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愛しの彼女は地味で大人しいのに  作者: バネ屋
2章 仲間に助けられて過去に決着
21/79

#21 悩める恋愛初心者たち




 お昼時間、いつも通り図書室で待ち合わせて二人の時間を過ごしていたが、家庭科の授業以降ワラシが機嫌悪い様な気がしてて、その理由を考えたが、俺と八田さんが二人で楽しそうに話し合いしてたことくらいしか思いつかなくて、それで焼きモチ焼いてるのかな?と考えてはいるのだが、恋愛初心者の俺には「八田さんと楽しそうにしてたから焼きモチ焼いてるの?」とストレートに聞くなんてできず、内心では焦りと不安でいっぱいだった。



「ワラシさん、今日も給食1番っすね」


「・・・なんで敬語なの?」


「いや、なんとなく?」


「そう」


 いつもより口数が少ない。

 やはり機嫌が悪いのは間違いなさそうだ。


 理由を確認する勇気は無いから、とりあえず機嫌を取るしかないだろう。



「来週の家庭科、ワラシの作った肉じゃが食べれるの、楽しみだなぁ」


「・・・・」


 むむ

 反応しなくなったぞ?

 と思ってワラシの顔見たら、口尖らせてムスっとしてる。


 しまった!

 地雷踏んだっぽいぞ!



「ごめん。ワラシは家庭科楽しみじゃなかったんだな。気が付かなくてスマン」


「別に・・・家庭科は嫌いじゃないよ・・・」


「そ、そうなの?」


「でも・・・・」


「でも?」


「家庭科の授業でケンピくんと八田さんが二人だけの世界作ってるのは、面白くない」


 ビンゴ

 不機嫌な理由は分かったが、これどうしたらいいんだろ。



「別に二人の世界なんか作ってなかった、と思うけど?」


「だって、あの糞ビッチ3号《《私の》》ケンピくんにばっか話しかけて普段は言わないような冗談とかいっぱい言ってたし《《私の》》ケンピくんのこと揶揄って楽しそうにしてたし。それにあざとく料理得意アピールとかしちゃって《《私の》》ケンピくんに気に入られようとかしてたし」


「いや、それはちょっと言い過ぎじゃない?別に八田さん料理得意って感じでも無かったし」


「・・・ケンピくんは糞ビッチ3号の味方なんだ」


「いやいやぃゃ・・・そういう訳じゃないけど」



 これは困った。

 マジでどうしたらいいのか分らんぞ。


 そもそも、ワラシは八田さんが俺に気があるとでも思ってるようだが、あの美人で優等生で人気者の八田さんがそんなことありえないし、今日の話し合いの時だってそんな感じじゃなかったぞ。 ワラシと石垣が大人しかったから、俺が場を盛り上げようとしてたの気付いて合わせてくれてただけだと思うんだけどな。


 だからワラシが言ってることは言い掛かりだし、八田さんにしてみればいい迷惑だろう。


 でも、だからと言って、ココでワラシの言ってることを一方的に否定したり責めたりしたら火に油を注ぐことになりそうだし、マジでどうしたらいいのか分らん。


 付き合い初めてまだ1週間も経っていないのに、早くもピンチだ。



「と、とりあえず、俺は別に八田さんの味方じゃないし、ワラシのカレシだし、ワラシが一番大事だし・・・・ただ、家庭科の授業もちゃんとしときたかったから・・・」


「・・・うん」



 いつもは楽しいお昼時間なのに、重い空気のまま予鈴が鳴ってしまい、仕方なくこのまま教室に戻った。



 そして厄介なことに、教室ではお昼以降八田さんが妙に俺に話しかけてくるようになってて、その度に横の席のワラシが気になってしまい、多分俺の顔はずっと引きつっていた。





 そしてHRが終わり、放課後。


 いつもはお昼時間に一緒に帰るかの確認をしていたが、この日はワラシがご機嫌斜めで帰りのことを聞けていなかった。



 ワラシが席を立ち荷物を持って教室から出て行こうとしたので俺も追いかけようと席を立つと、八田さんが話しかけて来た。



「ケンピくん、家庭科の途中からずっと大人しいけど何かあったの? もしかして私ウザかった?」


「え? あ、いや、そういう訳じゃないよ」


「そう? なら良いんだけど」



 出口に向かっていたワラシは八田さんと俺の会話が聞こえたのか一瞬立ち止まり、チラリとコチラを見たと思ったらそのまま教室から出て行った。



「ごめん、俺急ぐから」


「あ、ごめんね。ばいばい」


「おう、また明日」



 八田さんに挨拶して急いで教室を出てワラシを追いかける。






 帰り道


 いつもだったら二人で楽しくお喋りしながら歩いて帰るのに、相変わらずワラシは不機嫌で、俺もどうしていいのか分からなくて、ただ黙ってワラシの隣を歩いていた。



 会話が無いままワラシんちに着いてしまい、(今日は大人しくこのまま帰るしかないかな)と考えて居たら、「今日も、テスト勉強、一緒にやろ?」とワラシがぼそぼそと言い難そうな口調で誘ってくれた。


 ワラシ、ずっと不機嫌だったし、このまま嫌われたらどうしようって凄く不安だったから、ワラシから誘われたのが凄く嬉しかった。




 2階のワラシの部屋にお邪魔して二人きりになると、ワラシはベッドに腰かけ神妙に話し始めた。



「ケンピくん、ごめんなさい」


「え!?なんで謝るの???」


「だって・・・私、八田さんに嫉妬して一人で勝手に怒ってケンピくんに冷たくして困らせてたもん」


「あ、ああ」


「でも、八田さんがケンピくんに話しかける度に不安になってきて。八田さんがケンピくんのこと好きになったらケンピくん絶対私よりも八田さんの方が好きになっちゃうって」


「八田さんが俺みたいなブサイク好きになるとか、ありえないでしょ」


 ワラシの不安を俺が否定すると、ワラシは口を尖らせた。



「ありえないことないよ。 だって私がケンピくんのこと好きになったんだよ?八田さんだって同じように好きになることだってあってもおかしくないでしょ?」


「う~ん・・・そうかもしれんけど、もし何かの間違いでそんなことあったとしても、そもそも俺はワラシの恋人だし、ワラシ以外の女の子は興味ないし」


「今はそう思っててもこの先は判んないよ。 私みたいな地味で根暗で嫉妬するようなウザい女より八田さんみたいに美人で明るい子のが絶対いいもん」



 今のワラシ、相当ネガティブだな。

 いくら俺が言葉で言い聞かせても、納得してくれそうにないな。



 こういう不安を落ち着かせる方法を、俺は1つだけ知っている。



 俺はワラシの隣に座ると、ワラシの小さい体をぎゅっと抱きしめた。


「ワラシ、ごちゃごちゃ考えるな。俺たちみたいな恋愛初心者がアレコレ考えた所で不安になるだけだ。 それよりもこういう時はこうやってハグしてた方のが安心するだろ?ワラシも前そう言ってたじゃん」


「ううう」


 ワラシの背中に手を回し撫でてあげると、ワラシも両手を俺の背中に回して抱きしめ返してくれた。



「ケンピくん、今までで一番のイケメン発言。私と違ってケンピくんは大人だね」


「そんなことないぞ。ワラシ怒らせてどうしていいか分らんくて、このまま嫌われてフラれたらどうしよって超不安だったし」


「ケンピくん、ごめんね。 私、今まで腹立てても家族以外の人前で怒ったりできなかったのに、ケンピくんの前だと我慢できなくなってた。ケンピくんが優しいから甘えちゃってるね」


「いいんじゃない? 俺もワラシの家族と同じくらい気を使わないってことだろ?それだけ気を許してくれてるって思ったら嬉しいよ」


「そうかな?」


「そうだよ」


 ようやくワラシも落ち着いて、二人で抱き合いながら「ふふふ」と笑いあってたら、ノック無しに扉がバンって開いた。



「あー!二人で抱き合っていやらし~~!」



 サチコ、ぶん殴りてぇ







 滅茶苦茶いい雰囲気になってたから、このままキス出来るんじゃね?とか考え始めてたのに、台無しじゃねーか





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