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17. 最善手の模索


カイルと時を同じくしてーーー。


フレッドは城内に戻り、セレナの安否の確認へと向かった。


(今この瞬間、第一に護衛をするべきは皇太子ご夫妻。まずはその安全の確認と確保を。)


「ボーガット副団長殿!こちらです!」


正面の衛兵が叫ぶ。

フレッドが向かおうとした、その時。


(これは……魔力。)


魔力の接近を認識した瞬間、後ろの外壁が破られ、魔獣が出現する。


外にいた魔獣たちとは違い、硬い外郭に覆われた蛇のような巨大な魔獣だ。


「ここに来るまでにはこの国の衛兵たちもいたはずだが。」

当然、魔獣がその問いに答えることはない。


このまま魔獣が向かう先にはセレナがいる。

ジルフリードの言葉をそのまま受け取るならば、狙いはセレナだ。


「この魔獣は俺が引き受ける。あなた達は中へ入って皇太子ご夫妻の安全の確保を!」


衛兵に指示を出し、フレッドは杖を構える。

目の前の敵の排除に全神経を向けた。


「思い通りになると思うなよ。ここで仕留める!」


数秒ーーー、睨み合い、先に動いたのは魔獣の方だった。


尻尾の先が青く発光し、次にはその先がフレッドめがけて向かってきた。


魔法障壁を発動し、これを防ぐ。

が、障壁にはヒビが入り、何発も受けることはできない。


(攻撃の原理は魔力によるものだろうが、攻撃自体は物理攻撃。それもかなりの威力だ。魔法障壁では少し分が悪いか。)


冷静に相手の攻撃を分析し、詠唱から反撃に移る。


(まずはその大層な外郭がどの程度かを見極める!)


詠唱により術式を編み、魔法陣を展開。

岩石の矢を放つ。


だがその硬い外郭は見た目通りの性能を発揮し、矢が砕かれる。


「ちっ……。」


(やはり硬いな。かといって炎や雷はこの狭い場所では周りに被害が出る。大技も城の倒壊を招きかねない。それならば……。)


フレッドは杖を構える。

が、その構えは先ほどまでとは違い、魔術師のそれではなかった。


フレッドは魔法により杖の先端の金属部分を変形、槍のような形に姿を変えた。


そして、一気に距離を詰める。


槍状となった先端に魔力を集め、その硬い外郭の節を狙い一撃を叩き込む。


直撃の瞬間に合わせて魔力を放出し、通常の攻撃の数倍となった一撃に魔獣が後ろにのけぞる。


「魔導槍術。こっちの方がお前には良さそうだ。」


杖ーーー否、槍を構え、排除対象を鋭く睨んだ。


魔獣の猛攻を防ぎ、躱し、隙を見て一撃を入れる。

言葉にすると単純な作業ではあるが、これには途方もない集中力と精密な技量を必要とする。


側から見ると圧倒しているように見えても、防御と攻撃の両方に常に魔力を使用しているフレッドは、ジリジリと消耗していく。


(着実にダメージは入っているが、このままではこちらが先に限界が来る。)


フレッドは同じように一撃を入れると、後ろへ飛び、大きく距離をとった。


そして、一瞬のタメを作り、通常よりも多くの魔力を刃先に込めた。


「……行くぞ。」


地を蹴り、一直線に魔獣へと向かう。


魔獣が尻尾を伸ばしてフレッドを狙う。


これを槍で逸らすも、躱しきれず肩にダメージを負う。

が、止まることは許されない。


尻尾を伸ばし切って隙だらけの身体ーーーその核へと、渾身の一撃を叩き込む。


外郭は貫かれ、核が音を立てて割れた。


魔獣は倒れ、動きを止めた。


(終わったな。)


魔獣が動かなくなったことを確認し、フレッドはセレナのいる部屋へと歩き出す。


瞬間、魔獣の方から一際大きな魔力を感じ取り、振り返る。


振り返った時には強力な魔力弾が発射され、フレッドとその後ろ、セレナのいる部屋が狙いなのだと瞬時に察知する。


(これは、魔獣の核が壊されたことがトリガーとなっている術式か!)


フレッドは咄嗟に魔法障壁を展開。

だが、それは呆気なく破られ、その勢いを殺すことなく向かってくる。


「……やむを得ん!」


槍全体、そして腕に魔力を集中させ、その魔力弾を受け止める。


受けた衝撃で飛ばされそうになるも、なんとかこれを防ぎ切り、魔力弾は消滅した。


だが槍は砕け、腕は魔力弾を受けたことにより皮膚がただれている。

今の防御のために魔力もほとんど底をつき、フレッドはその場で膝をつく。


「……詰めを、誤ったか。」


自身の判断の甘さを厳しく評価しつつも、彼はその役割を間違いなく全うした。


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