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「ノイズの中の約束」

「はあっ、はあっ…!」

吹き飛ばされたGIFガーディアンの破片が、ノイズの雨となって降り注ぐ。

崩れかけた街、揺らぐ色空間の中で、俺は膝をつき、息を切らしていた。


「佐伯、あなた…本当に、JPEGなの?」

リレイヤがゆっくり歩み寄ってきて、そっと手を伸ばした。

指先が触れると、微かな震えとともに、彼女のレイヤーが重なり合うように見えた。

一瞬、視界に「合成モード:オーバーレイ」という謎の文字が浮かんだのは気のせいだろうか。


「リレイヤ…俺は、JPEGだ。けど…何かが違う気がする。」

俺は胸の奥を指で示した。そこにあるのは、かすかに点滅する未解放のRAWデータの痕跡。

それは、俺がかつて人間だった記憶と、この世界に来た理由の鍵のような気がしてならなかった。


「…私ね、」

リレイヤがぽつりと呟く。


「私は分割されたPSDなの。本当は一枚の美しいデータだったのに…可逆連合に分解されて、ここに囚われたの。」


彼女の目が潤み、頬を流れるのはアルファ値100%の透明な涙。

「だから…あなたの中に残るRAWの残響が、私を…私を元に戻してくれるかもしれないって…そう思ったの。」


俺は、ふと、彼女の肩に手を置いた。

JPEGとPSD。決して交わらないはずの二つのデータ形式が、今、触れ合おうとしている。


「俺が…君を救う。」

決意を込めて、リレイヤの目を見つめる。


だが、その瞬間――


「無断再構築、許可しない。」

無機質な声が響き渡り、夜空を切り裂くように、PNGの姫が降り立った。

透過のドレスを纏い、冷たい笑みを浮かべたその姿は、まるで神々しい裁きの天使のようだった。


「JPEGの存在は画質劣化の元凶。PSDは、我ら可逆連合が保護する。」

彼女が手を掲げると、空間が歪み、透明度100%のエネルギー刃が生み出される。


リレイヤが叫んだ。

「逃げて、佐伯!」

でも、逃げられるはずがない。

JPEGとPSDの絆を、ここで終わらせるわけにはいかないんだ――!



次回予告!

第5話「可逆連合との死闘」

透明な刃が迫りくる中、遥とリレイヤはPNG姫との死闘へ!

「俺はJPEGだ! たとえ圧縮されても、この想いだけは失わない!」

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