう事・・・なんだ・・・ね。」
「火燐。何がそういう事なんだ?」
「私達だけでは攻略できない訳が分かったのよ。」
「それはね・・・」
「それは?」
「ここはもう、『私達の夢の世界』じゃなくて、『みんなの夢の世界』なのよ。」
「そうか・・・そうだな。」
二人は、眩しそうに『戦友』達を見ていた。




