吊り革
鈍行電車のボックス席からふと目線を上げると
黒の多角形が連なった幾何学模様が目に入った。
黒い三角の吊り革が車両の奥まで
ズラッと並んでいるのである。
吊り革はすべてが等間隔にきれいに配置されているが、
特徴は場所ごとに異なっている。
出口付近の吊り革は高めに、
その隣の吊り革は二等辺を長くしたような長い三角形で
ハンドル部分は低めに設定されている。
吊り革の根元部分はゴムか皮かわからない素材のリングが、指示棒に金具でネジ止めされている。
学生の頃に通学で乗っていた電車の吊り革は
白くて丸い形をしており、
掴んでいてももっとグラグラしていたような気がするが、今の吊り革はそうではない。
吊り革のような単純な部品も進化しているのだな、
と思うと身の回りの部品たちも
知らず知らずのうちに進化しているのだろうな、
と想像される。
未来のつり革はどんな形をしているのだろうか。
宙に浮いていたりするのだろうか。