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帝国編:閑話:竜種

 竜種とは、偉大な存在の恩恵により進化を経た強大な力を持った生物の総称である。


 その偉大な存在について聞いてみたところ、『竜』という神に等しいものだという。竜種のベースとなる生物はそれぞれ異なるが、進化した先に共通した特色があるらしく、それは『竜』の性質を受け継いでいるからだそうだ。


 我々は竜の亜種でしかない。

 言わば劣った竜(レッサードラゴン)だとのことだが、それでも地上に存在する全種族の中で頂点の頭脳と力を持っている。


「それを貴様の眷属に教えてはいるのか?」


 竜種は「教えていない」と答えた。

 聞かれたら答えるが、未だ問われたことはないから、とのことだ。


 竜種の在り様は私に似ている。

 長命種であるエルフをも超える長命種であり、その成り立ちは聖王国が興る以前とも。最低でも3000年は生きていることになり、そうした規格外の存在がまだ10以上は世界に点在しているという。


 眷属を従えない竜種もいる。

 が、眷属を従える場合、自身がそうであったときと同じく力の「恩恵」を与える。当然、主である竜種には遠く及ばないものの、竜人種や魔人族を含めたあらゆる人種を超えた力を得ることになる。


 とはいえ、面白いことにそうした力を持った眷属を突破して、この竜種のもとに辿り着いた人間種がいるとのことだ。

 結局、そんな人間種でも竜種を傷つけることもできずに失意とともに下山したらしいが、はてさて超越した力を持つ存在を努力と才能が上回るケースもあると思うと面白い。


 私はそもそも超越した存在である。

 その特殊性は竜種に比肩する。逆に言うと、竜種を竜種たらんとした『竜』には及ばない程度の超越性だ。

 これは存在力の問題だ。私より上の存在がいることに特に不満はない。我が眷属を守れるのならば、それでもこの世界の中では過分と思われる力の、それ以上を求めはしない。


 望まれぬ王として生まれ、黄金郷に囚われ、解放された私がやろうとしたことは「世界を知る」ことだ。力は持たなくてよいが、知は持ちたい。

 つまり、知的好奇心だ。命を持たない私が、命を持つ存在と同じことをしようとするのは些か滑稽だが、それが私の不死王としての「生き方」だ。嵌まる型を、自らの在り方で限定させるつもりはない。


 そして、世界を知るには、その成り立ちに関連した者に聞くべきだろう。そういった発想で竜種を求めた。


 竜種は元となる生物が異なることもあり、横の繋がりがない。だが、その生命力の高さからどこらへんに居るかは何となくわかるそうだ。


 基本的には世俗に関わらない生活をしているが、中には積極的に文化に関わっている竜種もいるそうだ。いま話している竜種は、残念ながら前者だが。


 この世界とは別の世界があり、そこから転生や転移してくるというイレギュラーなケースがあるという。そういったイレギュラーな中でも私は特級にイレギュラーな存在だという。


「ふむ、聞くべきは概ね聞けたな。良き時間を過ごさせてくれた貴公に最大級の感謝を」


 私と同じく、竜種も満足したようだ。自分と異なる性質の者の話を聞けたこともそうだご、同格の者と話をする機会などそうは持たないらしい。かといって、他の竜種と馴れ合うつもりもないという。


 かくして、私は竜種の棲家を去った。

 これで1体目。少なくともあと4体と会いたいものだ。なるべくであれば、価値観がそれぞれ異なっているほうがいい。


 私が去ったしばらく後に、3人の人間種が竜種を訪ねてきたと聞いた。そのうちの1人が私を囚えていた黄金郷を消失させた張本人であると知り、歯噛みしたのは別の話だ。

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