48-3バカ
「ここが帝都の冒険者ギルド……」
街の北側、門の近くに建てられている冒険者ギルドは大きく、広い建物だ。まず、内装が広い。掲示板の大きさ、受付の数、酒場の席数。どれをとっても他の街のギルドよりも圧倒的だった。そして、その奥、建物の外には演習場が設置されているようだ。これは他の街にはなかったものだ。
「あ、ノイン。今日は私たちと組まない?」
「お、ノイン。なあ依頼手伝ってくれないか。ノインの力が必要なんだ」
「ノイン。俺たちのパーティーに入らないか」
冒険者ギルドに入って早々たくさんの冒険者からノインが話しかけられた。隣にいるナナとアルを無視してノインの周りに人だかりができる。
「流石ダイヤモンド」
「ダイヤモンドになるとこれだけ引っ張りだこになるんだね」
アルとナナはノインの人気っぷりに唖然とする。
「ごめんみんな。もうフリー期間は終わりよ。あたしのパーティーメンバーが帰ってきたから」
ノインは集まる冒険者の勧誘を断る。
「紹介するわ。知っている人もいると思うけど、あたしの弟のアルよ」
そして、その冒険者の視線はアルに注がれた。半分以上は誰だこいつという感じだ。しかし、アルのことを知っている人もいた。
「アル? アルじゃねえか。いったいどこいってたんだ。いつ戻った」
「ヒトラー、久しぶり。ちょっと修行で人里離れた場所にいてね。2日前に戻ってきたんだよ」
アルに1番に話しかけてきたのは赤髪の青年。アルの肩に手をかけすごく親しい感じだ。
「アルー。お前がいなくなってボクは寂しかったのだ。バカ仲間が1人減ったのだ」
「ネロ、酒臭い。まだ昼間から飲んでんのかよ」
次にアルに抱きついて来たのは酔っ払いの緑髪の青年? すごく中性的な見た目の男だ。
「アル、全然成長してないね。これじゃあうちの相手はできへんな」
「黙れビッチ」
「リョチ、あたしの弟には手を出さないでよ」
「なんか変わってなさそうだな。お前らまだゴールドか」
「うるせえな。俺たちが本気だせばスターなんかすぐだぜ」
「言うことも変わってねえし。ゴールドなんだな」
アルと3人は久々にあった者同士仲のよさそうにしゃべりだす。
「ノイン彼らは」
「ミソノペンティートっていう冒険者パーティー。あの赤髪の人がリーダーのヒトラー、あの酔っ払いがネロ。であの青髪の女がリョチって言って依頼失敗率ナンバーワンの冒険者パーティーね」
「失敗率ナンバーワン……」
あまりの言いぐさにナナは困ってしまう。
「ランクもゴールドとシルバーを行ったり来たり。ただ、あれだけ失敗して死にかけたりしているのに全員ピンピン生きてるのが凄いのよね」
ノインは彼らについて語るが出るのはいい話ではない。
「そういうお前こそランク上がったのかよ」
「人里離れた場所って言っただろ。上がってないよ」
「じゃあ俺たちと同じゴールドじゃねえか」
「降格しまくっているやつと一緒にするな」
彼らは話ながら酒場の卓に座る。そのままお酒を頼んでいる。
「ちょっと、アルは飲んじゃ駄目よ」
ノインも急いでついて行きアルの飲酒を止めに入る。ナナも行こうとしたが周りの冒険者の言葉が耳に入り立ち止まった。
「おい、あいつ3バカと仲よさそうだな」
「ゴールドだってよ」
「背も小さいし、ノインと並べるんか」
「大したことねえんじゃねえの」
・・・・・・3バカってすごく不名誉な異名。
アルのことを知らない冒険者たちはアルのことを下に見る。彼らの仲でアルは底辺冒険者の烙印が押されたのだ。
その冒険者の中から1人集まる5人のところへ歩いて行く。
「ねえ少年。ちょっと私と手合わせしない」
声を掛けたのはノインに最初に声を掛けた女の人だ。ノインと似たようなタンクトップと短パンで体に革のベルトを撒いている。オレンジの髪も肩で切りそろえられて完全にノインに似せている。。
「え? またこのイベントやるの?」
アルはノインとのジョッキ争奪戦から手を引き、これから始まることが分かりめんどくさそうに答えた。
緑髪。・・・のだ。ネロのモデルはずんだもん。ずっとずんだもんの動画見てる。