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Brothers ~弟から見た兄貴の巻~

作者: 清水蒼

僕は、兄ちゃんは優等生だと、ずっと思っていた。



兄ちゃんは僕とは違い、昔から成績優秀で、性格も落ち着きがあってしっかりしていると言われていた。僕にしてみては、親やご近所さんにいっつも兄ちゃんと比べられてあまり良い気はしなかったけど。

それでも、兄ちゃんが真面目な優等生であることは認めていたし、僕の宿題を見てくれたり、相談にのってくれたりもする。僕にとってはかなり「良い兄ちゃん」だった。


過去形で言ってしまったが、今も良い兄ちゃんに変わりはないとは思っているんだよ?ただ…


僕は兄ちゃんの、衝撃的な一面を知ってしまったんだ。



それは2学期が始まってすぐの、土曜日のこと。


僕は兄ちゃんからスマホを借りようと思い、兄ちゃんの部屋に忍びこんでいた。何やっとんねん!?と思うかもしれないけど、その時兄ちゃんは部活に行っていて、入室許可のとりようがなかったんだ。


兄ちゃんは高校の入学祝いに、両親から携帯を買ってもらったんだけど、どうもまだ持ち歩くクセがついてないみたいで、こうやっていつもほったらかして外出してしまう。

この時も兄ちゃんの机には携帯は置きっぱなしになっていた。僕はよく兄ちゃんに頼んで携帯を貸してもらっていたから、少しくらいなら勝手に使ってもいいだろう、と思い、兄ちゃんの携帯を手に取り、インターネットに接続した。


検索画面が現れ、下に検索履歴が表示される。その一番上に表示されたワードを見て、僕は脳ミソに電気が走ったようなショックを受けた。そこにはごくシンプルにたった4文字で、



おっぱい。






…おっぱい。









……おっぱい!?




僕はしばし呆然としてしまった。あの単純な、たった4文字の言葉に脳天を撃ち抜かれたみたいな気分。ドキドキして、頬が熱くなる。


兄ちゃん、何てこと調べてるんだ。


やっと落ち着いた僕は呆れてそう思った。そして、気を取り直し、自分が調べたかったものを検索しようとした。


が。


どうしても「おっぱい」の文字が頭から離れない。あれを検索したら、何が出てくるんだろう?



知りたい!


見てみたい!


好奇心に負けた僕は、結局例の言葉を検索してしまった。兄ちゃんを責めることなど、もう僕にはできない。



さらに情けないことに、その後僕はこの「おっぱい検索」に、すっかりハマってしまった。兄ちゃんに携帯を借りては、好きなアイドルや女優の名前と組み合わせたりして、毎日のように「おっぱいワールド」を満喫していた。



ああ…情けない。すいません。ホント、すいません。


でも、もうやめられない、止まらない。


そしてその行為は、唐突に、いともあっさりと兄ちゃんにバレてしまった。

理由は単純。僕がついうっかり履歴を消し忘れたのを兄ちゃんに見つかったんだ。


「おい、お前…これって…。おまっ…何てこと調べてんだ。」


兄ちゃんが携帯を僕につきつけながらそう言った時は、バレた恥ずかしさと動揺で、一瞬頭の中が真っ白になったが、兄ちゃんがまるで他人事のように呆れた様子で言うのでカチンときた。


「なんだよっ兄ちゃんだっておんなじこと調べてたじゃん!それも履歴も消さずに!母さんに見つかってたらどうするつもりなのさ。」


僕が言い返すと、兄ちゃんはうっと声を詰まらせた。バレているとは思っていなかったみたいだ。



しばし、二人の間に微妙な空気が流れる。






昔から仲の良かった兄弟でも、


思春期をむかえると、


互いの意外な一面を知り、


驚いたり、


心配したり、


怒ったり、


辟易したり…




それでも、仲良し兄弟のお話。


END

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