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マイリトルジョン

日当は増えたが貯まるものではない、会社員でも無いし貯金すると言ってもなあ。ホテルで指名する仲の子がいて、会いたいからお金要らないなんて日もあったから、てっきり彼女になるもんだと思っていたのだが別れられない彼氏がいるのだという。その子からアジトに電話がかかってくる、朝っぱら大音量でアンルイスの六本木心中を流したまま東新町にスナックがあるから行こうとの誘いである。最初だけ2人で以降1人で行くようになる。秋田出身の美人ママに、昼間やっている美容室兼自宅から若い子が手伝いで来たりする。桜木清子ママと秋田の思い出話をし、仕事終わりの感覚で通うようになる。想像してもらうならばあべ静江さんなのである。わかん無いよな、うん。秋田美人の彼女と母さんを重ねる。ホテトルの彼女と3人で我らのホストクラブに行ったがお金払った記憶無いから、いくらだったのだろう。なぜか大社長も来ていて、すれ違う時にはちゃんと頭を下げたが、どう思ったのだろうかな。計らずも客を連れて来た形だしな。会った回数で測れないものがある、桜木清子ママは僕に対して、家に来て一緒に暮らそうよと言ってくれた。そんな女の園でかい、気持ちだけで十分です、これから大変な事があろうとも暫くは生きて行ける気持ちを貰ったのである。

チーフは当時珍しいワープロを買ってきて説明書を見ながら使えるようになっていた。そんなチーフが「おいっ、今度飲み屋でウィアーザワールドやるぞ、ジョンはシンディーローパーな」と言うので練習はした、実現は無かったけど。そんなチーフと2人で割と繁華街な地域を歩いていると、目の前を黒塗りの車が遮る。なんでノックするかなあ、ヤクザがドアを開け半分出たとこでドアを蹴飛ばし挟まるヤクザ。おいっ、逃げるぞと路地を使い全力疾走で逃げる。なんだこの人は、疲れるなあ。

大社長との練り歩きに参加した事がある、地域の方が挨拶してくる。若い衆を先頭に地域の見廻りなのである。大社長から僕への唯一のお言葉は、社長に伝えられチーフから聞く、「おいっ、上ばかり見て歩かないで下を見ろ、何か落ちてるかも知れないぞ」。なる程僕は物珍しさから上ばかりの景色を見て歩いていたのである。ある日休憩で割と大きな喫茶店で食事をしていると店内放送で、お客様のリトルジョン様お電話でございますと言われ、店内の視線を受けながら電話で呼び返されたので急いで戻る。今度暫く休業の知らせを受け、希望者は長老と大阪へ旅行する。当然サンダーバードは行かないし留守番となる。グリコの看板のその近くでサウナ泊の2泊旅なのである。

長老の旅の目的は、知り合いからの借金を全額でなくても幾らか払って話し合う為なのだ。競馬新聞を買ってサウナ、カプセルで検討する、サウナでは関西は浴室に女性がいっぱいいて恥ずかしい。垢すり、背中流しましょうか、うう、結構でござんす。次の日パチンコ店で時間調整しながら、時間がきたらすぐ近くの場外馬券売場へと向かうのだ。もちろん初めてである、すっからかんになってもなあ。障害レースで4-6の買い目が気になる。競馬ブックでも大きく推してある、長老に聞いてみるとそれは無いぞ、と言われ千円だけ買い観てみる。うん、4-6できたぞ。万馬券では無かったが90倍位の配当だ、パチンコ店に居る長老に報告すると顔色が変わり場外へ走る。なんとしっかり5千円買っていたのだ、そこからが凄い。その金を元に全額突っ込む。当たるや当たる、ここでやめとこう金が惜しいでは無い。更に買い足し最終的には200万以上の金を手にするのだ。何者なんだい、僕と松っちゃんは小遣いを貰い次の1日は自由行動だから、それで過ごすように言われる。あとは待ち合わせ帰るのみだ、なので大阪で名物を食べた記憶は無いのでした。

業務に戻る日がきて日常に戻る、ある夜長老が電話を受けていて、「ああ、そういう男子ならピッタリの子がいますよ」。おいジョン、ちょっと指定された場所に行ってみろ、いや服装はそんな感じでいい、喫茶店に働いてそうな若い子が希望なんだとの事。完全詐欺ではなく、たまに依頼の電話が入る。実際にホストクラブもあるし、だが依頼で多いのは男性から男性目的であり珍しいな、なんか罠かなあ。一応何かあったらすぐ電話するよう注意を受ける。もし収入があれば自分で貰ってよしの仲間内での仕事廻しである。

さてそこにタクシーで着くと赤いポルシェの横に輝ける美女が立っている。美人局ってやつかなあ、助手席に乗りドライブとなる。何処出身なのか、名古屋の有名人は誰を知ってるか聞かれる。南極物語は観たのか、観たけど女優さんまでは覚えて無い。サングラスをかけた彼女は車を走らせながら質問攻めなのだ。私の事知ってますかの感じだ、安心したのか今度はお話して攻撃だ、まずい、話すネタもなければ苦手の極みだ。ねえ海外行った事あると聞かれば返す言葉も無い、少なくとも依頼である、出来る限りの精一杯はした、そしてホテルへと入って行く。ねえねえ攻撃は続いている。

やがてというより彼女の方からその気にさせてくる、女優かよ、初めて見たのは横に紐が付いているパンティーでそれをハラリと飛ばせてみせる。しょうがねえなあこれも依頼だ、時刻は早朝となっていて「いけない、早く帰らないと叱られる」、急ぐように東新町まで送って貰いじゃあねで去って行く。いけないお金貰うとかそれどころでは無かった。朝の部屋に戻ると長老がどうだったと聞いてくるがそれだけだった。僕はその女優が誰なのかピンときたけど誰にも言いはしない、依頼を受けた最低限のルールだろう。

サンダーバードも向かった事がある、なんでも若作りしたババアであり、マドンナ知ってる私の様な格好をした子よと言う。そして全身を舐めるよう強要したという、だけど僕と違いたっぷりとお金を貰ったという。長老にいたっては、吊り革のある部屋でそれにつかまり、男性が全身をジーッと眺めていたという。前もって内容を知ってたんだな、男性の依頼に行くはずがない。

拳銃があそこに隠してあるから、とある場所まで持ってこいと言われ、一度だけ運んだ。僕の様な浩宮様似の顔では職務質問も無いのだろう。ある夜は竜からの電話でチーフが血相を変える。「長老行くぞ、社長がやられとる、相手はヤクザやぞ」、長老はサミュエルソンにおい、車借りるぞと2人だけで飛び出すのだ。聞くところでは長老の運転で社長を数人で囲むヤクザにまず車で突っ込み、チーフが飛び出て道具でバチバチと打ちつける。電光石火でないと本人達も危ない、社長を車に乗せ急発進で逃げる。ヘタレの竜は自分で戻る、何をやってたんだ、まあ本物のヤクザ相手だししょうがないか。翌日額に傷を負った箇所をチーフが縫うのである、なんせ元医者だ。こっちのヤクザ者が部屋に入ってきて、免許証、住民票を置いて帰る。偽造にして誰のかなあ、これで準構成員濃厚となる次第である。

僕はこのままヤクザとして生きて行くのかなあ、一宿一飯の義理という概念もあるし。サンダーバードから2人きりの時に俺と組んでやって行かないか誘われた。僕が見た写真週刊誌は本部に突撃する報道陣を遮る姿であり、波紋されたとて若いなりにエリートを感じた。僕は自分で何か生みだす才能は無いし組むといっても想像が出来なかった、チーフはいつだって失敗する僕に対し大声で怒鳴りつける事こそあれ、怒りに任せて殴りつけようとするのを我慢する。長老はそんなチーフをなだめ僕をいつも庇うのである、なんといっても僕の為に涙してくれる様な人だ、どうしても心の悪い人には思えないんだなあ。社長にいたってはいつも陽気な振る舞いで快活な人なのに、一度皆んなの前でしみじみと話す「お前らジョンはなあ、俺らが解らない大変な思いをして生きてきたんだぞ、なあ本当良く頑張ってきたな」。そんな言葉は貰った事が無く涙が出そうになる、大概は自分ありきで視点がある。親がいなければそれだけ気楽でいいじゃないか、親の死に目や親族の死の悲しみをから知らないから良い、お前はそうかも知らんが俺はどれだけ大変か。社長から受けた言葉を未来に再現する職種の人物がいる、刑事である。社長と彼女はホテル暮らしをしていて、何か必要な物があると僕に届けるように言う。3人でパブを貸し切って、お前歌えと苦手な注文をするものだから、しょうがねえなあ、ギザギザハートの子守唄バイチェッカーズでお届けしますけど音程外しまくりにつき踊りでカバーさせて貰います。これが喜ばれた。一和会で世間は騒然としたままだ、社長から俺に付いて手伝えで済む世界なのに、まあ考えてみてくれと言われるのである。

そんな時社長が金を持って彼女といなくなった、またも愛すべき人が去るのである。可哀想なのは竜である、頭が流血するまで打たれ、知っている事言えとなるのである。何処で噂を聞くのか好機とばかり堅気になっていた船長が戻ってきて密かに大社長からかつての社長の立場を得るのである。かつての使い走りが上司となるチーフの気持ちやいかに、「俺も極道だ、不満があるなら殴り合いのさしで決めようや」と言われるのだ。そうか彼には歴があったのだな、何の為に、美味いもん喰っていい女に囲まれたいのか。少なくとも時局大変につき立ち上がったとは思えないのである。

機関銃で撃たれる場面の夢で僕はすっくと立ち上がり撃たれる選択をした、さんざん死にたいと繰り返してるのに、いざという時にやっぱりちょっと待ってなんてどうなんだい、死ねばそれが運命だ。そして死に対する恐怖も薄らいでいた、閻魔大王では無くかつて自分がいた場所に戻れる感覚があった。他人の顔を見るだけで読み取れる能力がある長老は僕の悩みなんてお見通しで話し合いを持つ事になった、僕はこれからについて正直に話す。

人を出来れば傷つけず、取り返しのつかない悲しみを与えない人生でいたい。通常であれば意味不明であろうその問いに長老はしかと言う、「わかったジョンなら出来るぞ」。逆に背中を押すようであり、ケジメとかないのである。母さんを捜すとか忘れてたなあ、東京に出よう、所持金無しにつき松っちゃんに3千円借りて肉体労働を得てから向かおう、リトルジョンの称号についてサラバとは言い切れ無い。マイリトルジョンは永遠に。

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