第一話 〜入学式〜
4月3日。この学校の入学式。
携帯(といってもiPhoneのような、スマートフォンだ)に送信された、地図データを見ながら学校の中を歩く。上級生が入学式の準備で忙しくしている中、新入生はのんびり暇つぶしをしていた。
来斗はカフェを見つけ中に入った。同じように暇つぶしで入ったと思われる生徒がたくさんいた。人は沢山いるものの、話をしている人は殆どいない。
カウンターに座りコーヒーを頼む。携帯に届いている入学案内を読み直す。
この学校では魔法の授業がある。通常の高校と同じように数学や国語も教えているのだが、魔法の方がメインである。
魔法の授業は現代魔法と古代魔法に別れている。現代魔法は21世紀に入ってから生み出された魔法で、道具を使うのが特徴だ。古代魔法は21世紀より前に生み出されたもので、この魔法は道具等は殆ど使わない。しかし、逆凪が現代魔法より強いのが強いのが特徴であり、欠点でもある。
逆凪とは簡単に言えば、その術を使った罰みたいなものだ。その術が強ければ強いほど、逆凪も強くなる。簡単な術なら、物が壊れるとか、心霊現象が起こるとかですむが、呪い殺したりすると死ぬ危険がある。もちろん現代魔法にも逆凪はあるが、古代魔法よりは軽い。少なくとも、現代魔法で死ぬ可能性はほぼ無いと言っていい。
この学校の歴史の所を読もうとした時、校内アナウンスが流れた。
「新入生の皆さんに連絡します。入学式が30分後に始まりますので、講堂に集まってください。」
アナウンスを聞き、カフェ内の生徒は急いで講堂に向かった。
席はクラスごとだ。予め送られて来ていたIDカード(単純に言えば学生証だ)にクラスと出席番号がのっている。
来斗のクラスはA組。A組には入試トップの奴がいるんだよな・・・と思いながら、A組の席に向かった。気にするのも無理は無い。来斗は補欠合格で入った生徒なのだから。毎年入試トップの成績の者は新入生代表の言葉をいうことになっており、必ずA組と決まっている。偶然とはいえ補欠合格の自分がトップの成績の奴と同じクラスというのは、少し不安である。
まぁ、そう言っていても仕方ない。とりあえず、意味もなく長い校長先生の話を聞くことにした。とてつもなく長い校長先生の話が終わると、新入生代表の言葉があり、担任紹介がある。担任と言っても、その先生の担当の授業でしか会う事はないのだが。一応担任が決まっている。まぁ、災害があった時などにしか関係ないことである。担任の紹介で入学式は終了だ。
入学式が終わり、そのまま帰れる・・・なんていうことはなく、新入生は教室に向かった。教室で出席番号順に席につくと、タブレット型端末が配られた。これがこの学校の教科書代わりだ。