道子とマリウス
道子はマリウスと言う老人から日本舞踊を学んでいた。
2年間と期間が短いので、道子は朝は、5時に起床し、夜の8時まで、食事や休憩以外は、日本舞踊に打ちこむことになった。
「道子さん、あんたなかなか筋がいいね。この分だと、1年程には接待の練習もできそうですな。」
道子はマリウスに苦手意識があったので、うれしそうではなかった。
「あんた、あたしにここまで躍らせといて、さらには接待までさせようってのかい?」
「もちろん踊りをできるようになってからですよ。
ちなみに接待客になるのは有名な神様ばかりですので、くれぐれも失礼のないように」
この建物では1年に一回神様たちの宴会が行われるようなので、道子はそこで、接待をさせられるようだった。
「いったいどんな神様だい?」
「水の神、煩悩の神、土の神、神様は総勢600名ほどです。
大丈夫ですよ。道子さん一人で接待とはなりません、他にも総勢100人体制のコンパニオンも一緒に呼んできますので」
「あたしは、そんな神様の機嫌を取るようなことはできないよ。」
道子は、されるがままのこの状態に半ばうんざりしそうになっていたが、実は道子は暴走族をやっているときにコンパニオンとして働いたことがあるようだった。
「まあまあ、神様も、お酒を飲んでしまえば、それほど恐ろしいものでもございませんし、どうぞお気軽に接待をしてくださいな。」
マリウスはそう言って、道子を説得すると、再び道子に踊りの練習を再開させた。
パチパチパチという音に合わせて、道子は、懸命に踊り続けた。
次第に道子は汗で、浴衣がべとべとになった。