幽霊歴
「かもね。」
かもねって・・・でも・・・
僕はずっと愛糸と話せていられるかもしれないんだね。
愛糸が死んでから、僕はすっごく苦しんだんだよ?それが今あっさりラジオを通して話せているの?
・・・・ありがとう神様。
僕は愛糸の電波の話を聞いてそう心の中で呟いた。
「ねぇ愛糸。」
『何?』
「もうちょっと話せていられる?」
『倖ちゃん私とそんなに話したいの?やっぱり私のこと好きでしょ。』
なっ・・・
好きってそんなにアッサリ・・・
そういえば、幽霊歴がどうとかいっていたけれど・・・幽霊歴ってなんだろう?幽霊になってからの時間?
「ねぇ愛糸、幽霊歴がさっきどうとか言ってたけれど・・・幽霊歴って何?」
『幽霊になってから、歩んだ歩数の数よ。』
ほっ歩数?なんで歩数?
「歩数?なんの?」
『ほら、幽霊って足がないってよく言うじゃない。本当に幽霊ってそうなのよ。幽霊ってのは、時間を重ねるごとに人間と同じように成長する。さっきも言ったように、幽霊は足が無い。つまり足が成長するごとに歩ける距離は長くなる。歩数も多くなる。だから歩数。』
愛糸は得意げに言った。
な、なるほど・・・。なんかややこしいけどたしかに言われてみれば時間がたてば足育つもんね・・・
「へぇ、歩数・・・愛糸先月だからきっとまだ足短いね。」
さっきのお返しだ。
『うっ五月蠅いわね!わざわざこの短い足でここまで来てやったのに!』
やばい、愛糸が怒っちゃった。
「ごめんごめん、わざわざ来てくれたんだ。ありがとう。」
そう言うと、愛糸は何か気づいたみたいに僕の顔を見た。
『あっヤバイ、体消えてきた。』
えっ!?消えてきた!?
「ええっえぇ、きっ消えたの!?大丈夫!?」
少し焦った。愛糸が消えちゃう
『別に大丈夫よ、痛いわけじゃないし。さっきも言ったじゃない、幽霊歴短いからあんまりいられないって。じゃ、また来るわ。』
「えっ行くの!?」
『行くわよ。私がここにまた来てほしくないの?体消えちゃうもの』
本当は行ってほしくなかったけど消えちゃうなら仕方ないか・・・
「じゃあまたね、また次も来てね。ラジオつけっぱなしにするから!」
僕は大きな声でラジオに向かって言った。
『わ、わかったわよ。じゃあ告白は今度ねっ』
くすっと愛糸は笑いながらそう言った。
「し、しないよ!!」
『じゃあバイバ~イ♪』
ラジオはまたノイズに戻った。また愛糸に合えるんだろうか・・・