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愛しの彼女は地味で大人しいのに  作者: バネ屋
1章 カノジョの魅力を知ったら
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#05 ワラシとのお昼時間



 今週、ワラシは給食当番だ。


 クラスでは自己主張を全然しないワラシは、毎回メインのオカズの盛り付け係を押し付けられている。

 俺が同じ班の給食当番なら、こういう時庇ったり助けたり出来るだろうけど、残念ながら班が違うからそれは出来ない。


 因みに、宮森さんとは同じ班だが、絶対助けたりしない。

 むしろ逆に俺が面倒なのを押し付けられる側だし。




 トレイを持って列に並び順番を待つ。


 みんなワラシ相手だと「もっと多くしてくれ」だの「キャベツ入れるな」だの我儘言いたい放題で、ワラシも言われたまんま多くしたりキャベツ抜いたりしている。


 俺の番になってワラシと向かい合うと、ワラシも俺に気が付いて嬉しそうな顔になった。 俺見た途端興奮し始めたのか、マスクが鼻息に合わせてムフームフーと膨らんだり凹んだりしてて、ちょっと面白い。


「け、けけケンピくんには大盛サービスで」


「いや、普通で良いんだけど」と断ったけど、二人分くらいの量に盛られた大盛り焼きそばを渡された。


 まぁいいか。焼きそば美味しいし。



 席に戻ると、後ろの席の宮森さんが早速話しかけて来た。


「やっぱり井上さんと仲良いよね? 焼きそば、ケンピくんが一番大盛りだし」


「宮森さんの中では、仲良しバロメータは焼きそばの量で測定するのか?」


「いやナニ言ってるのか意味わかんないんだけど?」



 焼きそばは、ワラシが作った訳じゃないけど、でもワラシが俺の為に大盛りに盛り付けてくれたと思うと、いつもよりも美味しく感じた。



 そして今日は給食の後、ワラシと約束がある。


 給食食べたら図書室で待ち合わせて、休憩時間を一緒に過す約束だ。


 だから俺は急いで給食を食べる。


 ふとワラシを見ると、ワラシも凄い勢いで掻きこんでいる。

 無我夢中で給食を貪っている座敷童とか、ぶっちゃけホラーだ。

 アイツ、小さいくせによく食べるんだな。

 だからおっぱいも大きいのか。



 自分のカノジョのそんなホラーな姿を見てても面白く無いので、俺も自分の給食を食べることに集中する。


 しかし、ワラシがサービスしてくれた大盛り焼きそばのせいで、食べきるのに時間がかかる。


 四苦八苦しながらなんとか食べ終えて、食器を片づけようと席を立つと、ワラシは既に食べ終えて片付けが済んだのか、教室から姿を消していた。


 多分アイツ、一番だったな。

 女子なのに給食一番で食べ終えるのとか、初めて聞いたぞ。






 急いで図書室に行くと、既にワラシは来ていて隅っこの6人掛けのテーブルにちょこんと座っていた。


 ワラシは俺が来たことに気が付くと、教室に居た時とは違い俺に向かって笑顔で大きく手をぶんぶん振っている。



「お待たせ、遅れてスマン」


「ううん、大丈夫だよ」


「っていうか、ワラシ食べるの早すぎ。女子なのに1番とか初めて見たぞ」


「だってぇ・・・」


 ワラシは俺から目を逸らして自分の髪を摘まんでいじり、照れた顔してモジモジしている。


 照れてるワラシ、可愛いな。

 付き合うまでワラシのこと可愛いって思ったことないけど、これが恋人フィルターってやつか。



 そんなワラシを見つめながら向かいの席に座ろうとすると、ワラシが自分の隣のイスを引いてポンポンと叩いて「ここに座って」と合図した。


 促されるままワラシの隣に座るとワラシは自分のイスごと俺にくっ付いて来て


「図書室で大きい声でお喋りしてると怒られるでしょ? 隣なら小さい声でお話出来るし」


 ワラシは相変わらず髪をいじりながらの照れ顔で教えてくれた。


「なるほど、確かにそうだね」


「それよりも!気になることがあるんですけど!」


「ん?なんだ?」


「宮森さんと随分仲良さそうだね! ケンピくん、私と二人の時よりも楽しそうだったし」


「は?アレのどこが楽しそうに見えるんだよ。 俺殴られてたんだぞ?しかもグーで」


「あの糞ビッチ、人のカレシに手を出そうとかいい度胸してるよ」



 さっきまでの笑顔が消えて、片眉吊り上げて口調も荒くなっている。

 あの時のワラシは、焼きモチっていうより、宮森さんへの敵意の表れだったのか。



「いや殴られはしたけど、そういう意味では別に手を出されてなんていないぞ? そもそも俺がワラシのカレシだって知らないし、俺みたいなブサイク、男として見てないだろ」


「私のケンピくんにちょっかい掛けたこといつか後悔させてやらないと・・・糞ビッチのガバマン女め。私が直接手を下すと反撃怖いから解らない様に呪うのが一番か。トイレでウンチした後にトイレットペーパー無いのに気が付くとか大きいウンチ出て切れぢになるとかそのウンチが流れなくて掃除の時間に犯人捜しが始まって生きた心地しなくなるとか、小さい不幸が沢山起こるように毎日少しづつ呪うのがいいかなやっぱり」


 ワラシは俺の話が耳に入ってこないのか、一人でブツブツと下品で物騒なことを言っている。 それにしてもワラシって、ウンチネタ好きだな。


「ワラシ、また下品になってるぞ。昨日も言っただろ? それに他人を呪うのも止めとけ。流石に俺でもそれは引くぞ」


 ワラシの肩をポンポン叩いて注意すると、ワラシは「だってぇ・・・」としょんぼりした。


 ちょっと面倒臭いな、女子って。



 宮森さんの話題なんて俺も楽しくもないので、話題を変えることにした。



「そういえば、ワラシって成績良いんだっけ?」


「うーん、一応学年20番以内だよ」


「へー、やっぱ頭良いんだな」


「ケンピくんは?」


「俺は良い時で50番くらい。悪い時だと100番くらいまで落ちてた」


「じゃあじゃあ、もうすぐ中間試験あるし一緒にお勉強する?」


「お?いいの? 俺、英語とか苦手だから教えてくれるとすっごい助かる」


「うん、もちろんいいよ。じゃあ早速今日から始める?」


「え?今日からなの?」


「うん、放課後ココで勉強する? それとも私の家でも良いけど。ぐふふふ」


 あ、こいつ今エロいこと考えてるな。

 でも口に出さないだけマシになったか。


 しかし正直な話、ワラシの家に行ってみたいという気持ちもある。


「じゃあワラシの家に行ってもいい?」


「うん!今日は私のお家でお勉強会しよう!」



 こうして、昨日の放課後デートに続き、ワラシの家での勉強会が決まった。





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