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愛しの彼女は地味で大人しいのに  作者: バネ屋
4章 何も無いけど楽しい日常
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#60 お仕置きタイムと相談タイム



 体育大会での各自出場種目をLHRの時間に決めることになった。

 クラス委員である八田さんが前に立ち、議事進行しながら順番に決めて行くことに。


「必ず全員1つ以上の種目に出場して下さい。 あと、クラス対抗リレーは、男子2名女子2名の計4名選抜にて出て貰いますので、推薦で足の速い人にお願いしたいと思います」


 八田さんが真面目にクラス委員の仕事をしてると思ったら、徐にチョークを持ち黒板に書き始めた。



  クラス対抗リレー


  ケンピくん、井上さん




 クラスメイトたちは、まだ誰一人推薦などの意見は言っていないのにだ。


「リレーは、あと男子1名と女子1名ですね」


「ちょっと待て!独断すぎ! しかもワラシは本名なのに、何で俺はアダ名なんだよ!」


「・・・・・・えーっと、他に推薦したい人はいませんか?」



 こ、こいつ、スルーしやがった!?



 ふと、前の席に座るワラシの様子を伺うと、肩が震えてる。


 やばいぞ

 怒りに打ち震えてるぞ

 目立つことを嫌うワラシをリレーに選ぶなんて、命知らずだな

 八田さん、後でどうなっても俺は知らんぞ




 結局、俺とワラシはリレーメンバーに選ばれてしまった。

 俺は良いんだけどワラシがどうなるか、今から怖い。


 そして残りのリレーメンバーは、学年1、2を争う美少女の花岡さんが選ばれると、石垣を始めとした多数の男子が立候補し、最終的に野球部の鈴木くんが選ばれた。 石垣、脚速くないのにあからさまな花岡さん狙いで立候補とか、馬鹿だけどある意味凄いな。


 俺は他にも個人種目で60メートルハードル走に立候補し、出場が決まった。

 八田さんは、障害物競争だ。





 LHRはこの日最後の授業だった為、終わるとそのまま放課後になり、帰ることに。


 俺とワラシは無言で頷き合うと、二人で八田さんの両サイドから腕を組んで逃げられない様にガッチリ捕まえる。



「八田シズカ、キサマを国家反逆罪の容疑でお仕置き部屋まで連行する。キサマには弁護人を立てる権利も黙秘する権利も認められていない!大人しくお縄につけぇい!」


「フル勃起は調子に乗り過ぎた。今からお仕置きタイム。おしっこ漏らすまで帰さないから」


「え!?なになに!?今日はお茶とお花のお稽古の日だから早く帰らないといけないんだけど!?」


「ウソをつくんじゃない!キサマはそんなお淑やかな習い事などしてないじゃないか! そもそも3分以上大人しく黙って正座してられないだろうが!」



 八田さんを捕獲して連行しようとしていると、バッキーが「一緒に帰ろう」と6組の教室にやって来た。


「シズカちゃんまた何かやらかしたの?」


「なんで私がやらかした前提なの!? 私がまるでダメな子みたいじゃん!」


「今八田シズカには国家反逆罪の容疑が掛けられている。 肩を持つようならバッキーも共犯の疑いで連行するが?」


「いえこんな人友達じゃないし知り合いでもありません。煮るなり焼くなり」


「秒で見捨てた!? あんなに色々相談乗ってあげたのに鬼畜の所業!!!」


「流石バッキー腹グロマネージャーの異名を持つだけの事はあるね。ぐふふふ」




 その後、八田さんの処遇は『フル勃起中』とワラシが書いたA4の紙を制服の胸に貼り、そのままワラシの家まで行くことで赦されることになった。 因みに、八田さんが嫌がったのは最初だけで、帰り道に色んな人から「ナニそれ?」と声を掛けられる度に、「罰ゲームなの!」と嬉しそうに答えていた。






 ワラシんちの喫茶店に着くと、八田さんは『フル勃起中』の張り紙を剥がして、テーブルの上に置いた。

 今、テーブルがフル勃起中らしい。


 4人とも席に着くと、いつもの様にコーラのバニラアイス抜きを頼んで、宿題をしながら体育大会の相談を始めた。


 俺としてはリレーにしてもハードル走にしても練習をしておきたい。

 具体的には、リレーだとバトン渡しの練習。ハードル走はフォームのチェック等。


 リレーに関しては、走る順番がまだ決まってないけど、明日にでも順番決めて練習を始めたい。


 ハードル走に関しては、自分自身のフォームは判り難いから、その辺慣れているバッキーにチェックをお願いすると、喜んで引き受けてくれた。

 そして、それを聞いた八田さんも一緒に手伝ってくれることになった。


 最後に、ワラシの「走るとおっぱいブヨンブヨン問題」に関しては、バッキーから「スポブラの上からテーピング巻いて固定したらブヨンブヨンしなく出来ないかな?」と提案があり、実際にワラシとバッキー二人でトイレに行って試してみると「動きづらいけどブヨンブヨンするよりもいい」とのことで、当日はリレーの時だけテーピングで固めることになった。




「なんか、ケンピくんの顔が活き活きしてきたね。LHRの時はメンド臭そーな顔してたのに」


「まぁ走るのしか取り柄無いし、ブサイクにとって数少ない陽の光を浴びるチャンスだからね」


「私も久しぶりにケンピくんの走る姿見れるの、楽しみ!」


「流石バッキー。バッキーとは美味しいお酒が飲めそう」


「私だって楽しみにしてるよ! 私が推薦したんだからね!」


「シズカちゃんは私まで巻き込んだこの恨み晴らさないでか」


「ワラシ、本番まで一緒に練習しようぜ。たまには二人で運動するのも楽しいでしょ」


「ケンピくんの相変わらずのイケメン発言に以下略」ぐふふふ


「今のはビショビショになるほどのイケメン発言では無かった様に思うけど?」


 バッキーのツッコミに「確かに」と思った瞬間、ワラシはハンドおちんちんのギャグで誤魔化した。


 角度は、半立ちだった。


 多分、ワラシ自身も「確かにそこまでイケメン発言じゃなかった」という自覚があったから半立ちなんだろうな。




「っていうか!ココにこの張り紙置いたままだと、4人全員『フル勃起中』みたいじゃない?」






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