スペースリザード大冒険~学園編・序章~
一発ネタだよ!!
なお、この作品は実在の人物、事件、団体とは一切の関係がないことをお断りしておきます。
この作品はフィクションです。
この藍空市立藍空高校に校長として赴任して二年になる。
この高校が特殊なのか、やたらと物凄い名前の子供たちが多い。
まず、名前が普通に読んだら読めない。なんだね、ポ●モンのモンスターの名前を子供につける親なんて、我々の世代からは到底考えられない。
わからないのかね、そんな名前を付けたら、同年代にSAT●SHIがいたら、「ゲットだぜ!!」とか言ってイジメラレルのは、火を見るより明らかではないかね!! それがわかっていながら、何故つける?
子供がイジメラレルのは、学校の教育が悪い? そんなわけなかろう!!
なんだね、阿厨魔悪鵜とか、そんな名前、我々が学生時代には、到底考えられないぞ。
ミドルネームなんてつける純正日本人は滅んでしまえ!! 学生の名前すら覚えられないのに、まともな生活指導なんてつけられるわけなかろう!!
毎日、阿厨魔悪鵜君のいじめ問題で我が校は揺れに揺れている。一昔前に作られた耐震偽造の建築だから、物理的にも揺れている。たまったものではない。
今日も記者会見だ。だいたい、いじめているのがSAT●SHI君だからな。仕方ないと言えば、仕方ないのか……? 家庭に問題があると言ったら叩かれるしな。というより、叩かれた。
世間では今、賛否両論湧き起っている。
だいたいにして、問題がSAT●SHIとその仲間が阿厨魔悪鵜の大事にしていたポ●モンのフィギュアをぶち壊したことだ。彼らは、フィギュアで遊ぶより、外に出て野球とかサッカーをしようぜ、と誘ったのを阿厨魔悪鵜が断ったのが、原因だ。
連日誘うSAT●SHIと、その仲間たちに対して、連日断る阿厨魔悪鵜。一日断るたびにSAT●SHIとその仲間が一体ずつフィギュアを壊していく、という構図が出来上がり、ある日阿厨魔悪鵜の父親が被害届を出したのだ。
私からすれば、その程度で被害届を出すなよ、と言いたい。
はあ、昔は楽だった。
見た目からして、いかにも不良です、といった連中が多かったからな。私も、教師として駆け出しだったころは、学生と殴りあいなどしたものだ。今、殴りあったりしたら、すぐ訴えられる。私ももう歳だから、殴りあったところで、勝てそうもないがね。
「校長よ、現実逃避は終わったかね?」
妄想に浸っていた私を現実に呼び戻す声。
今、私の目の前では、私のポケットマネーで買った(少しだけ)高級な椅子に座る茶色の蜥蜴がいた。そして、その右手には、私が糖分補給として買っているGO●IVAの高級チョコ。それを、何の躊躇いも、味わうこともなく口に運んでいく。
「いいかね、校長。ワガハイらがこのような場所にいる、などという事はこの国の連中にばらされたくないのだよ。色々と問題が起こるからね」
数日前からこの学校に居座っている蜥蜴丸と名乗るこの男、人間っぽい蜥蜴か、それとも、蜥蜴っぽい人間か……?
入り口近くでは、これまた宝くじで当たった金で買った、ゴルフゲームで遊んでいるゲーサンと呼ばれている緑色のマッチョな蜥蜴がいる。
おい、それは私が妻に隠れてためた金で買ったドライバー。簡単に素振りするんじゃない!! しかも、私より遥かにいいスイングするじゃないか。なんだ、そのスイングでは納得しないのか!?
「ワガハイらがこの学校で自由に活動する自由を与えたまえ。その見返りに、君がカツラであるという事を、ばらさないでおこうではないか」
「本当に、黙っていてくれるのか……?」
この蜥蜴に私のふさふさヘアーが実はカツラであるとばれてから、私はいつばらされるか不安と恐怖で押しつぶされそうだったのだ。この、ナイスミドルの地位が奪われようとしている。
「しかし、いいのかね? 教育者たるものが、真実を覆い隠す行為をしているとは……」
茶色の蜥蜴がからかうように私に声をかける。
「バカだな、君は、よく言うだろう。真実は一つではないのだよ。私がカツラをつけていても、誰も傷つかないのだよ」
「教育者が嘘をつくかよ……」
「可愛い嘘、というやつさ」
「クカカカ、では、可愛い嘘、とやらをワガハイたちの為にもついてもらおうか……?」
こうして、藍空市立藍空高校で自由に動き回る蜥蜴二匹の姿が目撃されるようになったという。
そして、蜥蜴丸たちが学校を去る日、校長がヅラだという事は、ばらされた。
阿厨魔悪鵜君のいじめ問題は、校長の妄想です。