表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無関心≠?  作者: 涙雨
9/9

※ さぁ?結局みんな異常ってことさ。

彼女の友人視点。



 息絶えた生き物の、亡骸を抱きしめて笑う。

その腕の中にあるのは、彼女のペット。

まだかすかに残るぬくもりに、彼女は泣き出すでもなく喪失感を感じるでもなく、ただ嬉しそうに笑う。



 死体が好きだといった。人間であれば、特に首のない死体が好きだと。

なんて、なんてなんてなんて美しいんだろう!あぁ、あぁ嗚呼!これ以上に美しいものがあるだろうか?


 そんな事を表に出せば、即病院行きだろうか。

精神的な疾患だと、閉じ込められるかもしれない。

それを知っていたから、誰に言うでもなくそのままにしていた。



 初めはなんだったんだろう?原因は、両親の死であったか?

まぁ、そんなの思い出そうとしても無駄だ。きっと生まれつきであったんだろう。





 あれは中学生の頃だったかな。

公園の端に、忘れ去られたように眠る鳥がいた。死んで、いた。



 抱き上げて、笑った。




「なに、してるの?」



 見つかった。同い年の女の子に。

さぞ異様な光景だったろう。死体を抱きしめて微笑んでいたんだから。

綺麗な死体でもなかった。どう見ても死んでいる、半分腐れたような死体。


 それを抱きながら、頬を染めて微笑んでいたんだから。



「それ、汚いよ。置いた方がいい。」



「汚くない。」



「・・・それ、どうするの」



「さぁ?連れて帰ろうかな。」





 我ながら、今思い出すとなんて素直に答えていたんだろうか。

ただ彼女は、気味悪がるでもなく、嫌悪するでもなく、ただそうなんだと言った。


 死体が好きなんだねとも、ただ感想を述べるように言った。



 それが彼女との、紀市真鳴との、出逢い。






「自分はね、彼女らみたいな異常な人が大好きさ。」




 誰に言うでもなく、ただ呟いた。




 死体を愛したって、人形を愛したって、人を愛したって、それはただの愛だろう?

どれもただの愛だ。愛・・・良い言葉じゃないか。

愛しているというだけで、全てが綺麗に収められてしまうんだから。


 その異常性も、執着も、醜いものも綺麗なものも、すべてが愛って言葉でキレイに収まる。






「ねぇ?喜市ちゃん、自分も貴女を愛しているよ。」







 彼が無理心中でも図ろうものなら、自分が一番に駆けつけてあげる。

あぁもちろん、貴女達の死体が出来上がったあとにね。






 かわいそうな紀市ちゃん、自分なんかに愛されてさ。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ