秋頭空也の夜中4
「それで、あなたはなんのために出歩いていたのですか?」
次はこちらが答える番か。まあ、こちらも教えてもらったんだし、答えよう。
「神神神っていう人に自殺者を減らす活動をしろと言われて追い出されて、わけもわからず彷徨ってました」
正直に全部言った。高柳さんは「やっぱりあの人か」と言いながら納得してくれた。
「『自殺者を減らす』、ですか……」
「はい」
何かが引っかかったらしい。凄い悩みだした。先程までは暖かい表情でこちらを見てくれていたが、打って変わって暗い表情を作り続けている。
「本気で減らしたいと思いますか?」
いきなりどうして……。どうなんだ俺。俺は自殺をした側の人間だ。そんな俺は他人の自殺を止めたいと思っているのか?
「正直、わからないです。俺も、自殺した人ですし。好きにさせればいいとも思います。でも、自分は少し後悔みたいなのをしました」
下手くそな文章だ。全く答えになっていない。作詞してきていた人とは思えない。
「そうですか。では、決めました。あなたに協力させていただきます」
いきなりの話に思わず「うぇ!」と声を上げてしまった。どんな脈略でそうなったんだ? 今だって俺、まともな返答できていなかったのに。
「あの、いきなりどういうこと……」
「私は自殺をできる限り止めたい。というより、自殺しなくていい状況を作りたい。あなたがその役目を担っているなら。私も協力したいんです」
高柳さんはとても張った声で訴えた。きっと、何かがあったのだろう。わざわざ問いたださなくても空気でわかる。この人は本気でやりたいと考えているのだ。
俺は下を向いた。こんなにもできた人に見せる顔なんて俺には無かった。
「空也くん」
暖かい声で名前を呼ばれる。高柳さんの声。本当に善人の声と言った感じだ。俺のような人間が話していい相手じゃない。
渋々ながら醜い顔を高柳さんに向ける。
「はい」
「これから、一緒に頑張りましょう」
強引に同盟が確定してしまったらしい。手が差し伸べられる。でもこちらから手を出せない。まだよくわからないから。




