きっと愛の相互なんて無理なの、
下校中、後ろから腕を掴まれた。後ろを見やれば彼女がいた。
むすりとした表情を隠しもしないで。
そのまま腕を引かれて、痛いくらいに抱きしめられた。
さすがに整形なんかはしていないのか、胸は平らで固かった。
「首がない死体が好きな変態なんかと話さないで。」
「そういうわたしは人形が好きな変態なんだけどね。離して。」
女性としては長身だけれど、男性としては小柄な方だろう。
体の線も細いから、髪を伸ばして女性の服を着てもあまり違和感はない。スレンダーな美少女といったところだ。
彼女はどんな服も似合った。
似合ってると言うと、頬を染めて喜んだ。
気がつかないわけではなかった。鈍感でもないんだから。
でもだからといって、その想いに答えてあげられるほど良い子でもなかっただけ。
だってわたしには愛するものがあるんだから。
わたしが君を愛することなんて一生ない。
「大好きなのに、愛してるのに。」
悔しそうな苦しそうな、そんな声だった。
次の瞬間深いキスをされて、酸欠な中フラフラと離れた。
酸欠にしては目眩が酷い。酸欠以外にも目眩の理由があるのかもしれない。
あぁもう、どうやら何かしら仕込んでいたらしい。用意周到なことで。
だから言ったじゃないかと、友人の声が聞こえるようだった。