きゅるる✿魔法少女
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「それより寒いから早く窓を閉めてくれない?まさか可愛いマスコットの小さなおててで苦労して閉めろとかいわないよね?」
心做しかワントーン低くなった声で言われ、ののかは慌てて窓を閉めた。
「はー……って、きったなぁ!!何このゴミ置き場みたいな部屋!?せめて部屋くらいは可愛くしといてよ!」
「えっ、えぇ……えっと、すいません。」
「はー……なに?」
「えっ?」
「何その目?不満でもある?」
部屋の中で唯一のものが平に置けるスペースの机のはし。
カップ麺を汚いものを持つように手でどけて大量のテッシュでそこを拭く。
その上にテッシュを沢山引いてシードは腰を下ろした。
「あの、なんか……その」(ボソボソ)
「ボソボソ喋ってたら聞こえないよ!言いたいことあるならちゃんとに喋りなよ?それとも言葉すらまともに喋れないの?」
「……たっ、態度悪過ぎません!?マスコットってもっと優しくて可愛いですよね!?」
「……はっw」
鼻で笑ってからののかを頭から足先まで見て嫌な顔をするシード。
「優しくされる見た目になってからそういう事は言ってよねw」
「そっ、そんなの差別ですっブコッ!!」
大きな声を出して器官が少し塞がれ、汚い語尾がついてしまう。
「ぼくはさー、魔法少女のリーダー!可愛いトリックピンクのますこっとなんだ。今の君ってトリックピンクって言うよりトリックpigじゃん?そんなやつのマスコットなんて……やる気出ると思う?」
「そ、そんな事言われても……わっ、、私が魔法少女だってそんなの信じられないし!だからただただ悪口言われてて……それで!それでッブゴッ」
「そんなブヒブヒ騒がないでよ……。僕だって信じたくないよ君が魔法少女なんて……ハァ。」
「じゃっ、じゃぁ!早く出てってくださいよ!それでその可愛い魔法少女探しに行けばいいじゃないですか!!」
「バグかもしれないけどここに魔法少女がいる反応が出てるんだよ。はぁ……君美少女の同姓同名の妹とか居ないの?」
「いや、同姓同名の妹ってそんなのいるわけ無いじゃないですか!弟はいますけど……もう何ヶ月も話してません……」
「へー……別にどうでもいいんだけど、君の家族事情とか」
シードはマスコットにあるまじく鼻をほじって鼻くそを机につける。
「あっ!そーだ!変身!!」
「えっ?変身?なっ、なんですか?ブゴッ」
「もし魔法少女なら変身できるはずだよ!君が誤作動で魔法少女に認識されてるなら変身は出来ない!つまり君は魔法少女じゃなくて、僕はフラワーランドにクレームをいれられる!」
可愛い花のペンダントをののかにずいっと押し付ける。
「ほら、なにしてんだよ……。早く変身って言えよ、こっちだって暇じゃないんだけど?」
「ひぇ、へっ変身?って言うだけでいいんですかっ……!?!?!?」
急に辺りが白く光る。
ピンク色の花型の光がののかの体にまとわりつき、いつの間にか裸のののかを身体に花が咲くように衣装が装着されていく。
勝手に閉じる目、勝手に上がる足。
普段しないポーズに身体が悲鳴をあげるがそんな事お構い無しに変身は進む。
悲鳴も上げられないまま、腰をひねり、顔の前で可愛いステッキを掲げ、足をピンと伸ばした姿。いつの間にかピンクに染まった艶やかな髪型なびき、花のような可愛い衣装に身を包んでいる。
「咲き誇る気高い花!トリックピンク!」
決めポーズとセリフを言うとやっと身体が自由になる。
「いだだだたっ!?えっ!ポーズって強制なの!?えっ、服くるしぃ!!!」
その場にへたり込むののか。
ののかをこの世の終わりのような目で見つめるシード。
「どうやら君は本当にトリックピンクだったんだね……。んー、そう言われてよく見れば……骨格は可愛い女の子だ……目も……」
ガっと手で目を開かれる。
「!?!!?」
「うーん、脂肪で見えにくくなってるけどまつ毛も長くて黒目も大きい……。」
「な、なにするんですか!!っうぅ苦しい……ブゴッ」
「君はどうやら素体は美少女のようだ。」
「はっ?はぁ!?」
「ただ、不摂生が祟ってるせいで本来の姿からオークになってるだけ。」
「オークってそんな酷いいいかたっブゴッ」
「つまり君を痩せさせて色々メンテナンスすれば僕はちゃんと美少女の使い魔になれるってことだね!!」
「はっ?はぁ!?」
キツイ服を必死で脱ごうとチャックを探しながら不満を訴えるののか。
「あっ、その服は脱げないしちょっとやそっとじゃやぶけないよ?じゃないと戦う度に丸裸になるからね!」
「そんなっ、手が鬱血してきたんですけど!?」
「その衣装がピッタリになるように僕もサポートするから頑張ろうね!」
「はぁ!?」
ビリッ
衣装が一部破れた音がののかだけに聞こえた。
「ん?どうしたんだい?」
「いや、なんでもないです……あの、元に戻るにはどうすれば?」
「コンパクトの真ん中を長押しすると戻るよ!」
なんとかコンパクトを開きボタンを押して元に戻るののか。身体はバキバキで、元の緩い服に戻ったことで血行も戻りやっと息をすることができる。
「さぁ、そうと決まればこのゴミを掃除するとこからはじめるよ!ほら、何やってるの?ゴミ袋持ってきて?」
「いや、動けな……い、それに私はやるって言ってないっっ」
「やらないなら仕方ない。僕も穢れが相当溜まるからやりたくないけど……君を殺すしか無いなぁ……」
シャキンーーー
ふわふわの可愛い手の先が鋭い刃物にかわる。
「来世では可愛くなってねそれじゃぁ――」
「やります!やります!!魔法少女!憧れだったんです!健康的にもなれて最高!!よろしくお願いします!!ブゴッ!」
「そぉ?やってくれるの?ありがとう!これからよろしくね!ののか!」
「はっ、はぃ……」
かくしてののかの魔法少女生活とダイエット生活はここから始まった……
ダイエットがんばります。
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