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夜はまた今度  作者: 下田尚志
指原優の昼
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指原優の昼14

 そういえば、日和曰く僕は人気があるらしい。けどその割にはあまりそんな感じしないよな。ああ、日和が側にいるから防波堤になってくれてるのか。結構助かるな。もし僕が壊れて私になっても日和以外には見られずに済む。嫌われる率が低くて済む。どちらにしろ日和にも嫌われたくないから、見せないように頑張ろう。

 日和にただひたすら引っ張られ続け、学校の外でもそのまま持っていかれた。恥ずかしすぎる。もう嫌だ。

学校から離れて十分くらい歩いたかな。家とは違う方向に進んで大通りを歩き、駅に向かっていた。駅近くにカフェあったんだ。知らなかった。

「あとどれくらい距離あるんだっけ?」

「そういうの気にするなよ」

「今日男勝りだね」

「かっこいいでしょ」

「かっこいい」

「よっしゃ」

 なんなんだこの中身がなさすぎる会話。まあ、ここまで気楽でいられるのはいいな。女子同士でこういうどうでもいい話するの、やってみたかった。

 引っ張られるのも疲れて、同じ歩幅で歩き始めた。やっと少しマシな感じになる。まだ腕摑まれてるから結局ちょっと歪だけど。

「やっと並べたね」

「いつまで腕摑んでるの?」

「離したら逃げるじゃん」

「逃げないよ」

 テンポいいな、日和との会話。やりやすい。だけど僕の信頼それほどまでに無かったのか。ちょっとショックだ。

 駅近くの建物に入り、中を見渡す。

「今日でよかった〜。平日で人少ない〜」

「少ない、かね」

 まあ確かに少ないけど、いつもに比べてってだけだからな。少し田舎なところなんだからもう少し空いていて欲しかった。ここくらいしか近くに遊べるところ無いし、しょうがないんだろうけども。

「あ、あった! 行くよ‼︎」

 ああー。歩幅合わせていたのにまた先行っちゃって、また引っ張られているー。もう歩幅合わせるの、めんどくさい。いいや合わせなくて。

 引っ張られたままカフェの中に入って行った。思っていたよりは混んでいない。昼食時の牛丼屋くらいの感じだ。席は一応取れそう。

 少し並んだあと、僕たちの番が来た。日和はさっさと注文をし、二人分のお金を僕が払った。いやなんで? お金そんなに無いのに。まあ、男だし、そこくらいは格好つけておくか。そういうもんなんだろうし。

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