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だって感情の相互というものは不可能なんだから。
「女の子が好きなの?」
「さぁ、どちらかと言えばそうかな。可愛いし。」
ロリータの服を着た子を腕に抱きながら、彼の問いに答えていた。中学の頃のお話。
次の日彼は彼女になって現れた。美しい少女が目の前に当たり前のようにいたのは心底驚いた。
正直ちょっと引いた。
「長い髪が好きなの?」
「たぶんね。」
彼女は髪が短かった。
彼女が髪を伸ばし始めたのはそれからだと思う。
その次の年には、彼女の髪の長さは腰までになっていた。
「人形が好きなの?」
「うん」
「動かない、冷たいのが好き?」
「ううん、人形が好きなの。」
もし君が物言わぬ死体になったとしても、わたしは君を愛さないよ。
だって君は人形じゃないし、わたしはネクロフィリアでもないもの。
人形に成ろうとしたって無駄だよ。だって人間は人間にしか成りえないんだから。
だからね、もう諦めてよ。
わたしが人形しか愛せないって、もう気づいているでしょう?
「君がどんな、わたしの理想に近づいたとして・・・愛してあげられないよ、わたしはわたしなんだから。」
それが、ついこの間のお話。