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魔芒の月  作者: 弐兎月 冬夜
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魔滅の刃 ミナイの村編 其の壱拾八 <羽 舞>

「キイイィイ!」

 業を煮やしたワールゥがついに自分で動いた。

鳥の集団のように生き残っていたハーピーたちもワールゥを先頭に隊列を作る。それはまさに巨大な大蛇のようである。

光覇防御壁呪文(ミュランベル)!」

 咄嗟にベニーは防御呪文を唱えた。空中では物陰も無い。防御呪文で凌ぐしかなかった。機動力ではハーピーの一団に敵うはずがないのだ。

 しかし、これでは反撃が出来ない。咄嗟の事とはいえ、これではただやられるのを待つだけである。

 鋭い爪の攻撃がバリアに連打の衝撃を与える。ビリビリと光の障壁が明滅し、砕けそうになる。

(だめだ・・・これで終わりか・・・)

 小旋回で回る蛇。絶え間なく攻撃するハーピーの群れ。光覇防御壁呪文(ミュランベル)がその衝撃で砕かれるのも時間の問題に見えた。もちろんバリアが砕ければ、ベニーは血みどろの肉塊に変貌するだろう。

 ベニーは思わず目を伏せる。

「ベニー。」

 マルコの声が微かに聞こえたような・・・気がした。


「・・死ねない! ・・ここで諦められるかぁ!!」

 光覇防御壁呪文(ミュランベル)が砕けた瞬間、ベニーは1匹のハーピーに縋りついた。

 縋りつかれたハーピーはギャアギャアと喚き散らして暴れ出す。ベニーは必死でそのハーピーに縋りつく。二人はその重みで徐々に降下し、隊列から離れてしまった。

 それでもワールゥは動じない。

空中をゆっくりと旋回し、落下してゆくハーピーを目がけて一直線に襲い掛かった。

 その時、ワールゥの行く手を遮るようにいくつもの炎弾が降り注ぐ。

(ちっ! 糞ドラゴンか!)

 キリモミ状に落ちて行くベニーとハーピー。

 ベニーは護身用の短剣を何とか左手で取り出すと、ハーピーの腹に突き立てた。

「ギャアアア!!」

 絶叫を放って、ハーピーは急速に落下した。

一緒に落下するベニーを地上すれすれで助けたのはヴィオーラだった。

「助かったよ、ヴィオーラ。」

ヴィオーラに咥えられてぶらさがっているベニーは、まるでコウノトリに咥えて運ばれる赤ん坊のようだ。お世辞にもカッコいいとは言えぬ姿だが、それでもなんとかフースマの背中に戻ることが出来た。

 だが、ワールゥは相手の体勢が整うのを待ってやるほどお人好しではない。

 再び急速に旋回し、ベニー目がけて一直線に飛び込んで行く。

(甘かったよ、お前は!)

 ベニーの目元が笑っていた。

錬迅旋風呪文(ヴァルビローブ)!!!」

ベニーの突き出された指先から、巨大な竜巻がワールゥたちに襲い掛かった。

「ゲェエエ!」

 わずかの時間ではあったが、ヴィオロに咥えられているその時に、ベニーは強力な呪文を唱え始めていたのだ。

 巨大な竜巻に飲まれたワールゥたちは暴風の中で互いにぶつかり合い、体の自由を奪われ、傷ついた。竜巻が去った後、ハーピーたちの羽が吹雪のように空中に舞う。今の呪文で大半のハーピーが戦闘不能となり、地上に落下していった。

 生き残ったのはワールゥと3羽のハーピーだけである。

 しかも全員満身創痍だ。

 ワールゥも肩に大きな傷を負っている。

「ケケケ・・やるじゃないか。お前を見くびっていたよ。」

「ふん! 形勢逆転だね。このまま逃げるなら見逃してやるよ。」

 ワールゥはベニーをギロリと睨んだ。

 逃げてしまうのは簡単だが、もしそんなことをしたら、エイミーに死ぬ以上の責めを与えられるだろう。

「まさか。 逃げたりするもんかね。」

 ワールゥが「くくく」とニコのようにほくそ笑んだ。

「???」

 突然、ベニーの膝が笑った。

 ガクンと両膝をついてその場に倒れ伏した。

「ま・・・まさか・・。」

 ベニーの右の太腿に一本の紫色の羽毛が突き刺さっていた。

ワールゥは倒れたベニーの前に降り立つと、余裕の表情でベニーを見下ろす。

「マジ、お前にはムカつくわ。エイミー様には悪いが、このままお前の頭を叩き潰してやる。」

 痺れる体でベニーはワールゥの足を掴んだ。

「きゃはははは!! この後に及んで悪あがきかい。ホント、マジムカつくわっ!」

 ワールゥが右足を思いきり持ち上げた時だった。

 突然、彼女の二つの乳房が爆発した。

背骨が折れ、頭の重みで後ろにゆっくりと胸から上が崩れ落ちて行く。

 自分の羽が雪のように一面に舞っている。

 血しぶきがゆっくりと降る雨のように空中で静かに落ちて行く。

(な・・・なにが・・起こった・・。)

 羽と血の雨の中をゆっくりと落ちていくワールゥの目に映ったのは、小さく羽ばたきホバリングしている2匹の光牙龍。

(そ・・ぅ・・か・・・・・わす・・・)

 グシャっと音がしてワールゥの上半身は地面で砕け散った。


「・・・・勝ったヨ・・マルコ・・」

ベニーは全ての緊張から解放されたように、微笑みながら目を閉じた。



 

 今年はアニメが豊作で、けっこう見まくっているので、各時間があまりなくなりました。な・・なんとか今年中には。。と思っているのですが、この調子だと年越ししそうですね。

 最近はアニメの他にyoucubeも日本上げのモノを多く見てます。質はあまりよくないですけどね。サムネのあおりも大げさだし、ただ、いろいろと新しい知識も入って来るので、それはそれでいいんですが・・。

 どうしてこんな物を見るのか自分でもよくわからず、日本人に生まれたことに対する自分自身のアイデンティティを確認したいのかも知れませんね。自分に自信が持てなくて、同じ日本人や日本の良い所を褒めている動画で癒されようとしているのかもしれない。よく考えるとちょっぴりみじめな気分になるかもね。

 まあそれでも、いろいろと不都合な事や、住みにくい事や、未来の展望が持てないのは非常に悲しい事も多々あるけど、戦争や諍いが少ない国に生まれたのは幸運だと思います。

 日本上げの動画を見てると分かるのは、日本人の性質や技術・文化を褒めたたえる話ばかりで、それはいいんだけど、僕としては政治が自慢出来たらいいのになと思う。世界は今、どうなっているのだろう。そしてこれからどうなっていくのだろう。

 誰もが幸福を感じられる世界になればいいな。 と願って止まない。

 

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