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愛しの彼女は地味で大人しいのに  作者: バネ屋
1章 カノジョの魅力を知ったら
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#12 ワラシの手作りケーキ



 女子の扱いに慣れたリア充とかだと、この流れでキスしたりエッチしたりするんだろうけど、どう頑張っても今の俺にはこれ以上は無理だった。


 そして、抱き合うまでは良かったが、それをやめるタイミングも俺には分からなかった。


 このまま抱き合っていたいっていう気持ちもあるし、いつ母さんとかがまたやって来るか分からない不安もあるし、テスト勉強もしなくては、という気持ちもある。



「あの、そろそろケーキ食べない?」


「お、おう、そうだな。折角の手作りだもんな」



 こういう時のワラシは俺なんかよりも頼りになるな。

 二人の間が変な空気とかになっても、強引に話題戻したり空気変えてくれたり、俺にはそういう時どうしたら良いか解らんから助かる。



 ワラシは俺の上から降りると、ラッピングした包みを取り出した。

 テーブルの上で包みを開くと、ケーキは既にカットされていた。

 用意してくれているワラシの横顔に見惚れていると「ハイ」と言ってワラシは素手のまま一切れ摘まんで俺に渡してくれた。



 ワラシの作ってくれたパウンドケーキは、甘い香りで見た目もワラシが言うほど悪くなくて、味も凄く美味しかった。


「お店で出してるのと同じなの?」


「そうだね。お店のとほとんど同じ味に出来たよ」


「凄く美味しい。 女の子の手作り、初めて食べたから滅茶苦茶嬉しいよ。大げさじゃなくてマジでちょっと泣きそう」


「ホント?美味しい?」


「うん、マジで美味しいよ」


「良かったぁ~」



 俺の反応が良くて安心したのか、ワラシも一切れ摘まんで食べ始めた。


 ワラシは目を細めてうんうん頷きながら「美味しいね」と言って、あっという間に一切れ完食した。



 パウンドケーキはあと3切れ残っていたけど、一気に食べるのは勿体なかったので、「残り取っておいてもいい? あとでゆっくり食べたい」というと「もちろんいいよ~。気に入ってくれたならまた今度作ってくるね」と言ってくれた。





 その後は勉強を再開して、少し疲れると休憩がてら雑談して、また勉強再開してと、夕方まで二人で過ごした。



 夕方の5時前になると、再び母さんがやってきて「フミコちゃん、お夕飯も食べて行く?」と聞いて来たので「どうする?」と俺もワラシに聞くと、凄い勢いで首を横にブンブンと振って「帰ります・・・」と小さい声で答えた。



「じゃあもうすぐ暗くなるし、送って行くよ」


「うん、ごめんね」


「あら、遠慮せずにゆっくりしていっていいのよ?」


「いや、ワラシ凄い人見知りだから、みんな居たら緊張してゆっくり出来ないし」


「それじゃ仕方ないわね。 フミコちゃん、また遊びに来てね?」


「はい・・・すみません・・・」

 ワラシはモジモジと自分の髪をいじりながらウチの母さんに頭を下げていた。






 夕方、少し暗くなり始めた黄昏時、歩き慣れた道をワラシと手を繋いで歩いた。



 歩きながら、初めての手作りケーキに感動したことや、女の子とハグ出来たことが凄く嬉しかったことをお礼を交えて興奮気味に話すと、ワラシは「ケンピくん、いつもは冷静なのに今日はずっと興奮気味だったね。ぐふふふ」と言いつつ、ワラシも機嫌良さそうに繋いだ手をぶんぶんと振りながら歩いた。




 ワラシを送り届けて家に帰ってから、ワラシに貰ったケーキが3切れ残っているのを見て、散々悩んだ挙句、父さんと母さんと弟に「ワラシの手作りケーキ。ご家族にもどうぞってくれたから」と言ってあげた。


 3人とも俺以上に感激しながら食べてくれたので、自分が食べるのを我慢した甲斐があったと思った。



 その夜、ワラシにもそのことをメッセージで報告すると「じゃあ、明日またケンピくんの分作るね!」と言ってくれた。



 ワラシ、ホント良い子。

 恋人フィルターとか関係なくそう思える。


 付き合い始めてまだ数日なのに、マジで天使に思えて来た。





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