表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喫茶 MADOROMI  作者: アリエス
2023年3月から…
7/23

2023年4月3週間目

2023年4月3週間目。アパート近くの公園の桜が満開になり、公園内の花壇には黄色や白の水仙が咲き、ようやく春の訪れを感じた火曜日の午前中。早めに起きた私は、散歩がてらその公園に向かい、ベンチに座り1人花見をしていた。手にはスマホ。桜の写真を撮るためだ。前から写真を撮っては、気に入った写真をスマホの画面の壁紙に使用している。今のスマホの壁紙は、冬に撮った虹色現象の写真。たまたま買い出し帰りの夕方に見た現象。車を運転中だった私は、慌てて車を路肩に停めてハザードをあげた。周りを確認し、車の外に出る。薄雲が夕日を隠す様にし、その雲に太陽の光が反射して起こる現象…。

「ハロ…かな?…」

路肩に立ちしばらく眺めた後、写真を撮る。丸く大きなハロ。湾曲した両隣りに縦型の虹…。初めて見る現象に驚きながらも美しいさに魅了された。車内に戻り、周りを確認して、車を出す。アパートに帰ってすぐにスマホを手にし、さっきの現象を調べる…画像を見ながら、同じ現象の画像を見つけ”これだ…”画像の解説を読む。「…なんて読むんだ?…げんじつ?」幻の日と書いて、幻日…。解説には”一定の気象条件が合わないと見れない”とある。解説を読み終え、撮った写真を見て、1番綺麗に撮れた写真を壁紙にした。

「…今日からしばらく、桜花にしよ。」

桜花の写真を撮り、歩いてアパートへ。部屋には寄らず駐車場に停めてある車へと乗り込むと”あのお店”に向かった。

エンジンをかけ、運転を始めた。通い慣れた道路。いつもの交差点は…やはり赤信号。

「やっぱり赤か…。」

喫茶店の駐車場に着き車を停め降りる。心地よい風が吹いていて私の身体や髪を撫でていく。

ドアを開けると、”カラカラ”とドアベルの音。共に”いらっしゃい”とマスターの声が聞こえた。マスターはカウンター内に居て、洗ったコーヒーカップを磨いている。

「好きな席に座って…コーヒー…かな?」

ちゃんと挨拶もしていない私はマスターの問いかけに”うん”と首を縦に振る。カウンター席左側から2番目の席。

「今日は豆を挽いたばかりだからすぐ出来るよ。」

マスターはお湯を沸かし、コーヒーを淹れ始めた。コーヒーを淹れる手順をジッと目で追う私…。その視線に気付いたのか、マスターはコーヒーを淹れ終わると、雫がデカンターに落ちるのを待ちながら、

「ここのコーヒーはドリップなんだけど、ペーパーフィルターでは無く、ネルフィルターを使用してる…後、たまにだけど、サイフォンでも淹れるよ。」

マスターはデカンターにコーヒーの雫が…

最後の1滴が落ちるのを見届けると、温めたコーヒーカップへと注ぐ。コーヒーカップから立ち上る湯気と、香り…。”お待たせ…”と一言話すと、マスターはコーヒーを私に差し出した。テーブルに置かれたコーヒーを飲むと、今日は苦さよりも甘さの中に爽やかな酸味…。でも口当たりはとても円やか…。

「今日は前回の豆と違う豆を使用して、配合も変えてるからね…どうかな?」

マスターの問いかけに、私は”美味しいです…”と答えた。その一言にマスターは優しい笑顔を見せていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ