“上流階級のヒモ男の俺を飼うには、それなりの金が無いと飼えないよ!”
俺は金の無い女には飼えない男!
“その名は上流階級のヒモ男”と巷で一部の地域では有名な男だからだ!
俺は某有名な会社の社長夫人の愛人や高級クラブのNO1のホステスに
飼ってもらっていた。
女性に何不自由しない生活を送っていたんだ。
その代り俺が女性を癒し満足させてあげるのが条件だ!
そこら辺の【ペット】よりも質のいいヒモ男だよ。
家事は全て俺がする!
料理や掃除もプロ並みに上手い!
いつも高級料理がフルコースで出てくるんだぜ!
『聖矢の作る料理は“一流の料理人が作る料理より美味しいわ!”』
『当り前さー! お前だけの為に作る料理なんだから。』
『聖矢が私の傍に居てくれて幸せ!』
『俺もだよ。』
『一生! 私が聖矢を飼ってあげるね!』
『それは嬉しいな。』
・・・でも? コロナもあって飲食業界は全滅!
彼女はいきなり無職になり俺は彼女に捨てられる。
『・・・ごめんね、もう聖矢を飼えないや。』
『いいんだ! この先は、自分の事だけを考えろよな。』
『ありがとう。』
『じゃあ、俺は行くよ。』
『うん。』
俺は“ヒモ以外の仕事をした事がない!”
まあ、する気もないんだけどな。
早く俺を飼ってくれる女性はいないか?
もうそろそろ限界に近づいていた頃、俺を飼ってくれる女性が現れる!
・・・だが? 彼女は庶民的でジーパンにパーカーを着ていた。
それでも、今の俺の状況はかなりヤバい!
既に1週間は“水”だけで生きている。
何とかこの状況を変えなくては、、、?
『・・・た、頼む! 俺を飼ってくれ!』
『えぇ!?』
『俺は君の為に何でもするから!』
『わ、分かりましわ、家に来てください!』
『・・・あ、ありがとう。』
・・・そんなこんなで俺は彼女の部屋に連れて来られる。
初めて見る“ワンルームマンション。”
7畳半の狭い部屋にこれから二人で住むのか?
【グ―――ッ。】
『取り合えず直ぐに、“ご飯作りますね!”』
『えぇ!?』
『お腹すきましたよね、直ぐに作りますから。』
『・・・い、いや? 俺が料理を、、、!』
『お客さんに料理なんか作ってもらえません! そこに座ってて。』
『・・・あぁ、は、はい。』
彼女が作ってくれた料理は“パスタ”だった。
誰でも作れそうな簡単なパスタ。
だけど俺には“ご馳走に見えた!”
1週間ぶりのご飯だし、母親以外の女性にご飯を作ってもらった事が
無かったから凄く嬉しかった。
しかも? この質素なご飯が今まで食べたどんなディナーよりも
一番美味しかったんだ!
『旨い! こんな美味しいパスタ、俺は食べた事がないよ!』
『そんなお世辞いいのに。』
『いやいや? めちゃめちゃ旨いよ!』
『ありがとう、なんだか照れくさいけど嬉しい!』
『おかわりある?』
『あるよ! 食べて食べて!』
『旨い!』
“何か今までの女性とは彼女は違ったんだ!”
俺は女性の為に癒しと安らぎを与える存在だと思っていた。
【俺はペット】で女性に飼ってもらう存在。
・・・だけど? 彼女は俺の事をそんな風に見ていない!
料理も洗濯も自分ですると言うんだ!
それに俺は彼女に癒されている。
彼女の俺を見る目がとっても優しく癒される。
こんな狭い部屋に二人で住めるのかと? 最初は思っていたけど。
これくらいの方が彼女との距離も心地がいい。
ここでは! “俺はペットでもヒモでもない!”
一人の男として! ここに居ていいんだと彼女がそう想わせてくれる。
俺は彼女の為にだけ、ここに居たい!
『俺さーずっとココに居ていい?』
『聖矢君がそう想うなら、私はずっと聖矢君にココに居てほしいよ。』
『ありがとう。』
『私こそ、ありがとう。』
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