第二話 〜自己紹介〜
教科書代わりのタブレット端末の電源をいれる。自分のIDカードに載っている情報を入力し、登録する。
「皆さん、ちゃんと登録できましたか?」
優しそうな上級生が確認していた。この学校には教師が少ないため、今日は上級生が確認している。
「登録できたら、今日は終了です。皆さんお疲れさまでした」
上級生が教室から出ていった。
すると、後ろの席の奴が声をかけてきた。
「これからよろしくな!俺は芽雷聖夜だ。」
「俺は三樹来斗。よろしくな。」
俺の両隣の席の二人も話に入ってきた。
「私は流崎音恩」
「あたしは野原魅那。3人とも下の名前がすごいね!どう書くの?」
「未来の来に北斗七星の斗で来斗だ」
「俺はクリスマスイブって意味の聖夜でのえると読む。」
「なんか女の子みたいだね。私は音に恩恵の恩だよ」すごい名前ばかり出てくる。
「皆すごい名前ね。あたしなんか魅力の魅に刹那の那よ。音、平凡過ぎだわ。」「それにしても芽雷の名前はすごいな。」
何処をどうやったらそう読めるのかさっぱりわからない。
「ノエルでいい。母さんがキリスト神話が好きでさ・・・こうなったんだ。クリスマスって名前なんて女子につけろって。」
「でもロマンチックでうらやましい」
音恩が女の子ならではの事を言う。
「ノエルー!」
いきなり教室の外から声がした。
「・・・もうきやがった。」
「知り合いか?」
「双子の妹だ。」
「ノエルー!さっき母さんからメール来てたから早くー!」
ノエルの妹が廊下から叫んでいる。
「げ・・・ケーキ買ってこいだと!?ったく母さんはいつも通り呑気だな」
ノエルは携帯のメールをみながら言った。
「あ、あたし、駅の近くに美味しいケーキ屋あるの知ってるよ!教えてあげようか?」
「母さん、味には煩いんだよな・・・。仕方ない。教えてくれ」
「んじゃ、皆でいかない?」
魅那の提案により、皆でケーキ屋に寄る事になった。「私は芽雷栗珠。よろしく!」
「これまたキリスト教っぽい名前だね。どう書くの?」
音恩が聞くと、栗珠は少し不機嫌そうに答えた。
「栗に数珠の珠でクリス。完璧に当て字よ」
「ノエル達の親のネーミングセンスは理解できないわね・・・。あ、そこの店よ」
魅那が目の前の店を指さして言った。