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聖なる龍達の伝説 -The Legend of Saint Dragon's-  作者: 四十茶
第1幕:誰が為に彼らは征く
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第1話:引き寄せ合う糸

月日が流れ去るのはなんとも早いことであろう。


黒い竜:フューリーサウルスの出現による世界的大災害が起こって早200年という永い月日が経過した。


その間にも人類は何度か戦争をする。

起こす日が積み重なるたびに被害は増え、厭戦気分は広がっていく。


平和が尊いとなんども思い起こされる。

しかしそれが保たれるのは1世紀有れば良いというのが人間という種の限界であった。

いや、そういうのは誤謬がある。正確には人類が現在に至るまでの進化の上で必要だった機能であり、より長く生き、種を反映させる人間の“進化”の結果である。


200年という月日は人間の身体の変化はもたらさなかったが、代わりに精神の成長という物をもたらした。


ようやく人間は統一に向けてその歩みを進め始めたという事である。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



時刻は明朝。

最新の携帯ゲーム機の目覚まし機能による控えめだが確実に人を起こす音が響く。

何でそれを利用しているかというと、単に目覚まし時計が狂ってしまって使い物にならなくなった為である。

意外と電波とかで時刻を修正していくこういったゲーム機は目覚ましに打って付けなのである。


「ぐ・・・・・むぐぅ・・・・」


何でこんなに早く自分はセットしているんだ、と心中愚痴を零した持ち主の20代半ばの

男はモゾリと動いてゲーム機のスイッチを切る。

ゆっくりと起き始め、支度を始める。

朝飯に年代物なトースターに食パン2枚を詰め込んで焼き上げる。

マーガリン少々と苺ジャムを組み合わせたパンは格別だ。これだけでも結構行ける。


「そいじゃ、行ってきますわぁ」


いつものように誰もいない部屋に行ってきますを言う。小さい頃からの習慣な為だ。

時期は春、朝早ければ冷たい空気が肌を刺す。


この男、稲葉光輝は大学院生でいつもならば本来ならもう少し遅めの出発なのだが今回はいつもよりかなり重要な案件のため、このような朝早い時間に起きたのだ。


そして最初の交通手段であるバス停に到着した。


一息ついて、稲葉は事のはじまりである先日を振り返る。

彼の悪友、角田清和の相談事から始まった。



「おぃい・・・そんな目で見るなよぉ・・・・」


と相談を打ち明けた角田は稲葉に睨まれ、情けなさそうな声を出す。


「オメェ何時からそんなキッショイ口調で喋るようになったんだ?」


「たった今」


といつもどおりのやり取りである。

こう見えても角田は積極的に動かない稲葉に色々案件を持ちかけてくれる。


「つかよぉ、俺って一様生物科だぜ?接点ないだろ」


今回はどうやら遺跡調査らしく、とりあえず由緒正しいと言われるうちの大学院からも何人かが選ばれているらしい。

どうやら若いながらも考古学で中々の事をしでかしている角田もお呼ばれしたらしい。


「あーん、実はなぁ先発隊ってのがあってなぁ・・・それらがちょっとな」


「うわー、だからお前は選ばれたんかよー。なんだかんだで下っ端なオレらじゃそんな重要な件が降りてくる訳ねぇし」


聞いてみればなにやら変な生き物が遺跡を守るように調査隊を妨害したらしい。

なにやらけが人も出ているらしく、人が寄り付かなくなってしまったという。


「という訳で、友の頼みだということで、ここはっ!」


「いや、無理だろ」


「そんな殺生な」


稲葉としては角田の気遣いもありがたいがこればかりは流石に受けれそうにない。

身の危険は生物科ならば多少覚悟せねばならないが。


「そう言うと思って、こんなの持ってきたわぁい」


と角田は数枚の写真を取り出した。

それを見た稲葉が表情を変える。


「おい、こりゃあ・・・!」


彼が驚くのも無理はない。

それは壁画の写真であったがそこに写っているのは抽象的ではあるが、稲葉には分かる姿である。


「【コンヴィクター】、じゃねぇか・・・・!」


裁く者と名付けられた美しい竜。

今の映像機器と比べれば玩具同然の物だが、綺麗に撮影されている映像が稲葉の脳裏には焼き付いている。


「――――てか、この写真どうやって手に入れたんだよ」


「ふっふん、ちょっとな」


「・・・・・おいおい」


入手の仕方がまともではないということが暗にわかる。


「でよ、どうする?」


「断れないの分かってて言ってきてるなこのやろう・・・・!」


コンヴィクター関連は曽祖父より前の代から研究がある。

角田はそこ関連の知識も必要としているのであろう。

そして家柄上、稲葉は是が非でも行きたいと思ってしまう案件。


「よし、決まりだ。出発はなぁ―――――」



回想に更けていたのも束の間、乗る予定のバスがやってきた。

今日は遅れて到着しないで定刻通り来た―――運がいい。


そしてバスの乗車口に乗り合わせる。

このあと、自身の運命が大きく変わることなど知る由も無い。


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