エリア火山に連れてって! Ⅲ
ホーク様御一行はいまだにカブールの街を出られておりませんのです。なにせ先立つものはいつの世もお金と決まっておりますからな。懐はあったかいのでございますが、どうもよその国では勝手が違うようで、なかなかごはんにもありつけないようでございますな。知人も友人もない異国の地で、ホーク様たちはいったいどうなさるおつもりなのでしょう? では本編をご覧あれ。
そういえば思い出したのだが、カブールに着いてから、まだ何も口にしていなかった。いや、正確にはあの奇妙な生き物以外のまっとうな食事という事なのだが・・・。
「オヤジ! 酒だ! それと、こいつらには何か食い物を出してやってくれ!」
酒場に入ると、ドレイクはカウンター席に座り、すぐさま酒を注文した。ユンはドレイクの隣に座り、自分も酒を飲むつもりでいる。(食事はしないのに、なぜか酒だけは飲むらしい。)そしてホークとサラもユンの隣に並ぶ。
店の中は昼時という事もあり、結構な賑わいを見せていた。そして、やはりいろんな人種や職業の者たちが、歓談し、酒を飲み、食事をしている。
厨房からごつくていかめしい顔つきの中年のオヤジが顔を出した。カブールではいろんな人種が入り混じっているから、異国人が店に入ってきても驚くことはないだろうに、そのオヤジはあからさまに怪訝な顔をした。
「酒はあるけどよォ。金は持ってんのかい、あんた?」
「おおーっ! 通じるぞホーク! ちゃんと理解できる!」
オヤジの顔がますます怪しげに4人を見た。
「通じる・・って、当たり前じゃねえか。見たとこ、エグランから来たように見えるんだけどね。」
「よくわかるな、オヤジ!」
「まあ、わっしもこの商売は長いからね。大体の見当はつくさ。それより、金はあるんだろうな、お客人。」
ドレイクの顔がニタァ~~っと笑う。王室から頂いた路銀があるから懐はあったかいのだ。
「器がちっちぇーな。」と思うホークとサラであった。
「オヤジ、これで足りるかな?」
懐から10ボンド金貨を出すと、これ見よがしにカウンターに乗せて、もてあそぶドレイク。
「ああはなりたくないね。」と思うホークとサラであった。
「・・・ダメだね。お客人。」
店主のオヤジはわずかに逡巡したのち、はっきりと断った。
「なんでだ! 10ボンド金貨だぞ!」
ドレイクは今度こそ飲めると思っていただけに、その落胆は大きく、がっくりと肩を落とした。ちなみに10ボンド金貨の価値は、現在の日本の円で換算すれば10万円くらいなものか。
「悪いんだがよぉ。うちはこう見えてもまっとうな商売をしてるんでね。ブラン以外の金じゃあ商売をやってねえンで。両替屋でブランに替えてからまた来ておくれよ。」
「そうか! よし、分かった! ホーク、大至急両替屋に行くぞ!」
ドレイクは言うが早いか、ホークの襟を掴んで急いで店を飛び出し、通行人に両替屋の場所を訊く。
「そうかぁ、そうだよなあ。まずは両替しなきゃあ!」
ドレイクはお預けを食らったが、楽しみが先に伸びただけだと気を取り直したらしい。いつになく上機嫌である。・・・・が、ホークは嫌な予感がした。
「何いぃいいーー! 両替できないだとぉ!」ドレイクの口が開いたままふさがらない。
ドレイクは両替屋の場所を聞くと、ホークの襟を掴んだまま走り出し、真っ先に飛び込んだトネルコ両替商という看板の店に飛び込んだのだ。そして、先ほどの10ボンド金貨を両替しようとしたところ、店主のトネルコと名乗るでっぷりと太った口髭の男に断られたのだ。
「どうして! エグランとフリーシアの等価交換条約を知らんのかっ!」
激高したドレイクの剣幕にオドオドするトネルコだったが、そこは商売人である。
「まあ、まあ。落ち着いてくださいよお客さん。3日ほど前なんですがね。エグラン通貨の両替を停止させよというお達しがカブールにも届いたんですよ。こうなった以上、うちもお上に逆らうわけにもいきません。どうかご理解いただけないでしょうか?」
どうやらフリーシアの政府はエグランを見限ったらしい。
確かに最初は劣勢で、多大な損害を出したエグランである。このまま国が滅びても不思議はないと近隣諸国は思ったに違いない。ましてや通信手段など何もないのだ。噂は噂を呼び、尾ひれを付けられて滅んだことになっているかもしれない。そうなれば近隣諸国が考えることは一緒である。難民の流入だ。自国の防衛もさることながら、難民の流入を抑え、一刻も早く貨幣の流出を抑えねばならない。
今ではボンド金貨の価値は金属としての価値にしかならないらしい。しかもエグランの金貨は金の比率が低いのだ。エグランでは金の埋蔵量が少なく、金は輸入で賄っていた。つまり金貨の金属としての価値はとても低いという事を意味する。それでも等価交換条約が成立していたのはエグランの穀物を安く仕入れるためである。フリーシアは広大な国ではあるが、農作物の生産量が低く、麦を主体とする穀物は輸入に頼っている部分があったからだ。
「分かった! 他を当たる!」
激高して店を出ようとするドレイクをトネルコが止めた。
「お客さん。物は相談だが、その男を売ってはくれんか?」
トネルコはユンを指差した。
褐色の肌に仮面を付けているユンは、奴隷に見えたのだろう。
「なんだと、てめえ!!」
殴りかかりそうになるドレイクをホークが止めた。
「悪いけど、おじさん。ユンは友達なんだ。奴隷じゃない。」
「おっと、すまない。これは申し訳ないことを言ってしまった。許してください。でも、どこの両替屋に行っても結果は同じだと思いますよ。もし急ぎでお金を用立てたいなら、身に着けている金目の物を売るしか手立てはないと思います。もしよかったらその仮面か、剣でもお引き取り致しますよ。」
「悪いが、それも売れないんだ。どっちもいわくつきなの。」
つまり。
死刻の剣 → 十秘宝の一つ →ホークたちは十秘宝を探してる → 売ったりできない。
ユンの仮面 → ???????????? → 売ることはおろかXXXXXXXできない。
ドレイクのグラデウス → ハッシー家の家宝 → もともと安物の上に、刀身が折れてる → 価値なし!
今では装飾品はステータスとして、あるいは投資の対象として見られている訳だが、本来は財産である。貴金属や宝石は希少価値が高いからこそ高く売れる。昔の人が貴金属で自分の身を飾るのは、何かあった時に財産を簡単に運べるからでもあった。そういう意味ではホークたちは文無しでもある。お金だけあればよいという訳ではないのだ。
ユンは興味が無さそうにあくびをしていた。
「くそっ! あのオヤジめ!」
ドレイクの怒りはまだ収まらない。
他にも2~3軒の店を回ったが、結果は同じだった。そして、4軒目の店でこう言われた。
「貧民街にマーという店がある。率は悪いがどうしても必要なら行ってみたらどうだい?」と。
・・・・という訳で、ホークたちはまたも貧民街に舞い戻ってきているという訳なのさ。
ホークたちは何の警戒心もなく、ブラブラと町に足を踏み入れた。
サラのお腹がグーグー鳴っている。
「それどうにかなんねぇの、サラ。」
ガツン!
「うるさい、ガキ!」
「つ~~~~っ。ドレイク! この暴力女、奴隷商人に売っちまおうぜ!」
ガツン!
「いいかい、ホーク君。今度そういう外道な事を言ったら、その口、つねり上げるからね。」
「フンギィィーーー! たたった! もうやってるじゃねえか! ! バカ女!」
瞬間、サラのお子様には禁忌のノンバーバルアクション。
「はい、ごめんなさい。もう言いません。」
「よろしい。」
サラは勝ち誇ったように胸を張った。
そしてまた、お約束のやつらがホークたちを取り囲んだ。今度は50人は下らない数だ。しかも手に手に獲物を携えている。
「やい! ちめぇりゃ。よきゅもちゃっきはやってってれやがったったな!」
さっきドレイクにやられた親玉の男は、ケガでろれつがうまく回らない。
サラは腹を抱えて笑っている。
一方ドレイクは沈んだ顔をゆっくりと上げた。
「貴様ら、俺は今、機嫌が悪い。さっきみたいに手加減できねえぞ。それでもいいか?」
親玉は怯んだが、無傷の新手は怖いもの知らずだ。
「てやんでえ! やっちまえ!」
無鉄砲な若人の掛け声で、ケンカが始まった。
ドレイクとユンは目にもとまらぬ動きで、まるで棒杭でもなぎ倒すかのように男たちをなぎ倒してゆく。
「ユン、殺しちゃダメだよぉ~。」
ホークののんきな声は果たしてユンに届いたのか?
幸いなことに、今のところ致命傷を負わせた相手はいないようである。
「このガキィ!」
相手は外道だ。子供でも容赦しない。たちまち3~4人がホークに突進してきた。
「空気砲呪文!」
ホークに人差し指を向けられた男が面白いように後ろに吹き飛んだ。
「ドドドドドンパンドドパンパン! ドドドドドドドドドドパパパパパンンン!」
ホークの両腕は高速でジャブを繰り返すかのように激しく動き、相手を指さすだけで何人もの男たちが吹き飛んだり、蹲ったり、手足を抑える。
魔法使いの間でもホーク以外では高速連続簡略呪文などという奇術のような高等呪文を使えるものなどいない。しかも威力は格段に低くなる上に、魔法力を異常に消費する。もし通常の魔法使いがこれを使えば、相手にデコピンほどの痛みも与えられないだろう。だが、ホークの魔力は攻撃呪文として成り立つだけの威力があった。
しかし! ホークの服はズタズタになり、ホークは血だらけである。どうも空気を連続で圧縮して打ち出したがために、ホークの周りにいくつもの真空が生まれたらしい。要するにかまいたちである。
これではどっちがダメージを受けたか分からない状態である。しかも息が上がっている。
「ゼーハー・・・くそっ! だから手加減は嫌なんだ!」
無様に倒れ伏す男たちを前に憤るホークであった。
形勢不利と見たひとりの男がサラを人質に取って、首にナイフをあてがった。
「こっちを見ろ、この女の・・・・」
言い終える前に、男の右足は踏みつけられ、痛みで前のめりになった所をサラの裏拳が顔面にヒット!
男はあえなく撃沈した。
「何てザマだ! ベーター!!」
「あーあぅ、ぴょぎぇふ(ヨゼフ)?」
怯えて腰を抜かした親玉の後ろにさらなる親玉が現れた。ヨゼフと呼ばれた男は巨漢だった。身長はドレイクの頭ひとつ分は超えているから、2mはゆうに超えているだろう。体重も100kgは超えているはずだ。それなのにむき出しになった腕は膨大な筋肉に包まれている。スキンヘッドの頭にチェーンで装飾を施した皮のベストとパンツ姿のヨゼフは、まるで世紀末救世主伝説に出てくるザコキャラである。
「てめえら、俺のシマで好き勝手にやり・・・」
ヨゼフの言葉が終える前に、ドレイクは疾風のように襲い掛かった。
「げぇー!」
ドレイクの拳がヨゼフの顔に炸裂して、ヨゼフがもんどりうったところに、ドレイクの足がヨゼフの顔を踏みつけた。
「このまま、踏みつぶしたろかぁ!」
ドレイクの恫喝に、男たちは沈黙した。完全に敗北したのだ。ヨゼフも涙と鼻血で顔が真っ赤に染まっている。
三下の連中はその様子を見て、蜘蛛の子を散らすように逃げて行ってしまった。
「・・たっ、助けてくれ。頼む、お願いだ。」
足蹴にされたヨゼフが泣きながら命乞いをする。
「いいとも、いいけどよ。一つ頼みを聞いちゃくれねえか?」
「これではどっちがギャングか分からない。」
そう思うホークとサラであった。
「あのぅ。ここです、マーの旦那の店は。」
ヨゼフに案内された場所は、貧民街の一角にあった。バラックかと思いきや、石造りの立派な建物である。
3階建てのマーの店は、窓が小さく、全てに鉄格子が嵌められている。壁面は全て石で作られており、ツルツルに磨き上げられている。きっと防犯対策の一つなのだろう。
「じゃあ、俺はこれで。」
「待てよ。俺たちはマーという人を知らない。君が紹介してくれよ。」
「ひぃー。か・・勘弁してください。マーの旦那に睨まれたら、この町にもいられなくなる!」
ヨゼフは本当におびえている様子だった。
「大丈夫だから。俺がとりなしてやるって!」
ドレイクの怖さを知っているヨゼフだが、それでもかたくなに拒んだ。
「鍵かかってるよ。」
血だらけのホークが入り口の鉄の扉を押してみたが、びくともしない。
「バーカ、こういう時は引いてみるんだよ。」ドレイクが取っ手を引っ張ったが、それでも動かない。やはり鍵がかかっているようだ。
「留守なのかなあ?」
「い・・いえ、いらっしゃいます。灯りが付いてますから。」
ヨゼフが図体に似合わない敬語を使っていた。
その時、重苦しい音とともに扉が開いた。
「どうぞ。お入りください。」
扉を開けてくれたのは、青年だった。
青年の栗毛の髪は縮れていて、愛嬌のある顔立ちをしている。穏やかな面持ちは、この町ではついぞ見ないタイプだ。笑顔でドレイクたちを見つめる青い眼差しは好奇心にあふれているように見えた。
「あんたが・・・マーか?」
「いえ、いや、はい。確かにマーですが、僕は店主の息子のリオネットです。父は奥で待っていますよ。さあ、どうぞ。」
ドレイクたちはリオネットに促されて扉の中に入った。続いて入ろうとしたヨゼフをリオネットが制する。
「お前には用はない。立ち去れ。」
「ひぃ! はい。若旦那。あっしはこれで!」
言い終えるか終わらぬうちに、ヨゼフは一目散に駆け去っていった。
窓が小さいからと、日が傾いてきたおかげで、部屋の中は暗かった。魚油のランプがいくつか置かれていて、それなりの光量を保っているが、それでも薄暗い。扉から正面を見るとカウンター越しに、一人の男が見えた。多分その男が店主のマーなのだろう。栗毛の息子とは違い、直毛の黒髪に青白い顔、そして口髭がきれいに整えられている。何より目を引くのは、眼鏡である。眼鏡をかけてる人間はそう多くない。特に一般市民では皆無のはずだ。それは裕福であるという証でもある。
ドレイクは用心深くその男に近づいた。
「トネルコから知らせは届いている。クズの金貨を持ったエグラン人というのは君たちかい?」
「クズとはなんだ。クズってのはよ。」
「価値のないものをクズと呼ぶのだ。エグランではそうは教えられなかったのかい?」
ドレイクは祖国をバカにさえたようで、ふてくされてしまった。
「おい、あんた。商売人なら口の利き方に気を付けたらどうだ。」
「失礼だな、君は。どこにも相手にされなくてここへ来たのだろう? マウントを取っているのはどちらだと思う? 丁寧な口の利き方をしなければならないのは君たちの方だろう。」
店主の男に動じる様子はない。そうでなければこの町で商売などやれるはずもない。ヨゼフの怯え方からしても、相当な力を持った人物だという事は分かる。相対しているだけでも、闇の世界で生きてきた凄みのような物をひしひしと感じる。
「まあいい。私の方が100歩譲ろうか。私の名はエストロだ。この町で何でも屋をやっている。扱う商品はなんでもだ。その子供なら1ブラン。女の子は5ブランで買おう。」
「何だとぉ!」
「あんたは500サンズーム。ただし、その浅黒い仮面の男を譲ってくれるなら、1万ブラン払ってもいい。」
「バカヤロウ! 人間は売り物じゃねえ!」
今にも殴りかかろうとするドレイクの服を、ホークが思いきり引っ張った。
「何すんだ。ホーク!」
「カッカしちゃダメだよ。オイラが話す。」
ホークは椅子をカウンターの前に持ってくると、椅子に乗った。カウンターが高く、近づくとエストロの顔が見えなくなるからだ。
「よいしょっと。」
「ターバンを巻いた少年よ。まさかと思ったが、君がこのパーティーのリーダーなのか?」
「まあね。でもおじさんの見立ては見当外れさ。」
「そうかな? 君は服も体もズタボロだ。売り物には見栄えってものが必要だからね。」
ホークは回復呪文が無くとも治癒力はあきれるほど高い。この程度の傷なら、一晩もあれば跡形もなくなる。また、ホークの法衣はこれも特殊だ。ホークの体ほどではないが、自己再生する。かぎ裂きが出来たり、燃えてしまっても服の半分程度残れば復活する。十秘宝ほどではないが、これもエグランの宝の一つである。
もう少し時間がかかるだけなのだ。明日になれば法衣も元通りになるだろう。ただ、残念ながら血のシミは洗濯しなければならないかもしれない。
「オイラたちは金を両替したいだけだ。おじさんはエグランの金貨をブランに替えられるの?」
「出来るさ。今のところエグランは瀕死の状態だ。こうなればエグランから色んなものが流出する。今まではお目にかかれなかった宝が世界中に広がっていくだろう。それを買いたたいて高く売るのが私の商売だ。」
「おじさんは正直だね。」
「ククク。少年は話が分かる。そっちのお兄さんよりは楽しい商売が出来そうだ。」
「おじさんはユンに興味がありそうだけど、あの仮面の意味はわかるの?」
「フン。」
エストロは鼻を鳴らした。
「地母神Ⅾ=メーテルの紋様呪が施されている。エグランの上位の魔物だろう? 仮面の素材が錫・・ふふん。シトリーか! こいつは凄いな。」
「紋様呪の意味までは分からないようだね。」
「残念ながらそこまでは分からん。君は読めるのかね?」
「さあね。オイラにもさっぱりさ。」
エストロがニタリと笑った。
「ところでおじさんの名前はマーと言ったね?」
「ああ。」
「おじさんの先祖にシュマロっていう名前の人がいるでしょ。」
エストロは沈黙した。そして、ホークの顔をまじまじと見つめた。
「なるほど。君はただの少年じゃなさそうだね。いいだろう。金は融通してやろう。」
(やっとご飯が食べられそう!)サラの瞳が夢を見ていた。
「ただし、私の質問に私の満足が行く答えを答えられたらだ。」
ドレイクとサラがゴクリと生唾を飲んだ。
エストロがホークたちをじっと凝視する。
「では質問だ。”金”とは何だ?」
「当然!! お買い物をするときに必要な物よ!」
サラが勝ち誇ったように言った。
・・・・・あ。
腹が・・・・・・・・減った。。
ファンタジーゲームや漫画の世界は、中世ヨーロッパの世界をベースにしたものが多い。もっとも私が知らないだけで、多種多様な異世界が構築されているのだろうが。
この話もベースはドラクエやバスタードの世界観をベースに進んでいるので、やはり中世ヨーロッパという事になるのだが、いつも迷うのはその土地の思想、服装、食事、慣習などである。
歴史書ではないので、作者の好みや現代の人間い合わせた世界観を構築した異次元となるのは当たり前の事なのだろうが、それでもある程度のリアルさは必要だと考えている。
ただ、プロの作家ではないのでそれを調べる時間もなければ根性もない。一番困るのが食べ物と衣類である。中世と一口に言っても中世のどの時点くらいでの服装にすればよいのか? 貴族や王族はともかく、一般市民に関する記述は、詳しく調べないとよくわからない。骨付き肉をがぶりと食うのか、魚もがぶりと食うのか、煮物はどうなんだろう? 調味料は何を使うのか? 狩猟なのか、牧畜なのか?
最近、漫画で日本の戦国時代に醤油が無かったという記述があった。味噌が原型で、ヒシリが醤油のもとになっているのは知っていいたものの、それがいつの時代かという事は気にも留めていなかった。
例えば、中世ヨーロッパであれば香辛料が使用されるはずだと思うのだが、もっとも一般的である胡椒を一般市民は使えていたのか? 砂糖はどうか? フォークやスプーンは使っていたのか?
ん~~~ん。 実はよく分からない。
もっとも、この話では、全てあり。 という事に出来るんだけどね。それでもなあ・・と思う今日この頃である。




