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喫茶 MADOROMI  作者: アリエス
2023年3月から…
5/23

2023年4月1週間目

2023年4月1週間目の火曜日。私は炬燵に当たりながら、パソコンの練習をしていた。仕事を辞め、1か月。その間にパソコンを覚えようとしていた。

「今時、パソコンを使えないと大変だよ。」

と主人に言われて始めたパソコン。前の職場でもパソコンを少し使う事はあったとしても、出退勤の時間を入力するだけだった。キーボードを前に私は文字を打っていく。ローマ字打ちのキーボード…”あいうえお、かきくけこ”と打ち込む。打った文字を画面を見て確認する。…”あいうえお、かきくkこ…”あれ?またやった…。よくやるこの打ち間違いに、講師をしてくれている主人は呆れている。

「ここまで不器用なのか…困ったな」

主人の言い草に私はムッとして、

「英語…ローマ字苦手…。」

とボソッと呟いた。

「…ローマ字は英語じゃない…日本語を…プッくく」

主人は堪らず吹き出した。

私はチマチマと不器用ながらにも手を動かしながら文字を打つ。主人は私のその姿を笑いながら見ている。それが昨夜の出来事。そして、今日も家事を済ませてから、パソコンに向かう。

カタカタとキーボードを打つ。アパートの部屋には私の打つパソコンの音と台所にある、あの、ある意味”人”の様な時計の秒針の音が響いていた。あらかた打ち終わり、もう1つの時計を見た。炬燵を挟んで向かい側にはテレビボードがあり、その上が棚になっていて、そこには振り子の時計が置いてある。時効は11時を示していた。

”少し早いけど、お昼にしよ。”

炬燵から出て、台所に向かう。ガサガサと買って置いた、バームクーヘンを開け、立ちながら食べる。なんとも行儀が悪いけど、これでいい。炬燵で食べたら最後、強烈な眠気が襲うから。食べ終えるとマグカップに水を汲み、一気に飲み干した。

洗面所に行き、歯磨きをして、髪はサッと手ぐしで直す。身支度を済ませ、アパートを出た。”あのお店”に向かう。今日はアパートからだから、あの交差点を直進…。そう思いながら車を走らせた。あの交差点…相変わらず赤信号で停る私。今日も信号は赤…。毎回だから慣れた。

信号が青になり、車を走らせ、”あのお店”の駐車場に滑り込む。車のエンジンを切り、車から降りた。ドアに掛けられた吊り看板が微かに風で揺れている。”OPEN”の文字…

「…やってる…」…

私は、”お店”のドアに近寄りそっと手をドアノブに掛け、ドアを開けた。”カラカラ…”乾いたドアベルの音が店内に響く。店内に足を踏み入れると、目の前にはカウンター席があり、右側にはボックス席。左側にも…と…”いらっしゃい”と声が聞こえた。突然声を掛けられ、驚き固まる私…。カウンター席右側にある本棚の前に、その人は立っていた。

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