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喫茶 MADOROMI  作者: アリエス
2023年3月から…
2/23

2023年3月2週間目

2023年3月。仕事を辞めて2週間目。

アパートの掃除と洗濯を終わらせて、実家へと顔を出した。昼前には実家に着く。

「来たよー。」

玄関の扉を開けると同時に声をかけた。

と…玄関のくつ箱に飾られてる鉢植えの花を手入れしていた母親。

「あぁ、来たか…。」

チラリとこちらを見てまた鉢植えに目を戻す。

「何してるん?」

玄関に入り、母親に聞いた。母親は花を見ながら

「見たら分かるでしょ?」

会話すらマトモに、と言うか聞いても悪いのか?

と思っているとボソッと母親は、”誰も手入れしないからねぇ”と呟いた。

鉢植えの隅っこにポップが刺してある。

”カンパニュラ・メリーベル”と記されてるその花は、茶色の鉢植えを覆い隠す程の葉をワサワサと茂らせているにも関わらず、花自体は、小さな紫色の星型の花。可憐なその花は、とても繊細。母親の指先が枯れた花を摘み取る度に、まだ咲いて間もない花もポロリ、ポロリと取れてしまう。枯れた花はどうあれ、咲いて間もない花も…道連れに…。

あらかた取り終えたのか、母親は私に”どう?”と聞いた。

「いいね。」と私は応えた。

霧吹きで水を与えられた花は生き生きとし、まだ蕾も沢山ある。

「代わりはいくらでもいるよ。」と花がそう語りかけた様に見えた。くつ箱に落ちた咲いて間もない花と枯れた花達は、言葉なく、母親の手の中に集められた。リビングに向かう母親。扉を開け、ゴミ箱に集めた花を捨てた。パラパラと乾いた切ない音が、枯れた花とまだ咲いて間もない花の別れの言葉に聞こえた…。

「お昼食ったの?」

母親の問いかけにふと我に返る。

「まだ食べてない。」

母親は、キッチンの流しで軽く洗った手をタオルで拭きながら、

「昨日の夜の残り食べるか?」と私に尋ねた。

「食べる。」

「食べたら買い出しに行きたいんだけど?」

母親は冷蔵庫を開けながら話す。

「うん。どこに行く?」と私が行先を尋ねると母親は、魚が欲しいから、隣町のスーパー。と答えた。

実家から車で15分位の隣町のスーパーの鮮魚コーナーにはこの辺りには無い珍しい魚が売ってあり、たまに買いに行く。

「わかった。」と返事をし、食事をとる。食後、少し休憩し、出かけた。隣町のスーパーに着き、店内へ。鮮魚コーナーにはメバルにサワラ。ニシンに桜鯛と、春を告る魚が並んでいる。母親はメバルを手にしながら、”煮魚にしよう。最近、食べてないし…”と呟やき、パック詰めにされたメバルを籠に入れた。

諸々の買い物を済ませ、帰路につく。実家近くの交差点に差しかかった時、ふと交差点の右側に”あのお店”が目についた。

”…あのお店…やってるのかな?”…と。突然!

「信号、赤!!」

母親の声に驚き、私は慌ててブレーキをかけた。

「何やってんだ!!よそ見してんな!」

車の中に母親の怒なり声が響いた。怒られながらも実家に着き、車から大量の荷物を実家のリビングに運ぶと、母親にアパートに帰る事を告げる。

「じゃ、そろそろ帰るね」

車に乗ると、母親が玄関の外まで見送りに来ていた…。




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