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星空色の魔法使い  作者: たいさ
9/20

刀(中)

導入が雑

「やっと…着いた…!」


事件現場は見つけた。見つけたは良いが、やはり…


「警察は…いるよなぁ そりゃ…」


結構な大人数で辺りを調べている警察官達。遺体があるであろう場所は、ブルーシートで囲まれていて中を見ることは出来ない。

                      

「茜なら姿を変えるか、姿を隠して調べられるんだろうけど……」


しばらくすると、大きな車からテレビカメラを携えた人達とアナウンサーらしき人が出てきて中継を始めてしまった。

どうする?意気揚々と家を飛び出してきたが、俺は犯人の手掛かりすら掴めていない。

携帯電話が震えた。ボタンを押すとニュースが流れ始める。警察関係者によると、今回も首が撥ねられていたらしい。

だったら……目的地を変更しよう。

上沢町と坂之平町。首切りの起きた2つの町の公園を見に行こう。

犯人は分からないが、おそらくあちらの世界の関係者。

ならば、警察には見えない手掛かりがあるかもしれない。

俺はスマホの地図を開いて、もう一度走り出した。


スマホを開いて時間を確認すると、午後3時を表示していた。

歩いて町に向かうこと。その大変さが嫌というほど身に染みた。

2つの公園を観察し終え、やっとの思いで泉町まで帰ってきたが犯人は見つからない。

成果は…あると思いたい。茜が言っていた魔法の反応は分からなかったが、何らかの結界が張られた痕跡は見つけた。だがそれ以外、何も見えなかった。


帰る途中、通り過ぎようとした空き地に気になるものを見つけた。

側まで駆け寄り、観察する。


「何かが埋まってる? これは…遊具の跡か」


この空き地は、もともと公園だったみたいだ。ここら辺は見た限り、人通りが少ない。使われなくなったから撤去されたのだろうか。

━━━気にする必要は無かったな。

家に戻る前に、もう一度あの事件現場に行ってみようか。

そう思いながらも、意識は別の事に興味を抱いていた。

ここは空き地。だけど公園。公園……?      

何故だかそういう"直感"めいたものを感じて、空き地から出ようと動かす身体と足を急停止させた。


刹那、ヒュンッ と風を切る音が聞こえた。銀色に光る刃が目の前を、正確に言えばちょうど首の辺りを通り抜ける様を視た。

あと一歩踏み出していたら、この首は飛んでいたかもしれない。


「ちっ…!」


後ろに飛び退き、ポケットから取り出したナイフを握りしめる。

いつの間にか、空き地全体に透明な壁が張り巡らされている。

結界か…! いつ展開させられた?

突然、視界がぼやけ始めた。

魔力で作られた霧が辺りに充満している。

一般人が吸えば意識を失うぐらい魔力が濃い。

だがぼやけはすぐに消え、一定の範囲からも霧が消えた。霧に隠れて見えなかった、誰かの姿が現れる。

そこにあるのは、

すらりと長い刀を持った、着物姿の少女。

大人びた雰囲気だが、歳は同じか少し上か。

わざわざ姿を見せた理由は何だ?

焦る俺に対して、彼女は淡々と語り掛けてきた。


「私を、殺しに来たの?」


「…………………え?」


あまりにも唐突な質問に、直ぐには返せなかった。


「俺は……これ以上誰かが犠牲になるのは嫌だ。だから、止めに来た」


「……そう」


彼女は素っ気なく返すと、刀を構える。


「無駄な抵抗をしなければ、綺麗に痛みも無く撥ねてあげるけれど?」


「……さっき言っただろ。俺は君を止めに来たんだ。殺されるなんて御免だ」


彼女の目には、敵意も殺意も感じない。

殺すことはさも当然だと言わんばかりに、俺を見据えていた。


「じゃあ……」



          

   「━━━━━始めましょう?」

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