受講開始
キーンコーンカーンコーン
教室にはチャイムが鳴った。
「さあ、太郎君、これからアブラ語を学びましょう。」
洋子先生は、どこからどう見ても日本人女性であったため、太郎は、洋子先生にそのアブラ語を学ぶことに少しためらってはいたが、どうやら、ここから出る方法など、無い様なので、太郎は素直にアブラ語を学び始めた。
この建物には、窓がなく、外がどういう風景をしているのかは、わからないようになっており、1番室から100番室までが、食堂や、寝室、ダイニング、そのほか、ショッピングモールなども完備されており、まるで、超巨大な大学の様な建物であった。
「では、太郎君、まずは、この教科書に書いてある、アブチョウラ語、すべて丸暗記するまで、音読しましょう、では私が先に読みますので、ついてきてください。」
「俺、こんなの初めてだ。時間が掛かる。」
「大丈夫ですよ太郎君。何度も音読したら、いやでも覚えますから。」
太郎は言われるがままに洋子先生が、音読している教科書を見ながら、復唱した。
1時間ほどが経ち、休憩がはいって、太郎は、洋子先生に話しかけてみた。
「洋子先生、この建物は、いったい誰が作ったんですか?」
「ここは神聖な、場所です。もともとここには神様の住む神殿があったわけですが、
神様は、人間が、この世界に誕生した時に、文化を繁栄させるために、教育施設を作ろうと、お思いになられたので、元あった神殿が、いまのこの建物として、作り変えられたのです。」
洋子先生はポケットからフリスクを取り出して一粒口にした。
「休憩時間には毎回一粒食べる。」
洋子先生は、椅子に座って、きりっとした目で、太郎を見つめながらそう語った。
「神様は今、どこにおられるのでしょうか?」
太郎は尋ねた。
「今は、空豆池におられます。太郎君も、この講義が終わった後に空豆池に行ってみてはどうでしょう。」
洋子先生は口をむにゃむにゃしながら言った。
「空豆池・・聞いたことは無いな。ここからどの位の所にあるんですか?」
太郎はこの建物に入って以来、すっかりかしこまってしまい、洋子先生には敬語を使っていた。
「受講を終了していただいた後太郎君にも行ってもらいますが
この建物を出て南西に約40キロ程の所にございます。」
「40キロ・・・」
太郎はそれを聞いて、遠いとも思ったがその後すぐに近いなとも思った。
「キーンコーンカーンコーン」
またチャイムの音が鳴った。同時に、次の受講が始まった。どうやら、休憩時間は10分間の様だ。