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元事務職員、異世界で冒険者パーティを組む

〜あらすじ〜

松本五郎は異世界で重傷を負ったが無事回復し、冒険者ギルドのチュートリアルカリキュラムを履修し冒険者ライセンスを手に入れた。

最中、以前重傷を負わされたデスベアーへのリベンジを果たし、異例のB級スタートとなった。

「ふむ、Bランクからのスタートというのは確かに規格外だし、アークが評価しているということに一定の信頼を置くことはできるが」


 そう言いながらも、長身痩躯のエルフの女性は警戒というか、率直に言ってしまうと「嘗めている」雰囲気を隠していなかった。


 冒険者ギルド併設の酒場の一角のテーブルには俺を含む4人が座っていた。


 残る3人はアンドリュー、アーク、そしてこの長身痩躯の美女エルフ「エルリィ」。いやマジで美女。スタイルも良すぎだし、グラビアアイドルを間近で見るとこんな感じなのかなぁ。びっくらこいた。


 要件は至極単純、この4人でパーティを組もうというもの。提案者はアーク。アンドリューは快諾、俺は肯定寄りの様子見だったが、エルリィは若干難色を示していた。


「アンドリュー君が回復役なのは納得している。そもそも戦闘能力はともかく僧侶職としてはかなり高い評価をされていて、他国のギルドでも名が知られているくらいだ。が、そこの少年については会ってみて判断とするつもりだったが、思ったより覇気というか、そういったものが感じられない」


 覇気。

 と言われてもいまいちピンと来ない。

 滲み出る強さとでも言うのだろうか。以前プロの格闘家に会ったことがあって「うわ、すっげ」と雰囲気で思わず口に零したことがあるけど、そういう感じかな。

 とすると、中肉中背の自分がそんな雰囲気を出せる筈もないし、そもそも前世的なものが事務職だったんだし、うーんそういう意味では嘗められやすいのかもしれない。覇気なんてないさ。オーラなんてものとは縁遠い人生だった。


「・・・ゴローの戦い方を見たら覇気とかそんなのどうでもよくなるよ多分。はっきりいって私は敵に回したくないし、単純な強さで言ったら間違いなく私より上だよ」


「アークさんにそこまで言わせるって、何をしたんだよゴロー」


 遠い目をするアークと、目を丸くして驚くアンドリュー。


 実はあれからアークの申し出でアークと立ち会ってみた。デスベアーとの再戦模様を見ているので立ち回りは把握されていると思ったが、無力化するだけならそこまで苦労しなかった。

 基本戦術は足場を確保させないことと、隙を見て攻撃を仕掛けること。前者はなるべく手持ちの手段を多く持つこと、後者は僅かな隙でも容赦なく仕掛けることを心掛けた。


 修練場での立ち合い。アークが踏み込む瞬間に足場を少しだけ高くしてバランスを崩して、その隙に小さな石礫を飛ばして顎と首筋を軽く撃つ。顎に当てて軽い脳震盪を起こして、首筋に当てることで「当てるモノによっては頸動脈を切ることができる」ことを知らしめる。

 アークならわかってくれるかなと思ったが、わかってくれた。助かる。模擬戦だし怪我は無いほうがいいしね。


 なんやかんやで、エルリィとも模擬戦をすることになった。

 アークのときと同じくギルドの修練場を借りる。模擬戦をやることにアークは終始バツが悪そうな感じだったが、俺にとってはテストケースを増やす良い機会。周囲から聞くところ、トップクラスのスピードを持っているとのことなので、自分の力が通用するのか楽しみだった。


 結果、エルリィも制圧できた。

 風魔法で空気の壁を作って動きを阻害して、同じように威力の低い火球をばら撒いて完全に動きを封じて、頭上から小さい氷を落とす。その後に大きめの氷を周囲に落として「頭に大きな氷を落とすこともできる」ことを主張する。


 たかだか数秒のハッタリだが、見事に効いたようで降参された。アークは「やっぱりえげつない」と顔を手で覆っていて、アンドリューも若干引き気味に驚いているようだった。


「うむ、紛れもなく私の完全敗北だけど、もしかして君、記憶を失う前はどこかの凄腕の傭兵だったりしないかな?」


 エルリィは俺への評価を改めてくれたようだ。が、秘密ではあるが俺は記憶喪失じゃないし、そもそもこの世界に来る前はただの一般職で事務職だったんだよなぁ。俺自身はそんな大したことないのに、なんか変な憶測をさせて申し訳ない気持ちになった。


 なんにせよ、俺は冒険者パーティを組むことになった。協議の結果、パーティ名は「絶滅危惧種(レッドリスト)」とすることにした。縁起でもなさそうだが、パーティ全員の種族が異なることが非常に珍しいことだし、何より名前の響きが良い。本当に絶滅しないよう、気合いを入れなければ。


 さて、どんな冒険が待ち受けているのか楽しみだなぁ。

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