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愛しの彼女は地味で大人しいのに  作者: バネ屋
1章 カノジョの魅力を知ったら
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#06 ワラシのお家




 ワラシの家は俺んちから歩いて10分もかからない距離だ。

 同じ小学校の学区だしな。


 ワラシの家は喫茶店を営んでいて、お店の2階が住居になっていた。

 お店の方には客として今までも何度か来た事があったけど、自宅の方は初めてだ。



 学校から二人で帰りワラシの家に着くと、ワラシは先にお店の方に顔を出して「ただいま」とお母さんに挨拶してたので、俺もそれに続いて「お邪魔します」と挨拶した。

 でも、ワラシのお母さん、俺が挨拶するとビックリした顔で固まっちゃって、返事してくれなかった。


 あれ?俺もしかして嫌われてる!?と不安になったけど、ワラシはそんなお母さんのことなど全く気にしていない様子で、そのままお店の中を通って、お店の裏にある階段に案内してくれた。


「ケンピくん、こっちこっち」


「あ、ああ」


 とりあえず、もう一度「お邪魔します・・・」とお母さんに挨拶してからそそくさとワラシの後に続いて裏手の階段に向かい、2階の住居に上がらせてもらった。



 因みに、ワラシのお母さんもワラシと同じ前髪パッツンのオカッパヘアーだ。

 多分ワラシの髪型は、お母さんの趣味だろう。



 お家に上がると洗面所へ行き、交代で手洗いうがいを済ませ、ようやくワラシの部屋に案内してもらう。


 ワラシの部屋は普通の部屋だけど、ワラシの甘い匂いでいっぱいだった。

 それだけでドキドキしてきた。


「ケンピくんの荷物はこっちに置いてくれる?」


「うん、わかった。 上着脱いでもいい?」


「うん、いいよ。私も着替えて来るね」



 そう言ってタンスをゴソゴソしてからワラシが部屋から出て行き手持無沙汰になったので、沢山文庫本が並んでいる本棚を見て時間を潰した。




 戻って来たワラシは、白い無地のTシャツにハーフパンツの格好で、ヘアバンドで前髪を上げておでこを出していた。

 学校で見る姿よりもコッチの方のがよっぽど女の子らしくて、学校よりも家でのがもっと地味だと勝手に思ってたので、ちょっとびっくりした。


 それに、Tシャツだと水色のブラジャーが透けてて、制服で見るよりもおっぱい大きいのが強調されて、ついついそこばかり見てしまう。



「飲み物、お茶でもいい?」


「ああ、ありがとう」


「でもどうしよっか。机しかないから二人で勉強するには狭いよね」


「俺、床でいいよ。ワラシは机でどうぞ」


「ダメだよ! じゃあ私も床でする。 二人で寝転がってやればいいよね」


「おっけ。そうするか」



 早速宿題からやろうってことで、プリントを取り出して二人で並んで寝転がって勉強を始める。



 初めての女子の部屋でドキドキしながらも、雑念を振り払うかの様に真面目にプリントに取り組んでいると、隣のワラシから「ぐふふふ」と笑いをこらえる様ないやらしい声が聞こえて来た。


 またエロいことでも考えてるのか?とワラシを見ると、ずっと俺のこと見てたみたいで、頬杖ついてニンマリした笑顔で全然プリントも進んでいなかった。 どうやらワラシは雑念を振り払う気は無い様だ。


「おいワラシ、俺見てないで宿題やれよ。俺もうすぐ終わるぞ?」


「だってぇ、ケンピくんがウチに居るのが嬉しいんだもん」


「あのなぁ・・・まぁいっか。 少しお喋りでもする?」


「うんうん!するする!」


 俺も寝転がったままワラシの方へ体を向けて、同じ様に頬杖をついてお喋りを始めた。



「ワラシって家だと髪まとめてるんだな」


「うん。邪魔臭いからね」


「その髪型ってお母さんの影響?」


「うん。昔からママに切って貰ってて、ずっとこの髪型。変かな?」


「変だな。その髪型のせいで座敷童みたいって言われてたし」



 髪型にあまり拘りもなさそうなので、思い切ってズバっと言ってみた。



「じゃあケンピくんはどんな髪型が好きなの?」


「どんなのが好きかって聞かれると俺もよく知らんけど、よく聞くのはポニーテールとかボブカットとか?」


「うう、私がいきなりポニーテールで学校行ったら、みんなに笑われない? ワラシのくせに色気づいて!って」


「そんなことないだろ。 じゃあ三つ編みとかは?それなら女の子らしいけど大人し目だし」


「う~ん、面倒臭いんだよね、三つ編み」


「もう面倒臭いとか言ってる時点で、オシャレとか無理だよな」


「だってぇ~」


「とりあえず伸ばしてみたら?」


 無理強いするつもりは無いけど、ちょっとは見た目も女の子らしくしてほしいっていう欲もあって、どうすれば分かってくれるかな?って考えていたら、無意識に手を伸ばしてワラシの頭を撫でていた。


「むふ!? 頭ナデナデ凄くいい!」


「あ、ごめん。無意識だったわ」


「なんと!?流石ケンピくん! 無意識でも相変わらず行動だけはイケメンだね!」


「褒めてるつもりかもしれんけど、行動だけはとか言われると逆に傷つくからな?」



 そんな風に初々しくイチャついていると、ノック無しに扉がバーンと開いた。


 寝ころんだ姿勢のままそちらを見ると、高校生っぽい制服姿の女の人が肩で息しながら立って居た。



 あ、そういえばワラシってお姉ちゃん居たよなって思い出して、直ぐに起き上がって「お邪魔してます」って俺が挨拶すると、ワラシは「勝手に開けないでよ!今良い所だったんだから!!!」と怒り出した。


 お姉ちゃんの方はと言えば


「下でママが「フミコがボーイフレンド連れて来てる!」って言うから、びっくりして見にきたら、ケンピくんじゃん」


 まぁ、お姉ちゃんも同じ小学校・中学校の先輩だし、学年も2つしか違わないからお互いのこと知ってはいるんだよな。


「って、今良い所だったってフミコ、何しようとしてたのよ!ケンピくん、この子すっごいスケベだから気を付けないとダメだからね!」


「え?ああ、知ってます。だから昨日からお説教してるんですよ。お前下品過ぎるって」


 そんな会話をしていると、お姉ちゃんは部屋に入って来て座ってしまい、部屋から出て行く気が無さそうだった。






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