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放課後、雨が止むのを待つ。そんな事をしても無意味だと思う。しかし、まだ生まれて間もない友情を保守するためにはそうも言っていられない。人気の少ない教室。いるのは数人の女子生徒のみ。春美もその中にいた。皆、誰かの席を無断借用している。聞いている人などいるはずもないのに小声で会話を繰り広げる。そんな中でも、相変わらず春美の腹痛は続いていた。
誰と誰が付き合っている、それを詮索して何になるのか。どの教師がうざい、などと言った所で何が変わるのか。思ってもぼんやりと聞き流すしかない。話を振られればそれなりの言葉を返した。愛想笑いを浮かべて。
「でも私は彼氏にするなら春美みたいな人がいいな」
思わぬタイミングで自身の名前が挙がる。話半分で聞いていた春美は焦った。曖昧に笑ってみせて、そうかなと呟く。
春美を余所に、彼女の言葉に賛同する声もあがった。「わかるかも。優しいし、オトナっぽいし。なんかめっちゃ大事にしてくれそうな気する」
どう反応すれば良いのかわからない。また曖昧に笑う。
「なら、あたしは大友君と付き合いたい。あの人超イケメンじゃない?」「あー、たしか大友君って隣のクラスの子と付き合ってるって聞いたよ」「ウソ、ショック」
すぐに話題が逸れた。その事に、ほっと胸をなで下ろす。少し引っ掛かるものがあったけれど、今は考えるべきではない。そう言い聞かせた。